物価指標に注目。実質金利の低下がリラ売りに拍車をかける恐れも
今週のレビュー(1/27−1/31)
今週のトルコリラ円相場は、週初18.36円で寄り付いた後、@トランプ米大統領とエルドアン・トルコ大統領の電話会談を好感する形で、週半ばにかけて高値18.40円まで上昇しました。しかし、一目均衡表基準線に続伸を阻まれると、A新型コロナウイルスの感染拡大を受けたグローバルなリスク回避ムード(株安・円高)や、B大手金融機関のHSBCがトルコ事業の売却を検討しているとの一部報道が重石となり、週末にかけては、1/8以来、約3週間ぶり安値となる18.09円まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間6時00分現在)では、18.10円近辺で推移しております。
来週の見通し(2/3−2/7)
トルコリラの対円相場は、1/16に記録した約5週間ぶり高値18.85円をトップに反落に転じると、月末(1/31)にかけて、約3週間ぶり安値18.09円まで急落しました。この間、200日移動平均線や、ボリンジャーミッドバンド、一目均衡表転換線や基準線、一目均衡表雲上限および下限を下抜けした他、強い売りシグナルを表す三役逆転も成立するなど、テクニカル的に見て、「地合いの弱さ」を強く意識させるチャート形状となっております。
ファンダメンルズ的に見ても、@トルコ経済を巡る先行き不透明感や、A外貨準備急減を受けたリラ安防衛能力への不信感(※アルバイラク・トルコ財務相は先週、「中銀、国営銀、民間銀は積極的に協調し、今後も金融の安定化に取り組む」と発言するなど、介入姿勢の継続を示唆)、Bトルコ中銀の追加利下げ観測(※政策金利の引き下げとインフレ率の上昇を受けて、実質金利がマイナス転)、C経済的な結び付きの強いドイツ経済の先行き不透明感、D中東を巡る地政学的リスク、Eロシアからの武器購入やジェノサイド、リビア派兵を巡る、米国及びNATO同盟国との関係悪化懸念、F新型コロナウィルスに端を発したリスク回避ムードなど、不安材料は山積みです。
以上の通り、トルコリラ円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。トルコ中銀による5会合連続の利下げ(※直近5会合で計12.75%もの利下げ幅)を受けて、実質金利(名目金利-インフレ率)は既にマイナスに転じており、機関投資家による投資妙味の減退を受けた「トルコ離れ(トルコSell)」が警戒されます。こうした中、来週はトルコの物価指標(トルコ・1月消費者物価指数および同生産者物価指数)への注目度が高まりそうです。市場予想を上回る結果(インフレ高進)となれば、実質金利の一段の低下を通じて、トルコリラを下押しする恐れがあるからです。来週はトルコ経済指標や、春節明けの中国の金融市場の動向、新型コロナウィルスに絡む続報を睨みながらも、トルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします。
来週の予想レンジ(TRYJPY):17.85ー18.35
トルコリラ円日足
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