ドル円、月末ロンドンフィキシングに絡むクロス円買いを受けて急上昇
海外時間の為替概況
30日(木)の外国為替市場でドル円は急上昇。@原油先物価格の上昇や、A新型コロナウイルスの治療薬候補レムデシビルの臨床試験における好結果、B上記@Aを受けたリスク回避ムードの後退(株高→クロス円上昇→ドル円連れ高)、C月末ロンドンフィキシングに絡むクロス円買い、Dメーデーやゴールデンウィークなど世界各国の休場入りを前にしたポジション調整が支援材料となり、米国時間にかけて、高値107.51まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間4時45分現在)では、107.34近辺で推移しております。
尚、この日発表された米新規失業保険申請件数(結果383.9万件、予想350.0万件)、米・4月シカゴ購買部協会景気指数(結果35.4、予想37.7)は共に冴えない結果となりましたが、市場の反応は限定的となっております。
昨日のユーロドル相場は下落後に急上昇。@ユーロ圏1ー3月期国内総生産(結果▲3.8%、予想▲3.8%、※前期比)の冴えない結果や、AECB理事会(※詳細後述)にて「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の規模を拡大し、構成を調整する用意がある」との方針が示されたこと、BラガルドECB総裁による「新型コロナウイルスの影響は第2四半期にさらに深刻になることが予想される」「必要に応じて追加措置を講じる用意がある」等の発言が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値1.0834まで下落しました。しかし、一目均衡表転換線に続落を阻まれると、月末ロンドンフィキシングに絡む「ユーロ買い・ドル売り・円売り」フローが支援材料となり、米国時間午後にかけては、一時1.0972まで急伸する場面も見られました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間4時45分現在)では、1.0958近辺で推移しております(ユーロ円相場も115.56から117.78まで上昇するなど、2円22銭の急騰劇となりました)。
※ECB理事会では、@政策金利の据え置き(0.00%)、A限界貸付金利の据え置き(0.25%)、B中銀預金金利の据え置き(▲0.50%)、CTLTRO(条件付き長期資金供給オペ)の条件緩和、Dパンデミック緊急購入プログラムの維持(7500億ユーロ)が決定されると共に、声明にて「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の規模を拡大し、構成を調整する用意がある」旨が発表されました。但し、一部で期待されていたマイナス金利の深堀や、資産買い取り対象に投資不適格債を含める決定は見送られております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、4/29に記録した安値106.36をボトムに反発に転じると、昨日は一時107.51まで急伸しました。この間、強い売りシグナルを示唆する三役逆転が消失するなど、週末(各国の連休入り)を前にポジション調整の動きが活発化しております。但し、上方には一目均衡表転換線や、一目均衡表雲上限、ボリンジャーミッドバンド、200日移動平均線など複数のレジスタンスポイントが控えており、ここから先の続伸は容易では無いと考えられます。テクニカル的に見て、徐々に上値は重くなると予想されます。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、追加緩和余地の大きい米国)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感(今週発表された米経済指標は軒並み悪化)、B米中対立再燃リスク、C朝鮮半島や中東を巡る地政学的リスク、D新型コロナウイルスの感染拡大長期化懸念(米長期金利低下→ドル売りと、米株安→リスク回避の円買いの2つの波及経路)、E英合意なき離脱の再燃リスク、F原油先物価格の不安定化(5/19の納会に向けて再び下落するリスクを警戒)、G本邦における先行き不透明感(緊急事態宣言発動後の実体経済への下押し圧力)など、ドル売り・円買いを連想させる懸念材料は引き続き沢山残っている状況です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも「(ポジション調整一服後の)反落リスク」が警戒されます。米FRBによる量的緩和継続(ドル売り要因)や、米経済指標の不冴な結果(ドル売り要因)、本邦経済のリセッション懸念(デフレ懸念台頭→円の実質金利低下→円高)、原油先物価格の不安定化(株安・円買い要因)、米中対立再燃リスク(株安・円買い要因)が重石になると見られ、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(※本日は複数の国がメーデーで休場となる中、米国時間に発表される米・4月製造業PMIや、米・4月ISM製造業景況指数に注目が集まります)。
本日の予想レンジ:106.60ー107.60
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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