格下げリスクが燻る中で上値余地は乏しい。戻り売りに要警戒
今週のレビュー(1/20−1/24)
今週の南アフリカランド円相場は、週初7.63円で寄り付いた後、@国際通貨基金(IMF)による南アフリカ経済見通しの大幅な下方修正(※2020年見通し:1.1%→0.8%、2021年見通し:1.4%→1.0%)や、A新型コロナウィルスの感染拡大を受けたグローバルなリスク回避ムードが重石となり、翌1/21に、約2週間ぶり安値7.53円まで下落しました。しかし、B注目された南ア・12月消費者物価指数(結果0.3%、予想0.3%)が市場予想通りの結果に留まると、ショートカバーが優勢となり、週央にかけては、高値7.67円まで反発しました(CPIが市場予想を下回った場合、南ア中銀の追加利下げ観測が高まり、ランド安が一段と進むとの見方があった)。もっとも、1/17に記録した直近高値7.68円近辺では戻り売り意欲も根強く、伸び悩むと、週末にかけて再び反落。本稿執筆時点(日本時間5時00分現在)では、7.60円近辺で推移しております。
来週の見通し(1/27−1/31)
南アフリカランド円相場は、12/27に記録した高値7.83円(約8ヶ月ぶり高値)をトップに反落に転じると、1/8には、一時7.45円まで急落しました。足元やや持ち直すも戻りは鈍く(※ボリンジャーミッドバンドが続伸を阻む展開)、テクニカル的に見て、「上値の重さ」を意識させるチャート形状となっております。
ファンダメンタルズ的に見ても、@南アフリカ経済を巡る先行き不透明感(IMFは今週、南アフリカ経済見通しを大幅下方修正)や、A国営電力会社エスコムを巡る負債問題(電力負荷制限)、B米中貿易摩擦の再燃リスク(第1段階合意署名は実現するも、第2段階合意は後ずれする公算大)、Cムーディーズによる3月審査における格下げリスク(2月に予定されている南ア・予算発表で財政健全化見通しが示されなければ、翌3月に格下げが行われる可能性大。格下げとなればWGBIからの除外を通じて、南アフリカ債券市場から大規模な資金流出が引き起こされるリスクあり)、D中東を巡る地政学的リスクなど、不安材料は山積みです。
以上の通り、南アフリカランド円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「上値の重さ」が警戒されます。ムーディーズによる格下げリスクが燻る中で、 積極的に上値を追っていく展開は見込みづらく、来週は、南アフリカ経済指標(12月生産者物価指数や、12月貿易収支など)や、米FOMC(連邦公開市場委員会)、新型コロナウィルスを巡るヘッドラインを睨みながらも、南アフリカランド円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.50ー7.80
南アフリカランド円日足
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2020.01.20
ランド円ショートコメント(2020年1月20日)
わずかにランド安が進んでいるという見方のほうが、全体の状況を見誤らないかと思われます。
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