ランド円レポート月曜版
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、上値の重たい展開を考え「7.50レベルをサポートに7.70レベルをレジスタンスとする週」を見ていました。実際のレンジは、安値が7.53レベル、高値が7.68レベルと、予想レンジ内とはいえ前週同様に狭い値幅での取引のまま一週間を終えています。
しかし、週明けの市場では新型コロナウイルス感染拡大懸念を嫌気したリスクオフムードに、イラクの米国大使館にロケット弾が撃ち込まれたとのヘッドラインに、ドル円をはじめクロス円は軒並みギャップダウンしてのスタートとなり、ランド円も例外ではなく前週安値近辺からの週明けスタートとなりました。
先週のランド円は、前週の利下げでも動きが鈍かっただけにあまり大きな動きは出にくそうだというスタートでしたが、目立った材料が無い中で週初は下押ししたものの買い戻され、週半ば以降は再び下げと、年初からの三角もちあいの中での動きを続けていました。しかし上記の通り週明け早朝の下げで、短期トライアングルのサポートラインを下抜け、一段の下げを見るのか、単にレンジを変えただけなのかを見極める週となっています。これについては、テクニカル分析で詳述します。
今週の南ア関連のイベントは30日のPPIと31日の貿易収支がありますが、これらも予想から大きく外れない限りトレンドを出すほどのものではありません。それ以上に気になるのは、新型コロナウイルスの感染者拡大で揺れる中国経済がどうなるのかという不安心理が大きいと考えられます。
新型コロナウイルスの感染拡大と今後考えられることは、ドル円の週報に書いた通りなのですが、2002〜3年の冬に広がったSARSを参考にする限り、まだまだ警戒感は広がる段階にあり一定の収束を見るのは春以降になるであろうということです。そうなると、当然中国の景気に悪影響を与えることは必至ですし、南アにとって最大の貿易国である中国の景気に対する悪影響は南アにとってもダイレクトに影響します。
ただでさえ南アの経済状況も悪く利下げした直後ですが、そこに外部要因まで加わってくるとなるとランドに上値は重たくならざるを得ないと考えることになります。また、ロイターの22日のニュースによると、2019年はエスコムの計画停電により南アの経済は83億ドル縮小していること、しかもこの状況は今年も続くと予想されているため、南ア単体で経済が上向くことが一層困難となる中で、外部要因として中国の問題は大きいと言えます。
今後も利下げ思惑が出てくるでしょうし、3月に予定されているムーディーズの格付け見直しまでは長期的にランドは上値が重たくなってくるリスクが高いと考えられるでしょう。
次にテクニカルな観点ですが、まずランド円の日足チャートをご覧ください。
大きくは昨年8月安値からの上昇チャンネルを継続していましたが、本日早朝の下げで1月安値からのサポート(ピンクの細線)は下抜け、今後の状況次第では上昇チャンネルのサポートライン(ピンクの太線)を下抜けする可能性が高まっている段階にあると言えます。
このピンクの太線サポートは均衡表の雲の位置とも重なっているため、おそらく国内のランド円チャートを見ている参加者は年初来安値の7.45レベルを維持できるかどうかを目安にしていると見てよいでしょう。
そうした前提で、いつもの4時間足チャート(上からランド円、ドルランド、ドル円)もご覧ください。
先ほどの日足チャートの右側部分を拡大していますが、かろうじて長期サポートでは止まっているものの、新型コロナウイルスの影響がしばらく続くと考えると、上がったところで売りとなってくる可能性が高そうです。今週は株式市場の動き次第では、一気に年初来安値更新ということも考えておく必要はあるでしょう。
今週は材料的にもテクニカルにも一層上値の重たい展開を考え、7.40レベルをサポートに7.65レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
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