ドル円見通し 1月8日底からの連騰一服、110円台序盤で足場固まるか?(20/1/21)

1月21日は日銀金融政策決定会合があるが、大きな姿勢の変化はなく現状維持とみられる。

ドル円見通し 1月8日底からの連騰一服、110円台序盤で足場固まるか?(20/1/21)

【概況】

ドル円はイラン情勢の緊張下で1月6日朝に107.75円、1月8日午前に107.65円の安値を付けたが、イラン情勢が全面戦争突入回避となったことでリスクオン心理が回復したために両安値をダブルボトムとして反騰に転じた。1月9日には年初からの急落分を解消し、その後もNYダウの史上最高値更新に後押しされて1月14日には110.21円の高値を付けて12月2日以降にクリアできなかった110円の壁を突破し、1月17日には110.28円まで戻り高値を切り上げた。

110円の壁を突破したことにより上昇に勢いがつきやすい位置に到達したが、17日午前高値の後は新たな高値更新へ進めずに110円台序盤での持ち合いが続いている。1月20日はキング牧師生誕記念日で米国取引所取引が休場となり、手掛かりに乏しい中で小動きに終始した。

【日銀金融政策決定会合は波乱無し?】

1月21日は日銀金融政策決定会合があるが、大きな姿勢の変化はなく現状維持とみられる。15時半からは黒田総裁の定例会見もあるが、市場に対して刺激となるような発言でサプライズが発生する可能性も低いと思われる。

ドル円は昨年1月3日の急落時に104.82円の安値を付け、昨年4月24日高値112.39円まで戻してから昨年8月26日安値104.45円まで下落した。二度目の105円割れを切り返して2020年1月は8か月振りに110円台を回復しているが、2018年10月4日高値114.54円から2019年4月24日高値112.39円へ高値ラインは切り下がっており、現在の上昇も昨年4月高値を超えて高値切り上がり型へと発展しないうちは通貨当局として円安進行への懸念も持つ必要にも迫られないと思われる。

【株高と比較するとまだ勢いが鈍い】

NYダウは1月13日から17日まで5連騰で史上最高値を更新している。2018年10月高値を2019年7月高値で超え、2019年10月序盤から現在への一段高へ進んできた。その一方でドル円は2018年10月高値から2019年4月高値へ高値ラインは切り下がり、昨年8月底からの上昇が現在まで継続しているものの昨年4月高値に届かない程度にとどまっている。
ドル円にとっては株高によるリスクオン心理の波及だけが円安材料ではないが、高値と安値の形成リズムはかなり同調している。株高に対してドル円の上昇=リスクオンの円安が勢いに欠けるのは、株式市場が目先のリスクオンによる高値追及に走りやすい反面、ドル円では先行きの不透明感や2019年1月3日や2019年8月26日への104円台への下落等による中期的な円高感が上値を抑えるブレーキとなっている印象がある。

110.50円、111円と心理的な節目をクリアしてゆけば昨年4月高値112.39円を目指す可能性も出てくるかもしれないが、110円台を維持しきれない状況に入ると昨年4月24日高値から崩れた時の展開を市場も思い起こして弱気に傾斜しかねないところでもある。

イラン情勢は一服したがまだ火種は残り、米国が突然空爆で要人を殺害するような行動に出たことへの不安心理も抱えた。米中通商協議の第1段階合意は織り込んで次の第2段階への不透明感も再燃しやすい。米経済指標はさほど悪くないものの製造業中心の減速懸念もある。ドル円の動向を左右する大きな要因でもある日米長期金利差も昨年後半からは横ばい程度であり、ドル円の上昇を裏付ける動きにはなっていない。NYダウの史上最高値も連日のように続けばいつ強気の梯子が外されるのかという高所恐怖症も湧いてくる。漫然とした不安感がまだドル円の市場心理には残っているのではないかと思われる。

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

ドル円60分足

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月6日朝安値と8日午前安値をダブル底とした上昇が1月14日高値でいったんサイクルトップを付けて1月15日深夜へ小反落し、1月17日に高値を更新したことで新たな強気サイクルに入った。このサイクルの高値形成期は1月14日午前高値を基準として17日午前から21日午前にかけての間と想定されたが、既に21日に入っている中で新たな高値更新へ進めずにいるため、17日午前高値を直近のサイクルトップと仮定する。17日午前高値を上抜けないうちは21日の日中から22日深夜にかけての間への下落余地ありとするが、17日午前高値超えからは新たな強気サイクル入りとして22日午前から24日午前にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では、17日朝への上昇で遅行スパンが好転し、先行スパンを上抜き返した。その後は横ばい推移のため遅行スパンは実線と交錯しているが先行スパンを上抜いた状況は維持している。110円を割り込むところからは先行スパンからの転落感が強まるため遅行スパン悪化中の安値試し優先とするが、1月17日高値を上抜くところからは一段高入りとして遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は1月14日高値から1月17日の高値への高値切り上がりに対して指数のピークが切り下がる弱気逆行となり、その後は50ポイントを挟んで横ばい推移となっている。60ポイント超えからは上昇再開とみるが、45ポイント割れからは下げ再開注意として30ポイント台序盤への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、110.00円、次いで1月15日深夜安値109.79円を下値支持線、1月17日午前高値110.28円を上値抵抗線とする。
(2)110円以上での推移か、わずかに割り込んでも回復するうちは上向きとし、110.28円超えからは110.50円試しを想定する。110.50円前後はいったん売られやすいとみるが、110円以上での推移なら22日も高値を試す余地ありとみる。また110.50円に到達後も110.20円以上での推移が続く場合は週後半にかけて111円を目指す可能性も検討される。
(3)110円割れから続落の場合は弱気転換注意として15日深夜安値試しとし、底割れからは109.50円前後試しを想定する。109.50円前後は押し目買いされやすいところとみるが、材料を伴って109.50円を割り込む場合は109円台序盤へ週後半の下値目途を引き下げる。

【当面の主な予定】

1/21(火)
世界経済フォーラム=ダボス会議 1月24日まで
未 定 (日) 日銀金融政策決定会合、政策金利 (現行 -0.10%)
未 定 (日) 日銀展望レポート
15:30 (日) 黒田東彦日銀総裁、定例記者会見
18:30 (英) 12月 失業保険申請件数 (11月 2.88万件)
18:30 (英) 12月 失業率 (11月 3.5%)
18:30 (英) 11月 失業率・ILO方式 (10月 3.8%、予想 3.8%)
19:00 (独) 1月 ZEW景況感・期待指数 (12月 10.7)

1/22(水)
08:30 (豪) 1月 ウエストパック消費者信頼感指数 (12月 95.1)
23:00 (米) 11月 住宅価格指数 前月比 (10月 0.2%、予想 0.3%)
24:00 (加) カナダ銀行 政策金利 (現行 1.75%、予想 1.75%)
24:00 (米) 12月 中古住宅販売件数・年率換算件数 (11月 535万件、予想 543万件)
24:00 (米) 12月 中古住宅販売件数 前月比 (11月 -1.7%、予想 1.3%)

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