トルコリラ円見通し 18.80円割れから切り返し気味、まだ10月末からの持ち合いの範囲(19/11/15)

トルコリラ円は年末年始に大きく動く、というか乱調となる。

トルコリラ円見通し 18.80円割れから切り返し気味、まだ10月末からの持ち合いの範囲(19/11/15)

【概況】

トルコリラ円は11月11日夕刻安値18.79円から14日未明高値18.95円までジリ高で推移していたが14日朝に反落して14日夕刻には18.77円をつけて11日夕刻安値を割り込んだ。15日未明にかけても安値圏での推移だったが、15日午前は18.85円を超えるところまでやや戻し気味の推移となっている。
11月7日以降はトルコリラ独自材料に欠けてクロス円全般の動きと概ね同調する展開で、11月8日未明と8日夜の高値で19円を超えたものの維持できずに失速し、14日未明高値では19円台に届かず、11月7日昼安値から11日夕安値、15日未明安値へと安値ラインが切り下がってきている。
戻り高値も10月31日未明高値19.08円の後は11月4日夜、8日未明と高値切り下がりとなりいずれも19円超えを維持できずに失速してきた。14日夕刻と15日未明の18.80円割れはいずれも切り返しているので、現状はまだ18.80円前後を支持線、19円超えは維持できずにやや高値切り下がり気味の持ち合い相場の範囲と言えるだろう。

11月15日午前の上昇はクドロー米国家経済会議(NEC)委員長が「米中は第一段階合意とりまとめに近い」と発言してクロス円全般が円安反応していることと同調している。クロス円全般における主要テーマは米中通商協議動向であり、先週は合意間近との期待で円安が進んだが、12日のトランプ大統領演説で具体的な米中首脳会談の場所や時期が示されず、逆に合意できない場合は関税を引き上げると発言したことで不透明感が増した。13日はWSJ紙が米中協議は暗礁に乗り上げたと報じ、14日も英フィナンシャルタイムズ紙が同様の報道を行い、先週とは逆に悲観先行の流れで円高が進んできた。15日朝のクドロー発言だけでは戻りも限定的だろうが、米高官や中国商務省等で合意間近とする同調発言が続けばクロス円全般とともにトルコリラ円での楽観も回復するかもしれない。

【トルコ9月鉱工業生産、1年振りに前年比プラス】

11月14日に発表されたトルコの9月鉱工業生産は前月比3.2%増となり前月の2.7%減から回復、前年同月比は3.4%増で昨年9月から続いていたマイナス圏から1年振りにプラスを回復した。
エルドアン大統領政権下での経済政策混乱や投機筋によるリラ売り等で通貨混乱を招いてきた状況が落ち着き、消費者物価も2018年10月の前年同月比25.24%上昇から今年10月は8.55%上昇まで低下しており、中東シリア情勢も一服していることでトルコ経済も落ち着きを取り戻しつつあるようだ。
しかしトルコの国家財政や金融政策の脆弱性は簡単には解消できないため、米中貿易戦争の深刻化等の保護主義の台頭が見られる場合は悪影響を被りやすいという側面は押さえておきたいところだ。

【年末年始の混乱】

トルコリラ円は年末年始に大きく動く、というか乱調となる。
2013年5月天井以降では、2013年11月25日高値51.01円から2014年1月27日安値42.78円へ16%下落した。
2014年12月5日の戻り天井54.05円の後、12月16日にフラッシュクラッシュが発生、その後も2015年4月底43.43円まで長期下落に陥った。
2015年11月2日の戻り高値43.65円から2016年1月の急落で2015年9月底を割り込み、2017年4月底までの長期的な下落基調に陥った。その道中も2016年12月高値33.98円から2017年1月12日安値29.06円へ急落している。
2017年終盤からの上昇は2018年1月5日高値30.32円で行き詰まり2018年8月への暴落へ発展した。
2018年11月29日の戻り高値の後は2019年1月3日にフラッシュクラッシュが発生している。
この様に11月から年末まで戻して年明けへ下落してゆくパターンが何度も切り返されているわけだが、今年5月からは比較的平穏な動きではあるもののそろそろ年末相場を意識する時期に差し掛かっていると注意したい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、11月11日夕刻安値を直近のサイクルボトムとしていたが、14日未明へ戻り高値を切り上げてからの反落で13日朝安値及び11日夕安値を割り込んだため、14日午前時点では14日未明高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとした。また11日夕安値を基準としてボトム形成期を14日夕刻から18日夕刻にかけての間と想定した。
11月14日夕刻と15日未明に18.77円まで下げてから切り返しているため、両安値をダブルボトムとして強気サイクル入りしていると思われる。18.90円を超えるところからは強気サイクル入りとし、トップ形成期を19日未明から21日未明にかけての間と仮定するが、戻りは短命の可能性もあるので18.82円割れからは下げ再開注意とし、底割れからは新たな弱気サイクル入りとして20日未明から22日未明にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では15日未明からの反発で遅行スパンが好転し始めている。18.88円を超えれば先行スパンからも上抜けてくるので遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、18.82円割れからは下げ再開注意とし、15日未明安値割れからは新たな弱気サイクル入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は11日安値から14日への安値切り下がりに対して指数のボトムが切り上がり、14日夕刻と15日未明のダブルボトム間でも指数のボトムが切り上がる強気逆行のため上昇継続しやすい状況と思われる。60ポイント台前半まで上昇してもその後に50ポイントを割り込むところからは下げ再開とみるが、50ポイント以上での推移中は高値試しを続ける余地ありとする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、18.82円、次いで11月15日未明安値18.77円を下値支持線、18.90円を上値抵抗線とみておく。
(2)18.82円以上での推移中は上昇余地ありとして18.90円前後試しを想定する。18.90円前後では戻り売りも出やすいとみるが、リスクオン優勢でクロス円での円安基調が継続なら14日未明高値18.95円前後試しまで上値目処を引き上げる。
(3)18.82円割れからは下げ再開注意として15日未明安値試しとし、底割れからは新たな弱気サイクル入りとみて18.70円前後への下落を想定する。その場合は10月末からの持ち合い相場からの転落注意と考える。

【当面の主な経済指標等の予定】

11/15(金) 16:00 8月 失業率 (7月 13.9%)

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