ドル円見通し 106円台序盤から反騰するも金融市場全般の方向性定まらず(20/5/1)

23時台にユーロドルが急伸してユーロ円も急伸し、ドル円もクロス円での円安感から107円台を回復し、1日未明には107.49円まで続伸する展開となった。

ドル円見通し 106円台序盤から反騰するも金融市場全般の方向性定まらず(20/5/1)

【概況】

ドル円は4月15日午前安値で4月2日未明安値と同値の106.91円を付けたところでは安値更新をひとまず回避し、その後は4月27日までの間を107円台を中心とした持ち合いを続けてきたが、4月27日に持ち合い下限へ迫り、28日夜には106.53円まで下げて4月15日安値を割り込んで持ち合い下放れとなり、29日夕刻には106.35円まで安値を切り下げた。
4月30日午前には106.87円まで戻したものの夕刻には106.39円まで下げて安値更新への余裕が乏しくなり、30日夜の米経済指標も軒並み悪かったことで安値圏にとどまっていたが、23時台にユーロドルが急伸してユーロ円も急伸し、ポンドも急伸してポンド円も急伸したことでドル円もクロス円での円安感から107円台を回復し、1日未明には107.49円まで続伸する展開となった。

【金融市場まちまちの動き】

4月30日のNYダウは前日比288.14ドル安と下落した。ユーロやポンドが上昇してドル安感が強まる中でゴールドが売られる一方、4月22日にかけて暴落していた原油相場が連騰するなど、各市場まちまちの動きとなった。ユーロやポンドの上昇に対して豪ドル等はかえって下落している。30日にはECB理事会による金融政策の発表もあったが、その時点ではサプライズ感がなくユーロの反応も鈍かった。

ECBは30日の理事会で、政策金利及び前回会合で決定した資産購入7500億ユーロ(約90兆円)規模を据え置いたが、銀行支援のために追加の長期資金供給オペを5月から合計7回実施すると発表した。また資産購入規模についても増額する用意が十分あるとした。

米経済指標は軒並み悪かった。
米労働省が発表した新規の失業保険申請件数は4月25日までの1週間で383万9000件となり、3月中旬からの6週間の累計で3000万件を超えた。前週の444万2000件から減少し、3月28日までの週における686.7万件がピークだったが、依然として歴史的高水準の失業申請が続いている。失業保険受給者総数は4月18日までの1週間で1799万2000人となり過去最高を更新した。
米商務省が発表した3月の個人消費支出は前月比7.5%減となり1959年の集計開始以来で最大の落ち込みとなった。個人所得も同2.0%減となり2013年1月以来の落ち込みとなった。
米経済情報会社MNIインディケーターズが発表した4月のシカゴ購買部景気指数は35.4となり前月の47.8から悪化して市場予想の38を下回った。

【日足は6日連続陰線から7日ぶり陽線】

ドル円は4月22日から29日までの6日間連続で日足陰線で下落し、4月1日と4月15日の106.91円を割り込んでダブル底が破られた。3月24日高値からの下落は4月1日までを一段目とし、4月6日の戻り高値から二段目の下落に入った。また4月1日安値と4月6日安値を起点とすれば三角持ち合い形成からの下放れとなった。このためドル安円高が加速しやすい状況に陥っていたが、30日深夜の反騰により下落基調にはひとまずブレーキがかかった。
欧米の新型コロナウイルスの感染爆発は峠を越えたのではないかとの楽観が出始め、アフターコロナという復興イメージの先取りも見られるが、日本では緊急事態宣言延長の可能性が高まり、世界的な感染拡大は指数関数的に進行している。経済活動停止を緩めれば第二波第三波が発生しかねないことは100年前のスペイン風邪パンデミックにより経験していることだ。

ドル円は2月20日から3月9日への急激な円高、その後のV字反騰と反落、今回のダブル底破れというように目まぐるしい動きとなっており、3月後半のドル資金需給ひっ迫によるドル全面高は収まっているが、為替市場におけるドル円の立ち位置が定まらない状況ともいえる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月23日深夜高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとしていたが、4月27日夜安値から下げ渋った後に28日夜へ一段安となり29日夕刻へ続落したため、30日朝時点では21日夕刻安値から4日目となる27日夜安値を直近のサイクルボトムとし、底割れによる弱気サイクル入りとして30日夜から5月4日夜にかけての間への下落を想定した。ただし、107円を超える反騰の場合は29日夕安値ないしは直前安値をボトムとした強気サイクル入りとした。
4月30日深夜の反騰で強気転換目安とした107円を超えたため、29日夕と20日午後の両安値をダブルボトムとした強気サイクル入りとする。トップ形成期は4月30日夜から5月4日にかけての間と想定されるので既に反落警戒期にあるが、107円台を維持するうちは上昇余地ありとする。ただし、107円割れを弱気転換注意とし、107.70円割れからは弱気サイクル入りと仮定して5月4日から6日にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では4月30日深夜の反騰で遅行スパンが好転し、先行スパンも突破した。このため遅スパン好転中は高値試し優先とするが、遅行スパン悪化からは下げ再開とみて安値試し優先とし、先行スパン転落からは下げが加速しやすいと注意する。

60分足の相対力指数は28日夜から29日夕への安値切り下げに対して指数のボトムが切り上がる強気逆行を見せてから反騰した。1日未明には70ポイントを超えているが、未明高値を超えたところで指数のピークが切り下がるようだと弱気逆行発生で反落に転じやすいと注意し、50ポイント割れからは下げ再開と考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、107.00円を下値支持線、5月1日未明高値107.49円を上値抵抗線とする。
(2)107円以上での推移中は上昇余地ありとし、107.49円超えからは108円を目指す上昇を想定する。107.75円以上は反落警戒とするが、107円台を維持しての推移なら週明けも高値試しを続ける可能性があると考える。
(3)107円割れを弱気転換注意とし、106.70円割れからは弱気サイクル入りと仮定して29日安値106.35円試しとする。106.35円を割り込む場合は106円試しへ下値目途を引き下げる。また106.70円以下での推移なら週明けも安値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な予定】

5/1(金)
休場、シンガポール、中国、香港、トルコ、スイス、フランス、ドイツ、メキシコ、南ア
10:30 (豪) 1-3月期 生産者物価指数 前期比 (前期 0.3%)
10:30 (豪) 1-3月期 生産者物価指数 前年同期比 (前期 1.4%)
17:30 (英) 4月 製造業PMI改定値 (速報 32.9、予想 32.8)
22:45 (米) 4月 製造業PMI改定値 (速報 36.9、予想 36.7)
23:00 (米) 3月 建設支出 前月比 (2月 -1.3%、予想 -3.5%)
23:00 (米) 4月 ISM製造業景況指数 (3月 49.1、予想 36.0)

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