ドル円は110円台を維持出来ず反落。新型肺炎が相場の重石に
今週のレビュー(1/20−1/24)
<ドル円相場>
今週のドル円相場は、週初110.14で寄り付いた後、早々に高値110.22まで上昇しました。しかし、先週末金曜日(1/17)に記録した直近高値110.30をバックに伸び悩むと、@米・シカゴ連銀全米活動指数(結果▲0.35、予想0.13)の冴えない結果や、A新型コロナウィルスの感染拡大を受けたグローバルなリスク回避ムード(株安・円高)、Bムニューシン米財務長官による「中国との第2段階通商合意を結ぶ厳密な期限は無い」との発言、C米長期金利の急低下(米10年債利回りは週前半に記録した1.825%から週末には1.672%へ)、D109.70近辺に控える支持帯(サポート水準)の下方ブレイク、E上記Dを受けた短期勢のストップロス、F米・1月製造業PMI(結果51.7、予想52.5)の予想比悪化が重石となり、週末にかけては、1/9以来、約2週間ぶり安値となる109.18まで下げ幅を広げました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間5時30分現在)では、109.25近辺で推移しております。
<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場は、週初1.1091で寄り付いた後、@ドイツ・1月ZEW景況感調査(結果26.7、予想15.0)の力強い結果を背景に、翌1/21に、高値1.1120まで上昇しました。しかし、一目均衡表転換線をバックに伸び悩むと、Aトランプ米大統領による「EUと通商合意出来なければEUから輸入する自動車へ25%の関税を賦課する」との発言や、B新型コロナウィルスの感染拡大を受けたリスク回避のドル買い圧力、Cイタリアを巡る政局不透明感の高まり(連立政権を担う左派「五つ星運動」のディマイオ党首が辞任)、DラガルドECB総裁によるハト派的な発言(戦略的検証の後ずれ容認→金融政策正常化期待の後退)が重石となり、週末にかけては、約1ヶ月半ぶり安値となる1.1020まで下げ幅を広げました。引けにかけて小反発するも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間5時30分現在)では、1.1027近辺で推移しております。
来週の見通し(1/27−1/31)
<ドル円相場>
ドル円相場は、1/17に記録した約8ヶ月ぶり高値110.30をトップに反落に転じると、今週末にかけて、約2週間ぶり安値109.18まで下げ幅を広げました。この間、109.70近辺に控える強力な支持帯(添付チャートの赤の水平線)や、一目均衡表転換線を下抜けするなど、テクニカル的にみて、「上値の重さ」を印象付けるチャート形状となりつつあります。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違いや(日本銀行は1/21に追加緩和を予想通り見送り)、Aトランプ米大統領の弾劾リスク(罷免リスクは乏しいものの、大統領選を前に支持率が急低下する恐れあり)、B米国ファンダメンタルズの冴えない結果、C米中貿易摩擦の再燃リスク(第1段階合意署名は実現するも、第2段階合意は後ずれする公算大)、D朝鮮半島や中東を巡る地政学的リスク、E新型コロナウィルスの感染拡大リスクなど、ドル売り・円買いを想起させる材料が今尚たくさん残っている状況です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。来週は米経済指標(消費者信頼感指数や、GDP速報値、PCEデフレータなど)の結果や、トランプ米大統領弾劾裁判、新型コロナウィルスに絡むヘッドライン、米FOMC(連邦公開市場委員会)を睨みながらも、ドル円の軟調推移をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週1/28ー29に開催される米FOMC(連邦公開市場委員会)では、BOJ(日本銀行)やECB(欧州中央銀行)同様、金融政策の現状維持が見込まれており、相場への影響は限られると予想されます。但し、昨年10月より開始した月額600億ドル規模の米財務省短期証券(Tビル)の買い入れが予定通り6月に終了するのか否か、短期レポを用いた資金供給が予定通り2月に終了するのか否かといった質問が出てくる可能性もあり、パウエルFRB議長の記者会見には注目が集まりそうです。
来週の予想レンジ(USDJPY):108.25ー110.25
<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は、週末にかけて下げ幅を広げ、1/24には約1ヶ月半ぶり安値となる1.1020まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や90日移動平均線、一目均衡表雲下限を下抜けした他、強い売りシグナルを表す三役逆転も成立するなど、テクニカル的にみて、「上値の重さ」を意識させるチャート形状となりつつあります。目先は、11/29以来となる、心理的節目1.10割れを試す動きが広がりそうです。
ファンダメンタルズ的に見ても、@米中貿易摩擦が欧米貿易摩擦に波及するリスク(欧米貿易摩擦の激化懸念)や、Aユーロ圏経済及び物価の先行き不透明感、Bイタリアを巡る政局不透明感、CECBによる追加緩和観測(早期正常化期待の後退)、D英国情勢の先行き不安(1/31に英国のEU離脱期限)、E新型コロナウィルスの感染拡大を受けたリスク回避のドル買いなど、ユーロ売りを意識させる懸念材料は根強く残っています。
以上の通り、ユーロドル相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「上値の重さ」が意識されます。来週は、ユーロ圏経済指標(ドイツ・1月Ifo景況感指数や、ドイツ・1月消費者物価指数など)や、米FOMC(連邦公開市場委員会)、新型コロナウィルスを巡る続報を睨みながらも、ユーロドル相場の続落をメインシナリオとして予想いたします(心理的節目1.10割れを試す展開)。
来週の予想レンジ(EURUSD):1.0925−1.1125
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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