来週の為替相場見通し:『リスク回避ムード継続。ドル円は年初来安値が射程圏内に』(2/1朝)

ドル円は、1/17に記録した約8ヶ月ぶり高値110.30をトップに反落に転じると、月末(1/31)にかけて、約3週間ぶり安値108.32まで急落しました。

来週の為替相場見通し:『リスク回避ムード継続。ドル円は年初来安値が射程圏内に』(2/1朝)

リスク回避ムード継続。ドル円は年初来安値が射程圏内に

今週のレビュー(1/27−1/31)

<ドル円相場>
今週のドル円相場は、週初、窓を開けて寄り付くも(※先週末終値は109.28、今週始値は108.97)、@米・12月耐久財受注(結果2.4%、予想0.3%)や、A米・1月リッチモンド連銀製造業指数(結果20、予想▲3)、B米・1月コンファレンスボード消費者信頼感指数(結果131.6、予想128.0)の良好な結果、Cトランプ米大統領のUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)署名、D米FOMC(連邦公開市場委員会)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標が全会一致で据え置かれ(1.50ー1.75%)、声明文においても前回12月の文言がほぼ踏襲されたこと(※超過準備に適用する付利IOERについては1.55%から1.60%へ5bpの引き上げを実施)等が支援材料となると、週半ばにかけて、高値109.28まで上昇しました(窓埋めに成功)。

しかし、EパウエルFRB議長が記者会見で「新型コロナウィルスの感染拡大による影響を注意深く監視」「バランスシートを徐々に拡大するだろう」とややハト派的な見解を述べると、F米・第4四半期コアPCE速報値(結果1.3%、予想1.7%)の冴えない結果や、Gグローバルに広がる新型コロナウィルスの感染拡大(世界保健機関(WHO)は1/30に緊急事態を宣言)、H上記Gを受けたリスク回避ムード(株安・円高)、I月末ロンドンフィキシングにかけてのドル売りが重石となり、週末(1/31)にかけては、1/8以来、約3週間ぶり安値108.32まで急落しました。引けにかけて小反発するも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間5時30分現在)では108.39近辺で推移しております。この間、米10年債利回りは1.66%から1.51%へ急低下、米ダウ平均株価も週足ベースで大きな上髭陰線を記録しております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場は、週初1.1021で寄り付いた後、@新型コロナウィルスの感染拡大を受けたグローバルなリスク回避ムード(ドル高・円高・スイス高)や、Aドイツ・1月Ifo企業景況感指数(結果95.9、予想97.0)の冴えない結果、B良好な米経済指標(米・12月耐久財受注米、米・1月リッチモンド連銀製造業指数、米・1月コンファレンスボード消費者信頼感指数)を受けたドル高が重石となり、週央(1/29)にかけて、11/29以来、約2ヶ月ぶり安値1.0992まで下落しました。

しかし、1.10割れでは押し目買い意欲も根強く、下げ渋ると、C米経済指標(米・12月住宅販売保留件数、米・第4四半期コアPCE速報値、米・1月シカゴ購買部協会景気指数)の冴えない結果や、DパウエルFRB議長のハト派的な発言(米長期金利の低下)、E英ポンドの上昇(ユーロ連れ高)、F月末ロンドンフィキシングにかけてのドル売りが支援材料となり、週末(1/31)にかけては、高値1.1091まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間5時30分現在)では、1.1090近辺で推移しております。

来週の見通し(2/3−2/7)

<ドル円相場>
ドル円は、1/17に記録した約8ヶ月ぶり高値110.30をトップに反落に転じると、月末(1/31)にかけて、約3週間ぶり安値108.32まで急落しました。この間、109.70近辺に控える強力な支持帯、一目均衡表転換線及び基準線、ボリンジャーミッドバンド、一目均衡表雲上限及び下限、200日移動平均線を下抜けした他、強い売りシグナルを表す三役逆転も成立するなど、テクニカル的にみて、「地合いの弱さ」を印象付けるチャート形状となっております。

ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違いや、Aトランプ米大統領の弾劾リスク(罷免リスクは乏しいものの、大統領選を前に支持率が急低下する恐れあり)、B米国ファンダメンタルズの冴えない結果、C米中貿易摩擦の再燃リスク(第1段階合意署名は実現するも、第2段階合意は後ずれする公算大)、D朝鮮半島や中東を巡る地政学的リスク、E新型コロナウィルスの感染拡大リスク、F上記Eを受けた中国経済減速→世界経済減速への波及リスクなど、ドル売り・円買いを想起させる材料が複数残っている状況です。

以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。来週は春節明けの中国金融市場の動向や、米経済指標(ISM製造業景況指数や、米雇用統計など)の結果、トランプ米大統領の弾劾を巡るヘッドライン(ボルトン前大統領補佐官の証言など)、新型コロナウィルスに絡む続報、アイオワ州党員集会(民主党の候補指名争いの初戦)を睨みながらも、ドル円の軟調推移をメインシナリオとして予想いたします。目先は1/8に記録した年初来安値107.64を試す展開となりそうです。

来週の予想レンジ(USDJPY):107.25ー109.75

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は、昨年末(12/31)に記録した約4ヶ月半ぶり高値1.1240をトップに反落に転じると、今週半ば(1/29)にかけて、約2ヶ月ぶり安値1.0992まで下落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、200日移動平均線や90日移動平均線、一目均衡表雲上限および下限を下抜けした他、強い売りシグナルを表す三役逆転も成立するなど、テクニカル的にみて、「地合いの弱さ」を意識させるチャート形状となりつつあります。月末ロンドンフィキシングの影響で、週末にかけて1.1091まで反発するも、一目均衡表雲下限越えは阻まれており、一巡後の反落が警戒されます。

ファンダメンタルズ的に見ても、@米中貿易摩擦が欧米貿易摩擦に波及するリスク(欧米貿易摩擦の激化懸念)や、Aユーロ圏経済及び物価の先行き不透明感、Bイタリアを巡る財政悪化懸念および政局不透明感、CECBによる追加緩和観測(早期正常化期待の後退)、D英国情勢の先行き不安、E新型コロナウィルスの感染拡大を受けたリスク回避ムード(ドル買い・円買い・スイス買い)など、ユーロドルの上値を抑制する材料が複数残っている状況です。

以上の通り、ユーロドル相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。但し、来週に限っては、ユーロ圏の経済イベントに乏しいことから、米ドル主導の相場展開が見込まれます。この為、ユーロそのものは主体性を欠くとみられ、米国経済指標(米ISM製造業景況指数や、米雇用統計など)や、アイオワ州党員集会、トランプ米大統領弾劾を巡るヘッドライン、新型コロナウィルスに絡む続報を睨みながらの神経質な展開(方向感を見出し辛い時間帯)が続きそうです(リスク回避のドル買いと、米長期金利低下を受けたドル売りに挟まれる展開)。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.0975−1.1175

リスク回避ムード継続。ドル円は年初来安値が射程圏内に

ドル円日足

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