実質金利のマイナス転と介入余力の低下が通貨リラの重石に
今週のレビュー(1/20−1/24)
今週のトルコリラ円相場は、週初18.70円で寄り付いた後、早々に高値18.72円まで上昇しました。しかし、市場参加者に注目される200日移動平均線をバックに戻り売りが強まると、@国際通貨基金(IMF)による世界経済見通し(WEO)の下方修正や、A新型コロナウィルスの感染拡大を受けたグローバルなリスク回避ムード、Bムニューシン米財務長官による「中国との第2段階通商合意を結ぶ厳密な期限は無い」との発言(米中第2段階合意の後ずれリスク)、Cアルバイラク・トルコ財務相によるトルコ中銀への利下げ圧力の継続(追加利下げ観測の高まり)及び、D介入姿勢の継続を示唆する発言(外貨準備減少懸念の高まり)が重石となり、週末にかけては、1/8以来、約2週間ぶり安値となる18.36円まで急落しました。引けにかけて小反発するも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間5時00分現在)では、18.39円近辺で推移しております。
来週の見通し(1/27−1/31)
トルコリラの対円相場は、1/16に記録した約5週間ぶり高値18.85円をトップに反落に転じると、今週末にかけて、約2週間ぶり安値18.36円まで急落しました。この間、200日移動平均線や、一目均衡表雲下限、一目均衡表転換線、ボリンジャーミッドバンドを下抜けするなど、テクニカル的に見て、「上値の重さ」を印象付けるチャート形状となっております。
ファンダメンルズ的に見ても、@トルコ経済を巡る先行き不透明感や、A外貨準備急減を受けたリラ安防衛能力への不信感(※アルバイラク・トルコ財務相は、「中銀、国営銀、民間銀は積極的に協調し、今後も金融の安定化に取り組む」と発言するなど、介入姿勢の継続を示唆、Bトルコ中銀の追加利下げ観測(※政策金利の大幅引き下げとインフレ率の上昇を受けて、実質金利が既にマイナスに転化)、C経済的な結び付きの強いドイツ経済の先行き不透明感、D中東を巡る地政学的リスク、Eロシアからの武器購入やジェノサイド、リビア派兵を巡る、米国及びNATO同盟国との関係悪化懸念など、不安材料は山積みです。
以上の通り、トルコリラ円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。トルコ中銀による「相次ぐ利下げ(※直近5会合で計12.75%もの利下げ幅)」を受けて、実質金利(名目金利?インフレ率)は既にマイナスに転じており、機関投資家による投資妙味の減退を受けた「トルコ離れ」が危惧されます。来週は、トルコ経済指標(設備稼働率や貿易収支)や、米FOMC(連邦公開市場委員会)、新型コロナウィルスを巡るヘッドラインを睨みながらも、トルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします。
来週の予想レンジ(TRYJPY):18.20ー18.60
トルコリラ円日足
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