ユーロ週報 ユーロは上値の重たい地合いが続く(週報1月第3週)

材料次第ではあるものの、最近のユーロドルの値幅の狭さを考えると今週は1.10台半ばが限界でしょうか。

ユーロ週報 ユーロは上値の重たい地合いが続く(週報1月第3週)

ユーロは上値の重たい地合いが続く

今週の週間見通しと予想レンジ

先週は木曜NY市場まではリスクオンによる円売りの動きがユーロ円でも見られ、ユーロ円の上昇がユーロドルも上昇させる流れが続きました。木曜NY市場以降は円の動きからドルの動きとなりドル買いがユーロ売り、それまでの上がってきた動きに対する調整も入る中、フランス経財相の米国とEUとの貿易摩擦を懸念させる発言がダメ押しとなり、週間安値を更新しての引けとなりました。

ユーロドルは、今後もユーロ円での動きとドルの動きとのどちらの材料に反応するかで方向性が異なってきますが、それぞれのユーロの動きが逆になるリスクオンの流れでは値幅は伴わないという傾向は今後も続きそうです。いっぽうで、先週は久しぶりに米国とEUとの貿易摩擦懸念に繋がる話が出てきましたが、先々週までは昨年末からユーロ安の流れとなっていたことを考えると、ユーロドルでも改めてドル買い・ユーロ売りという流れになってきたようにも思えます。

今週は材料的には、火曜のEU財務相会合における1月末のブレグジットに関する議論、木曜のECB理事会とラガルド総裁会見、そして金曜の主要国PMI速報値といったところが目立つイベントですが、ブレグジットに関しては離脱以降の移行期間に対する英国とEUとの考え方に温度差はあるままですし、ECB理事会も現状ではまだ昨年の包括的緩和政策の効果を見極めている段階で、新たな動きが出てくるとは思えません。結局は通常の経済指標、特に重視されるPMI速報値の影響が最も大きいように思えます。

もうひとつ気になるのは金曜のハスケルMPC委員の講演でしょうか。ハスケル委員はハト派で昨年12月にも「英国経済の下振れリスクは、英中銀の予想を上回って長引いている」といった発言をしていますので、今後の英中銀の利下げ思惑がますます強まるきっかけとなる可能性があります。最近のポンドの動きはユーロと同様の動きをしていますが、金曜にユーロが下げた一因がポンドの下げでもあったので、今週もドルの動きが目立つ時にはポンドの動向にも注意を払いたいところです。

他には新たな材料は無いものの、米国とEUとの間の貿易摩擦に関する発言がトランプ大統領からも出てくる可能性はありますし、日本、中国と一定の結果が出てきている通商協議に関して、次はEUというのがトランプ大統領の考えでしょうから、今年はEU関連の話題が今まで以上に出てくるものと予想されます。また通商協議と関連してユーロの水準についてユーロが弱すぎるといった発言をする可能性もあり、その場合はユーロ高要因となる点には注意しておきましょう。

次にテクニカルです。日足チャートをご覧ください。

ユーロは上値の重たい地合いが続く

サポート側がピンクの太線、レジスタンス側はピンクの細線のラインを想定します。金曜の下げは年初来安値に1pip足りずという動きでしたが、昨年末高値からの逆N波動(ピンクの逆N)の下降トレンドをイメージさせる動きでもあり、その場合にはフィボナッチエクスパンションの61.8%が1.1078とほぼサポートと重なる水準です。

ここで止められれば反発の可能性も出てきますが、止まらない場合にはサポートを下抜けて、78.6%(61.8%の平方根)エクスパンションである1.1053から100%エクスパンションである1.1019という1.10台前半を視野に入れた流れになってきそうです。材料次第ではあるものの、最近のユーロドルの値幅の狭さを考えると今週は1.10台半ばが限界でしょうか。

今週は上値の重たい地合いを継続しやすく、1.1050レベルをサポートに1.1140レベルをレジスタンスとするレンジを見ておきます。

今週のコラム

今週ユーロポンドの日足チャートを見てみましょう。

ユーロは上値の重たい地合いが続く 2枚目の画像

ユーロポンドは、昨年8月を高値にユーロ安・ポンド高の動きでしたが、昨年12月に安値をつけて以降の動きを見ると、それまでのユーロ安の流れに変調を見せ始めてきたチャートと言えます。まず、10月後半からの緩やかなレジスタンスを上抜け、昨年8月高値と10月高値を結んだレジスタンスも上抜けたので、現状は8月高値と今年の年初来高値を結んだラインにしていますが、11月から今月までのチャートのパターンはリバーサルパターンを形成中にも見えます。

英国の離脱が1月末に決まり、今後出てくる材料としてもポンド売りの材料が出やすくなる可能性もあるため、昨年12月安値をボトムとして、上昇する動きが出やすくなってきていると言えそうです。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

1月20日(月)
**:** NY市場休場
16:00 ドイツ12月PPI

1月21日(火)
18:30 英国12月失業率
19:00 ドイツ1月ZEW景況感
19:00 ユーロ圏1月ZEW景況感
**:** EU財務相会合
**:** ダボス会議(〜24日)

1月22日(水)
16:40 英中銀総裁講演
16:45 フランス1月企業景況感

1月23日(木)
21:45 ECB理事会
22:30 ラガルドECB総裁会見
24:00 ユーロ圏1月消費者信頼感速報値

1月24日(金)
17:15 フランス1月製造業・サービス業PMI速報値
17:30 ドイツ1月製造業・サービス業PMI速報値
17:30 フランス中銀総裁講演
18:00 ユーロ圏1月製造業・サービス業PMI速報値
18:30 英国1月製造業・サービス業PMI速報値
18:30 ハスケル英中銀MPC委員講演

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

1月13日(月)
ユーロドルは、アジア市場ではリスクオン相場の中で基本的にユーロ円の買いに引っ張られて底堅い展開を続けました。欧州市場序盤にはポンドの下げとともに一時的に押す場面も見られましたが、再びユーロ円とともに買いが入りましたが、値幅は狭いままでの取引が続きました。

1月14日(火)
ユーロドルは、東京市場では動きが見られなかったものの、欧州市場に入りポンドが前日安値を割り込む動きとともに売りが先行しました。しかしポンドに買い戻しが入る動きとともにユーロも買い戻される流れとなり、下げる前の水準に戻しての引けとなりました。

1月15日(水)
ユーロドルは欧州市場では実需の買いと、前日高値を上回ったことによるストップも重なって上昇しました。NY市場では米国財務省の為替監視リストにスイスが再び戻ってきたことによるスイスフラン買いがユーロを底堅くしている様子でしたが、ドル円の動きが鈍くなってきていることから、欧州通貨での取引がやや活発になってきた様子にも見えました。

1月16日(木)
ユーロドルは東京市場では動かず、欧州市場ではリスクオンによる円売りの動きからユーロ円の買いがユーロドルの水準も持ち上げる動きとなりました。NY市場ではドル買いの動きが主となりユーロドルは下落、1.1128レベルまで水準を切り下げ上値の重たい引けとなりました。

1月17日(金)
ユーロドルは、東京市場では動かず、欧州市場に入り当初はポンドの下げに追随、その後フランス経財相による米国とEUとの貿易摩擦を懸念させる発言をきっかけに一段安。NY市場では強めの米国経済指標がドル買いユーロ売りとなり、1.1086レベルと週間安値を更新後も上値の重たいままでの週末クローズとなりました。

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