トルコリラ円見通し 年初の反騰は1月17日高値で一巡、下落基調続く
【概況】
トルコリラ円はイラン情勢の緊張緩和により1月6日朝安値17.94円と1月8日朝安値17.98円をダブルボトムとして反騰したが、1月17日午後高値で18.82円を付けた後は上げ渋り、1月20日早朝には18.60円まで反落して1月15日夜安値を割り込んだ。その後もジリ安基調が続いて22日朝に18.48円まで続落してから22日夜に18.56円まで若干戻したものの、23日朝には22日朝安値を若干割り込んでいる。
1月6日から17日への反騰とその後の下落はドル円の反騰と反落という流れと概ね同調していた。金融市場全般がイラン情勢で大きく動き、その流れが一服すると中国武漢の新型コロナウイルスの感染拡大問題へシフトしているが、トルコリラに関する独自要因としてはトルコ中銀が5会合連続で利下げしたことを通過し、リビア内戦への関与やイスラエルとの地中海ガス田開発を巡る対立等もあるものの様子見の状況にあり、当面は金融市場全般及びクロス円全般の動きと同調する展開と思われる。
ドル/トルコリラは1月17日から21日まで3連騰(ドル高リラ安)し、22日は高値を更新後に小反落しているものの高値圏を維持している。
イスタンブール100株価指数は1月16日から21日まで4連騰したが、NYダウが21日から22日へと続落する中で22日は前日比0.65%安と下落した。
1月23日には16時に1月の消費者信頼感指数(12月の58.8から改善予想)、20時にはトルコ中銀金融政策会合議事要旨の公開がある。
【中国の新型コロナウイルスの感染拡大問題がトルコリラにも影響】
中国武漢での新型コロナウイルスによる肺炎感染拡大が続いている。中国政府による最新の発表では感染者数は571人に拡大している。
2002年から2003年に発生したSARS感染爆発においても中国政府の発表が後手後手となり感染が拡大したと批判されたが、今回も中央政府の動きが鈍い。1月24日から中国は春節(旧正月)の大型連休に入り、帰省や海外旅行等による大移動が発生するが、22日夜からは中国政府が発生源の武漢への出入りを規制し始めている。
今回の新型コロナウイルスはSARSに類似し、今のところの症状はSARSよりも重症度が低いともいわれているが、22日には米国での感染者が発見されるなど感染爆発期に入っている。
株式市場はイラン情勢の鎮静化と米中貿易協議の第1段階合意署名でリスク選好的な動きで推移してきたが、さらに高値追及へ進む材料に欠け始める中での感染爆発はリスク回避感を再燃させし、連日のように史上最高値を更新してきた米国株式市場における高値警戒感と手仕舞い売りを助長するきっかけとなりかねない。株安が深刻化する場合はリスク回避でクロス円全般が円高へ進み、トルコリラ円もその流れに押されることも懸念される。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月14日午前と17日夕の両高値をダブルトップとした弱気サイクル入りとして20日夜から22日夜にかけての間への下落を想定してきた。22日午前安値から22日夜へいったん戻してから23日朝に安値を更新しているため、22日午前安値を直近のサイクルボトム、22日夜高値を同サイクルトップとした新たな弱気サイクル入りとして25日早朝から29日午前にかけての間への下落を想定する。ただし22日夜高値を上抜き返す場合は22日午前安値とのダブルボトム形成からの強気サイクル入りと改めて27日から29日にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では1月22日夜の反発で遅行スパンがいったん好転したもののその後の反落で再び悪化している。また22日夜の戻り高値は先行スパンの下限が抵抗となった。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とするが、22日夜高値を上抜き返す場合はダブルボトムからの上昇期に入ると仮定して遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は22日夜の反発時には60ポイントに迫ったが23日朝への反落で40ポイントまで低下し、その後も50ポイント以下での推移となっている。22日夜高値を上抜き返せないうちは20ポイント台前半への低下を伴う下落を想定し、22日夜高値超えからは60ポイント台後半を目指す上昇を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、18.45円を下値支持線、1月22日夜高値18.56円を上値抵抗線とする。
(2)18.56円以下での推移中は一段安警戒とする。18.45円割れからは18.40円、次いで18.35円試しを想定する。18.35円以下は反発注意とするが、18.50円以下での推移なら24日も安値試しを続けやすいとみる。
(3)18.56円超えからはいったん強気サイクル入りとして18.60円から18.65円にかけてのゾーンを試すとみる。18.65円以上は反落注意とするが、新たな底割れを回避しての推移なら24日の日中も戻りを試す可能性ありとみる。
【当面の主な経済指標等の予定】
1月23日
16:00 1月消費者信頼感指数(12月 58.8)
20:00 トルコ中銀金融政策会合議事要旨
1月27日
16:00 1月製造業景況感 (12月 103.6)
16:00 1月設備稼働率 (12月 77.0%)
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