トルコリラ円見通し 1月17日午後高値からの失速続く(20/1/21)

トルコリラへのドル高圧力もやや緩むと思われるが、リビア情勢やイスラエルとの対立感等もあるため先週後半からのリラ安が続きやすい状況かもしれない。

トルコリラ円見通し 1月17日午後高値からの失速続く(20/1/21)

【概況】

トルコリラ円はイラン情勢の緊張により1月6日朝安値で17.94円まで急落し、1月8日朝にも17.98円の安値を付けて二度目の18円割れとなったが、米国とイランの全面戦争突入回避により金融市場全般がリスクオン心理を回復したためにクロス円で円安となり、対ドルでもリラが反騰したことで1月14日午前には18.77円まで大幅上昇した。さらに17日夕刻には18.82円まで戻り高値を切り上げたが、その後は対ドルでリラ安が再燃し、ドル円も110円台序盤で足踏みとなったことから1月20日早朝には18.60円まで反落した。

1月20日は米国市場がキング牧師生誕記念日で取引所取引が休場となり、主要な経済指標の発表等の手掛かりに乏しくドル円は小動きだったが、トルコリラ円は対ドルでのリラ安が続いたことでジリ安となり、20日深夜には18.59円まで安値を切り下げている。

ドル/トルコリラは1月8日に5.9881リラまでドル高リラ安となっていたが、イラン情勢緊張緩和で1月16日安値5.8350リラまでドル安リラ高となった。しかし17日、20日とドル高リラ安がぶり返している。ドル高の背景はメジャー通貨においてユーロやポンドが下落したこと、豪ドル等も下落したことで16日夜からドル高感が強まっていたことが原因だった。ユーロやポンド、豪ドルは20日深夜からは戻しているためトルコリラへのドル高圧力もやや緩むと思われるが、リビア情勢やイスラエルとの対立感等もあるため先週後半からのリラ安が続きやすい状況かもしれない。

【地中海情勢】

リビア国営石油会社(NOC)は1月19日にシラージュ暫定政権と対立する「リビア国民軍(LNA)」傘下の武装勢力が同国のパイプラインを閉鎖したことを受け、同国南西部の二つの大規模油田が操業を停止したと報じた。20日にはシャララ油田とエルフィール油田からの原油輸出について不可抗力条項を発動している。

リビアは暫定政権と反政府勢力による内戦が長期化している。暫定政権は欧米が支持し、NATO加盟国のトルコは支持にとどまらずに暫定政権支援のために軍を派遣している。一報で反政府側にはロシアが協力している。

トルコとロシアはロシアの天然ガスを欧州へ供給するパイプライン=トルコストリームを稼働させ、トルコはNATO加盟ながらロシア製ミサイル等を導入して米国と対立するなど、ロシアとは協力関係もある。しかしリビア問題では真っ向から対立しているわけだ。

トルコがリビアに軍事介入している背景にはイスラエルによる東地中海のガス田開発問題がある。イスラエルはガス田開発の成功によりエジプトへ輸出を開始して天然ガスの輸出国となろうとしている。ギリシャやエジプトと協力関係を築いて新たなパイプラインを地中海に構築して欧州への天然ガス供給を開始しようとしている。この動きはロシア・トルコによるロシア天然ガスの欧州への供給と対立するものであり、トルコはリビアと結託することによりトルコ・リビア間にあるイスラエルの地中海パイプライン建設を阻止しようとしている。そのためにリビアへ派兵しているわけだ。事はロシア、イスラエル、トルコ、リビア、エジプト等も巻き込む混沌を発生させかねない問題として注視すべきだろう。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円60分足

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月14日午前高値から15日夜安値へ反落してから戻り高値を更新したため15日深夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして17日午前から21日午前にかけての間への上昇を想定していたが、1月20日朝に15日夜安値を割り込んだために20日午前時点では14日午前と17日夕の両高値をダブルトップとした弱気サイクル入りとした。またボトム形成期は20日夜から22日夜にかけての間と想定されるので、17日夕高値を上抜き返せないうちは一段安余地ありとした。

20日深夜へ下落した後は横ばいに留まっているので、18.70円を下回るうちはまだ一段安余地ありとするが、前回ボトムから3日を経過しているので18.65円超えを強気転換注意とし、18.70円超えからは強気サイクル入りとして22日午後から24日午後にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では1月16日夜の反落で遅行スパンが悪化し、先行スパンからも転落したが、その後も両スパンそろっての悪化が続いているため、遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。新たな安値更新を回避してジリ高で進めば遅行スパンは好転しやすくなると留意し、遅行スパン好転からは高値試し優先とする。その際に先行スパン上部が戻り抵抗となりやすいとみるが、先行スパンを上抜き返すところからは上昇に弾みも付きやすいと注意する。ただし、いったん遅行スパンが好転した後に再び悪化するところからは下げ再開を警戒する。

60分足の相対力指数は20日夜の下落で30ポイントに到達してから戻し気味となっている。50ポイント台を回復・維持へ進めないうちはもう一段安余地ありとするが、50ポイント超えから続伸するような反騰入りと考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、1月20日深夜安値18.59円を下値支持線、18.65円を上値抵抗線とする。
(2)18.65円以下での推移か一時的に超えても維持できずに反落する内は下落余地ありとし、20日深夜安値割れからは18.40円台への下落を想定する。18.45円以下は反発注意とするが、18.60円以下での推移なら22日も安値試しを続けやすいとみる。
(3)18.65円超えから続伸の場合は強気転換注意とし、18.70円超えからは強気サイクル入りとして18.75円前後試しを想定する。リスクオン優勢となるような材料を背景に高値を更新する場合は17日午後高値18.82円試しへ向かう可能性もあるが、18.70円前後まで上昇から反落して17日以降の安値を更新する場合は新たな弱気サイクル入りにより週後半に18.40円を目指す流れへ進みやすくなると考える。

【当面の主な経済指標等の予定】

1月23日
16:00 1月消費者信頼感指数(12月 58.8)
20:00 トルコ中銀金融政策会合議事要旨

1月27日
16:00 1月製造業景況感 (12月 103.6)
16:00 1月設備稼働率 (12月 77.0%)

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