トルコリラ円レポート月曜版
まず、年末年始の振り返り(ショートコメント)ですが、テクニカルな観点から「18.20レベルをサポートに、18.60レベルをレジスタンスとする動き」を見ていました。実際のレンジは、安値が18.04レベル、高値が18.47レベルと、年明け2日までは上値が重たいながらも緩やかな下げでしたが、3日の米国によるイラン司令官殺害をきっかけに急速に値を下げる展開となりました。
この米軍の行動はもとを正せばイランが支援するイスラム過激派によるイラクの米軍基地攻撃が始まりですが、その後米国の報復が最高指導者防衛の司令官殺害に至ったことで、イランとしての報復、そしてトランプ大統領はイランが報復すれば更なる報復と双方が報復の可能性が高まっていることが一気に中東の緊張を高めることとなりました。
トルコはこれまで話題に出てきたシリアだけでなく、南側はイラクと接し東側はイランと接しているという、今回の紛争の舞台と非常に近い場所に位置しています。また、トルコは宗教的にはイスラム圏にありイランとは友好的な関係を保っているいっぽうで、米国とは基本的に対立しつつもトランプ大統領とエルドアン大統領という首脳間に限って言えば、比較的良好な関係が続いていると言えます。
今回の米国とイランとの対立において、トルコ外務省は懸念を表明し、またエルドアン大統領も同様に懸念を表明しました。エルドアン大統領は米国の攻撃前にトランプ大統領にイランとの緊張を高めないように伝え、また攻撃後にはイランとイラクの首脳に対して節度を守るよう伝えたとトルコのニュースサイトが報道しています。
ここからすると、現状のエルドアン大統領はどちらにもつかず、中立的な立場で緊張を抑えようと動いているように見られますが、一国の最高司令官殺害は放って置かれはしないと思うとも述べ、これは暗にイランによる米国への報復は免れないだろうとの見方をしているように取れます。中東の今後の情勢がどうなっていくのか、8日にはプーチン大統領がトルコ入りし、首脳会談が行われますので、そこでどのような話が出てくるのかも注目でしょう。
ただ、材料的にはかなり中東での緊張が高まっていることは事実ですし、トルコリラは対ドルで売られ、ドル円はリスクオフの円高とトルコリラ円は早朝に安値18.04レベルと18円の大台間近に迫っています。この18円を割り込んでくるとテクニカルにも一段のトルコリラ円の下げがありそうな水準です。今週は週足チャートから見ていきます。
トルコリラ円は基本的に長期にわたって下げ続けていますが、2018年の最安値以降は見方にもよりますが、ピンクの太線で示したレジスタンスラインとピンクの細線で示したサポートラインとで構成されるトライアングルの中での長期もちあいと見ることが出来ます。そしてサポートラインがまさに18円の大台に位置していることがわかります。
このサポートを下抜けてくると、まずは2019年安値の17.44、そして2018年安値とその後の戻し高値との78.6%(61.8%の平方根)押しとなる16.89をターゲットとしやすくなります。その場合にはピンクの太線のレジスタンスラインとほぼ平行の青のラインとで構成される下降チャンネル入りとなってきます。
ポジション的にも年末年始のトルコリラ円の下げる動きの中で、本邦個人投資家のトルコリラ円の買いポジションは着実に増えてきています。今年は正月休みのフラッシュクラッシュこそ無かったものの、この増えているトルコリラ買いのポジションも少々気になると言わざるを得ません。
いつもの4時間足チャート(上からトルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円)もご覧ください。
こうして見ると最初のターゲットである昨年安値17.44(メインチャート下限にある赤の水平線)でも、まだかなり距離がありますので、ピンクの平行線で示した下降チャンネルの中での下げを継続しやすいと見るのが妥当だと考えられます。今週は中東の緊張の高まりがトルコリラの上値を抑えやすく17.60レベルをサポートに18.20レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
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