トルコリラ円見通し　リスク回避全面化で1月8日安値割れへ余裕乏しい(20/2/3)

トルコリラ円は1月17日高値18.82円から下落基調となり、新型コロナウイルス感染拡大報道による金融市場全般のリスク回避の中で1月27日朝には18.26円まで一段安となり、その後は29日までは下げ渋りの持ち合いに止まっていたが、30日にドル円が一段安する中で持ち合いを下放れし、31日未明には18.11円まで続落した。31日午前にかけてはダウ先物の反発やドル円の反発により18.24円まで戻したものの勢いは続かず、31日深夜にはＮＹダウが大幅下落する中でドル円も一段安となったために18.08円まで安値を切り下げた。
1月27日からの持ち合いを下放れし、いったん戻してから早々に安値を更新しているが、1月17日以降は安値更新後の戻り高値が切り下がりその後に一段安する弱気パターンを繰り返している。月曜朝に安値をつけた後は戻しやすい習性もあるが、春節明けの上海市場が大荒れとなる場合はリスク回避の動きがさらに深刻化してトルコリラ円も安値をさらに試しやすくなると警戒する。

【ドル/トルコリラは終値ベースで2019年8月以来の高値を更新】

イスタンブール100株価指数は1月22日から29日まで6日連続の下落だったが、30日はこの間の安値を大幅に更新したものの突っ込み警戒感から買い戻されたために終値では0.13％高だった。しかし31日は再び売られて前日比0.59％安と下落している。ＮＹダウが1月31日に600ドルを超える大幅下落となっていること、上海総合株価指数が春節明けでどの程度下落するのかにより、新興国株への売り圧力がさらに強まる可能性があり、トルコ株への売り圧力も増すのではないかと懸念される。

ドル/トルコリラは1月17日から21日へ3連騰＝ドル高リラ安、22日に一服して1月23日から27日へ再び3連騰、1月28日に一服して1月29日から31日まで3連騰となっている。1月30日高値で5.9866リラを付けて1月8日高値5.9871リラに迫り、31日も取引時間中の新たな高値高維新には至らなかったものの、終値ベースでは1月7日高値を超えて2019年8月底以降の高値を更新して2019年5月以来の高値水準となっている。仮に1ドル＝6.0リラ台へ乗せてくると2019年5月高値6.2446リラを目指す上昇=ドル高リラ安へ発展する可能性が出てくると思われる。

今年に入ってから米・イランによる軍事行動からの有事緊張、新型コロナウイルスの感染拡大による世界景気後退リスクと、年末までには予想できなかったような要因が相次いでいる。予想外の要因が発生し、先行きの収束が予想しきれなくなれば、より投機性の強いポジションはリスク回避の持ち高調整により手仕舞い売りされやすい。トルコリラもイスタンブール100株価指数も海外投資家にとってはリスク回避による調整売りを浴びやすい状況にあると警戒すべきだろう。

【4か月サイクルの底割れへ進むか、ダブル底で踏みとどまるか？】

トルコリラ円は概ね4か月周期の底打ちサイクルで推移してきた。2019年1月3日底の後は2019年5月9日、2019年8月26日と底をつけてきたが、8月底から4か月を若干超えた今年1月6日安値で直近のサイクルボトムをつけて反騰入りしたと思われる。しかし1月17日高値からの反落により1月6日安値に対する余裕が乏しくなっている。
1月6日安値割れを回避して18.50円超えへ反発すれば4か月サイクルのトップ形成への上昇を再開する可能性は残る。しかし1月6日安値17.94円を割り込む場合は底割れによる新たな4か月サイクルの下落期に入ることとなり、下落期が長期化する可能性も考えられる。
仮に1月8日安値を割り込む場合、次の底形成期は5月序盤を中心として4月後半から5月前半にかけての間と想定される。

2019年8月26日のフラッシュクラッシュによる安値を除けば、2019年6月以降は18.00円前後が下値支持線として機能してきた。しかし1月6日安値を割り込んで一段安に入る場合には、チャート上の目安となる安値は2019年5月9日安値17.49円まで切り下がる。また12月2日高値からの下げ幅並として17.68円、さらに1月6日安値から1月17日高値への戻り幅の倍返しとなる17.06円等もあるため、まず17.70円割れを切り返せるかどうか、17.50円割れを切り返せるかどうか、さらに17円を試すというように順次下値目処が切り下がってゆく展開も考えておく必要があるかもしれない。

60分足の一目均衡表では31日深夜の一段安により遅行スパンが悪化した、先行スパンからの転落状態も続いている。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、一時的に遅行スパンが好転しても先行スパン突破へ至らずに遅行スパンが再び悪化するところからは下げ再開とみる。強気転換は両スパン揃って好転するところからとする。

60分足の相対力指数は31日未明安値から2月3日朝安値への一段安に対しては指数のボトムが切り上がっているため強気逆行気配となっているが、まだ一段安したばかりのため、50ポイント前後までを戻り抵抗とし、30ポイント割れからは20ポイント前後への低下を伴った下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。

（１）当初、2月3日朝安値18.07円を下値支持線、18.20円を上値抵抗線とする。
（２）18.20円以下での推移中は安値更新からの一段安警戒とし、3日朝安値割れからは17.90円前後への下落を想定する。17.95円以下は反発注意とするが、2月3日朝安値を割り込んだ後も18.20円以下での推移が続く内は2月4日、5日へさらに安値を試しやすいとみる。
（３）18.20円超えから続伸の場合は1月31日午前高値18.24円手前を試す可能性が出てくるが、18.20円以上は反落警戒とする。31日午前高値を上抜く反騰へ進むには感染拡大報道に対する状況好転となるような報道や株高が必要と思われる。

2月 3日
　16:00　1月消費者物価　前年比　（12月　11.84％）
　16:00　1月消費者物価　前月比　（12月　0.74％）
　16:00　1月生産者物価　前年比　（12月　7.36％）
　16:00　1月生産者物価　前月比　（12月　0.69％）
　16:00　1月イスタンブール製造業ＰＭＩ　（12月　49.5）
2月10日
　16:00　11月失業率　（10月　13.4％）
2月13日
　16:00　12月鉱工業生産　前年比　（11月　5.1％）
　16:00　12月小売売上高　前月比　（11月　1.7％）
　16:00　12月小売売上高　前年比　（11月　8.5％）
2月14日
　16:00　12月経常収支　（11月　-5億1800万ドル）
2月19日
　20:00　トルコ中銀政策金利　（現行　11.25％。予想　11.00％）