ドル円 しばらくは週末終値に注目!
今週の週間見通し
先週のドル円は基本的に米国株高が主導する形でのリスクオンの円売りが目立ちました。火曜には110円の大台に乗せましたが、それ以降は大台割れの買いと110円台前半では輸出を中心とした実需や短期筋の利食い売りも出て、110円台前半の狭いレンジの中で上下ともに厚みがありそうな地合いのままでの週末クローズとなりました。
今週は各種経済指標以外では日銀会合があり、将来的な追加緩和に言及してくるようだと円売りのきっかけになる可能性はありますが、最近の日銀のスタンスを見ている限り早期に緩和に動く感じは見られませんし、最近は株高と円安ということもあって、こうした流れの中ではまず現状維持ということになるでしょう。そうなると、若干金利上昇圧力が見られる可能性もありますし、イベント通過で円高方向に動く可能性もありそうです。
そして週後半に向けては、米国株高の動きがさらに続くのかどうか、引き続きリスクオンの主因となっている株式市場と歩調を合わせたリスクオン相場なのかを見ていくこととなりますが、個人的には調整らしい調整が無いままに上昇を続けている米国の主要3株価指数もそろそろ警戒水域に入ってきているのではないかと感じます。NYダウがこのまま3万ドルの大台まで買われ続けるというのは短期的な動きとしては行き過ぎではないのかというイメージです。
そして、個人的にもっとも気になるのが長期チャートにおけるレジスタンスラインです。先週金曜の段階で追っかけ買いに注意喚起する意味で、ドル円の月足チャートと週足チャートを載せましたが、改めて週足チャートをご覧ください。
ピンクの太線で示したレジスタンスラインは、2015年6月の高値125.86から引いたレジスタンスですが、これまでも円安局面が何度もこのラインで止められています。チャート内2018年後半の上値の抑えられ方は見事というレベルです。
先週時点でこのレジスタンスラインと週足高値が接する動きを見せましたが、今のところまだ上抜けてはいません。今後の動向を考える場合、このラインを明確に上抜けるか抜け切れないかで短期的な動向は大きく変わってきます。長期のラインのため、ある程度の誤差を考えると110円台半ばよりも上での週末終値を2週続けて見るような動きが、明確に上抜けるということになってくると見ています。
今週はこのラインがやや下がって来ますので、日足チャートをご覧ください。
既に長期レジスタンスライン(ピンクの太線)以外のレジスタンスは抜けてしまっていますので、この長期レジスタンスと、週末終値との関係がわかるように1週間を青の四角で囲ってあります。今週末で110.10レベルに下がって来ますが、先ほど書いた通りである程度の誤差は見ておいた方がよいでしょう。
仮に、このレジスタンスを明確に抜けてくると昨年8月安値からの上昇チャンネル(ピンクの平行線)の中での上昇を続けていくことになりますが、個人的にはその前に調整が入る可能性の方が高いように思えます。いずれにしても今月中には抜けるかどうかのトライの結果はわかるでしょう。
個人的には上述の通り、109.40レベルをサポートに、110.40レベルをレジスタンスとする一週間を見ておきます。
ドル円(日足)チャート
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2020年FOMCメンバー(ニューヨーク、フィラデルフィア、クリーブランド、ミネアポリス、ダラス)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。
1月20日(月)
**:** NY市場休場
**:** 日銀会合(〜21日)
16:00 ドイツ12月PPI
1月21日(火)
**:** 日銀会合結果発表
15:30 黒田日銀総裁会見
18:30 英国12月失業率
19:00 ドイツ1月ZEW景況感
19:00 ユーロ圏1月ZEW景況感
**:** EU財務相会合
**:** ダボス会議(〜24日)
1月22日(水)
16:40 英中銀総裁講演
16:45 フランス1月企業景況感
17:00 南ア12月CPI
23:00 米国11月住宅価格指数
24:00 カナダ中銀政策金利発表
24:00 米国12月中古住宅販売件数
25:15 カナダ中銀総裁会見
1月23日(木)
08:50 本邦12月通関貿易統計
09:30 豪州12月失業率
21:45 ECB理事会
22:30 ラガルドECB総裁会見
22:30 米国新規失業保険申請件数
24:00 ユーロ圏1月消費者信頼感速報値
24:00 米国12月景気先行指数
25:00 週間原油在庫統計
30:45 NZ10〜12月期CPI
1月24日(金)
**:** 中国市場休場
08:30 本邦12月CPI
08:30 日銀会合(12月)議事要旨公表
17:15 フランス1月製造業・サービス業PMI速報値
17:30 ドイツ1月製造業・サービス業PMI速報値
17:30 フランス中銀総裁講演
18:00 ユーロ圏1月製造業・サービス業PMI速報値
18:30 英国1月製造業・サービス業PMI速報値
18:30 ハスケル英中銀MPC委員講演
23:45 米国1月製造業・サービス業PMI速報値
前週の主要レート(週間レンジ)
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
1月13日(月)
東京市場が休場となった月曜は前週後半からのリスクオン姿勢が継続、アジア市場で日経先物が上昇する中でドル円も終日じり高の展開となりました。欧州市場以降は110円の大台を前に足踏み状態となりましたが、109.95レベルの高値をつけた後もそのまま高値圏での引けとなりました。
1月14日(火)
東京市場は前日の流れを受け朝方に110.21レベルの高値をつけましたが、その後は株価の上値も重たくなる中で、110円台前半の狭いレンジの中でもみあいに終止しました。引き続き根強いドル買いがいるいっぽうで、輸出の実需売りも出ていた様子で綱引き状態の一日でした。
1月15日(水)
ドル円は110円台では実需のドル売りが見られることに加え、テクニカルにも110円台前半が強いレジスタンスとなっていることから上値の重たい展開が続きました。NY市場で史上最高値を更新するダウに引っ張られて買われた際にも110円の大台で止められたことから徐々に利食い売りが増えてきましたが、値幅自体は狭く22銭レンジに留まりました。
1月16日(木)
ドル円は東京市場では底堅かったものの小動き、欧州市場ではダウ先物の底堅い動きからドル円を中心に円売りの動きが先行しました。NY市場では強めの米国経済指標をきっかけに米国株が一段高となり、リスクオンの動きからドル円も110.18レベルまで高値を切り上げ高値圏での引けとなりました。
1月17日(金)
ドル円は前日NY市場の流れを受け株価指数先物が早朝市場で一段高となり、一時110.29レベルと週初の高値を上抜ける動きとなりました。しかし、その後は日経平均株価の上値が重くなったことからドル円も後が続かず、欧州市場ではユーロが対ドル、対円ともに売られたことから110円台前半で上値も重く下値も底堅いといった地合いのまま引けました。
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