ドル円見通し 110円を挟んだ持ち合いから転落か
【概況】
ドル円はイラン情勢の緊張緩和により1月6日朝安値107.75円と1月8日午前安値107.65円をダブルボトムとして反騰に転じ、1月14日に110.21円まで上昇して110円台を回復、17日には110.28円まで高値を切り上げたものの、その後は新たな高値更新へ進めずにいる。中国武漢の新型コロナウイルスの感染拡大報道からリスク回避感が強まり21日午前の下落で110円を割り込み22日未明には109.73円の安値を付けて1月15日深夜安値109.79円を割り込んだ。22日昼前にはいったん110.08円まで戻したものの110円台を維持できずに失速し、23日朝には109.66円まで下げて22日未明安値を割り込んでいる。
現状はまだ1月14日高値以降は110円を挟んで前後0.30円弱幅の持ち合いという様相だが、1月14日から17日までは高値を切り上げたがその後は切り上げへ進めず、逆に1月15日深夜安値から22日未明安値、23日朝安値と安値が切り下がりに入っているため、110円を挟んだ持ち合いからの転落となり、1月8日からの反騰に対する修正安局面入りとなる可能性がある。23日朝安値を割り込む場合は、1月17日への上昇に対する3分の1押し109.40円、半値押し108.96円等が下値目途として意識されると思われる。
トランプ米大統領はスイスのダボス世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)に参加し、会見でEUとの貿易協定を大統領選までに締結できると思うと述べたが、その一方で合意ができなければ欧州からの輸入車に25%の関税を課すと述べている。中国との通商協議は第1段階合意に達して当面は次の第2段階が開始するまでは静穏だが、EUとの対立が激化するのかどうか注目されるところだ。
英議会の上院は22日にEU離脱関連法案を承認した。関連法案が上下両院を通過したためにエリザベス女王の裁可を得て週内に成立し、1月31日にはEU離脱が始まる。議会の混乱なく法案が通過したことで英ポンドは上昇しているが、実際の離脱が始まる段階で果たして混乱が生じないのかどうか注視する必要がある。
1月22日夜に発表された米不動産業者協会(NAR)の12月中古住宅販売件数は季節調整済年換算で前月比3.6%増の554万戸となり2か月ぶりのプラスだった。2018年2月以来の高水準で市場予想の543万戸を上回った。
【ダウ上昇が鈍化、米10年債利回り低下傾向】
NYダウは1月17日に史上最高値を更新したが祝日明けの21日は152.06ドル安と下落、22日も前日比9.77ドル安と小幅続落で年初からの上昇に対する勢いがやや落ちている。ナスダック総合指数は10日連続で取引中の史上最高値を更新したが前日比は12.96ポイント高にとどまった。
イラン情勢がひとまず落ち着き、米中通商協議が1月15日第1段階合意署名で一服となり株式市場のリスク選好は続いているものの、中国の新型コロナウイルスの感染拡大が経済を停滞させるのではないかとの不安感がリスク回避的な動きを見せ始めていることに注意したいところだ。そうした懸念を反映して米10年債利回りは21日に前日比0.04%低下したが22日も0.01%の低下で1.77%となっている。米10年債利回りが低下傾向にあることもドル円の上昇を抑える要因となっている。
【60分足一目均衡表、サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月15日深夜安値をボトムとして強気サイクル入りしたが、1月17日高値の後は新たな高値更新へ進めずにいたために、21日朝時点では17日午前高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとした。また17日午前高値を上抜けないうちは21日の日中から22日深夜にかけての間への下落余地ありとした。
1月22日未明安値から22日昼へいったん戻してから23日朝に安値を更新したため、22日未明安値を直近のサイクルボトム、22日昼高値を同サイクルトップとして底割れから新たな弱気サイクルに入ったと仮定する。新たなボトム形成期は25日未明から29日朝にかけての間と想定されるので、22日昼高値を上抜けないうちは一段安警戒とする。
ただし、1月22日昼高値を上抜き返す場合は直前安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りと改めて24日から28日にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では、21日午前の下落で先行スパンから転落し、遅行スパンも悪化した状況が続いていたが、22日昼への反発では先行スパンを上抜け切れずに失速している。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、両スパンそろって好転するところからは上昇再開の可能性ありとして遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は1月21日午前安値から22日未明への安値更新時に指数のボトムが切り上がる強気逆行を見せたものの、23日朝の反落で30ポイントまで低下しているので下落再開と思われる。50ポイントを下回るうちは一段安警戒とし、20ポイント台前半では反発注意とするが、相場がいったん戻した後の下落で安値を更新する際に指数のボトムが切り上がる強気逆行が見られないうちは下落継続となりやすいと思われる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、109.50円から109.40円を下値支持線、22日昼高値110.08円を上値抵抗線とする。
(2)110.08円以下での推移中は下向きとし、109.50円から109.40円前後を試すとみる。109.40円は1月8日からの上昇に対する3分の1押し水準のため買い戻しも入りやすいとみるが、さらに続落の場合は半値押しの108.96円試しへ向かうとみる。また110円以下での推移中は24日も安値を試しやすいとみる。
(3)110.08円超えからは強気サイクル入りと改めて1月17日高値110.28円試しを想定する。17日高値を上抜く場合は一段高入りとなるため上値目途を110.50円試しへ引き上げるが、110.50円手前は1月14日高値と17日高値を結ぶ抵抗線が来るために戻り売りにつかまりやすいとみる。(了)<9:05>
【当面の主な予定】
1/23(木)
13:30 (日) 11月 全産業活動指数 前月比 (10月 -4.3%、予想 0.1%)
14:00 (日) 11月 景気先行指数・改定値 (速報 90.9)
14:00 (日) 11月 景気一致指数・改定値 (速報 95.1)
21:45 (欧) 欧州中央銀行(ECB)政策金利 (現行 0.00%、予想 0.00%)
22:30 (欧) ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、定例記者会見
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 20.4万件、予想 21.5万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 176.7万人、予想 174.6万人)
24:00 (米) 12月 景気先行指数 前月比 (11月 0.0%、予想 -0.2%)
24:00 (欧) 1月 消費者信頼感 (12月 -8.1、予想 -7.8)
1/24(金)
休場 中国(旧正月)
06:45 (NZ) 10-12月期消費者物価 前期比 (前期 0.7%、予想 0.4%)
06:45 (NZ) 10-12月期消費者物価 前年同期比 (前期 1.5%、予想 1.8%)
08:30 (日) 12月 全国消費者物価指数 前年同月比 (11月 0.5%、予想 0.7%)
08:30 (日) 12月 全国消費者物価指数・生鮮食料品除く 前年同月比 (11月 0.5%、予想 0.7%)
08:30 (日) 12月 全国消費者物価指数・生鮮食料品・エネルギー除く 前年同月比 (11月 0.8%、予想 0.9%)
08:50 (日) 日銀・金融政策決定会合議事要旨
17:30 (独) 1月 製造業PMI (12月 43.7、予想 44.5)
17:30 (独) 1月 サービス業PMI (12月 52.9、予想 53.0)
18:00 (欧) 1月 製造業PMI (12月 46.3、予想 46.8)
18:00 (欧) 1月 サービス業PMI (12月 52.8、予想 52.8)
18:30 (英) 1月 製造業PMI (12月 47.5、予想 48.7)
18:30 (英) 1月 サービス業PMI (12月 50.0、予想 51.0)
23:45 (米) 1月 製造業PMI (12月 52.4、予想 52.5)
23:45 (米) 1月 サービス業PMI (12月 52.8、予想 52.5)
オーダー/ポジション状況
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