トルコリラ円見通し 金融市場全般のリスク回避感が重石(20/1/22)

世界的な株安同調が始まると、ドル高リラ安にトルコ株安も加わってトルコリラ円でのリラ安を助長しかねないと注意したい。

トルコリラ円見通し 金融市場全般のリスク回避感が重石(20/1/22)

【概況】

トルコリラ円はイラン情勢の緊張緩和により1月6日朝安値17.94円と1月8日朝安値17.98円をダブルボトムとして反騰入りとなり、1月17日午後には18.82円まで戻り高値を切り上げたが、その後は対ドルでリラ安が再燃し、ドル円も110円を割り込んだことで1月20日早朝には18.60円まで反落し、21日もジリ安基調が続いて22日早朝もこの間の安値を更新している。

1月17日への上昇はイラン情勢緩和でのリスクオン心理回復による円安と、対ドルでのリラ高が相乗効果となったが、17日以降は逆に円高と対ドルでのリラ安が負の連鎖となっているため、下落角度は緩いもののほぼ一本調子でのジリ安継続となっている。

1月21日の円高は、中国武漢での新型コロナウイルスによる肺炎感染拡大が2002年から2003年の中国広東省から始まったSARS感染爆発を彷彿とさせたことでリスク回避感が強まったためだった。1月24日から中国は春節(旧正月)の大型連休に入り、帰省や海外旅行等による大移動が発生するため感染爆発=アウトブレイクからパンデミックへと拡大するのではないかとの懸念が市場に重くのしかかり始めている。

【対ドルでのリラ安、3日目】

リスク回避の動きが再燃しており、ドル/トルコリラは1月17日から21日まで3連騰=ドル高リラ安となっているが、(ドルから見れば)3日連続の陽線での急反騰であり、1月8日から17日までの下げ幅の半値以上を解消する勢いとなっているため、1月8日高値を超えてドル高リラ安が進みやすい状況になりつつある印象だ。

イスタンブール100株価指数はNYダウ反騰と同調して1月16日から21日まで4連騰して終了したが、21日深夜以降のNYダウ反落は反映していないため、世界的な株安同調が始まると、ドル高リラ安にトルコ株安も加わってトルコリラ円でのリラ安を助長しかねないと注意したい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円60分足

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月15日深夜安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとして17日午前から21日午前にかけての間への上昇を想定していたが、1月20日朝に15日夜安値を割り込んだために20日午前時点からは14日午前と17日夕の両高値をダブルトップとした弱気サイクル入りとして20日夜から22日夜にかけての間への下落を想定した。

22日早朝へ続落しているため引き続きボトム形成中とみるが、若干戻しても安値を更新する展開が続く場合は連続的な弱気サイクル入りにより22日夜以降へボトム形成期が延長される可能性もあると注意する。

1月21日からの下落は60分足の26本移動平均が抵抗線となっている。同線を超えれば強気転換注意とし、21日夜の戻り高値18.56円を超える場合はいったん強気サイクル入りとして22日午後から24日午後にかけての間への上昇を想定するが、戻りは短命の可能性もあるので、いったん強気サイクル入りした後の下落で17日以降の安値を更新するところからは新たな弱気サイクル入りとして、週末から週明けにかけての一段安を警戒する。

60分足の一目均衡表では1月16日夜の反落で遅行スパンが悪化し、先行スパンからも転落したが、その後も両スパンそろっての悪化が続いているため、遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。新たな安値更新を回避してジリ高で進めば遅行スパンは好転しやすくなるので、遅行スパン好転からは高値試し優先とするが、その際には先行スパン下限が戻り抵抗となりやすいとし、遅行スパンが再び悪化するところからは下げ再開とみる。

60分足の相対力指数は21日午後安値の後の安値更新に対して指数のボトムが切り上がっており強気逆行の気配がみられる。50ポイントを超える場合は戻り高値試し優先とするが、再び30ポイント割れするところからは下げ再開とみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、1月22日朝安値18.48円、次いで18.40円を下値支持線、1月21日夜高値18.56円を上値抵抗線とする。
(2)18.56円以下での推移中は下落余地ありとし、22日朝安値割れからは18.40円前後試しを想定する。18.40円以下は反発注意とするが、18.50円以下での推移なら23日も安値試しを続けやすいとみる。
(3)18.56円超えからはいったん強気サイクル入りとして18.60円から18.65円にかけてのゾーンを試すとみる。18.60円台は反落注意とするが、新たな底割れを回避しての推移なら23日の日中も戻りを試す可能性ありとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

1月23日
 16:00 1月消費者信頼感指数(12月 58.8)
 20:00 トルコ中銀金融政策会合議事要旨

1月27日
 16:00 1月製造業景況感 (12月 103.6)
 16:00 1月設備稼働率 (12月 77.0%)

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