【概況】
トルコリラ円は11月7日以降ドル円とほぼ同調した動きが続いている。シリア問題等での地政学的リスクやトルコ中銀による利下げを通過してトルコリラ自身の独自材料に欠ける中で、クロス円全般の動きを見ながらの展開となっている。
11月7日昼からのドル円反騰と同調してトルコリラ円も反発し、ドル円と同様に11月8日未明と8日夜の両高値をダブルトップとして下落し、11日夜から12日午後へドル円が戻す中でトルコリラ円も11日夕刻安値18.79円から12日夜高値18.92円まで戻した。
12日深夜からは反落気味に推移して13日午前安値で18.82円まで下げたがその後は下げ渋っている。
10月31日高値19.08円以降は戻り高値が切り下がり気味で19円台に乗せても維持できず、18.80円前後では買い戻されてレンジ内推移が続いており、当面はこのレンジを上下いずれへ抜けるのかを見極めて、レンジ放れに追従してゆくようなスタンスで構えておくところと思われる。
11月12日に発表されたトルコ9月の経常収支は24.8億ドルで予想の20.5億ドルを上回ったが8月の26.0億ドルからは縮小した。市場の反応は特に見られなかった。
【米・トルコ首脳会談に注目】
トルコのエルドアン大統領は11月6日の米トランプ大統領との電話会談を踏まえて11月13日にワシントンで首脳会談を行う。米国とトルコはシリア領域内のクルド人勢力に対するトルコの軍事攻撃問題、NATO加盟国であるにもかかわらずロシア製ミサイルを調達している問題、米下院によるトルコ非難と制裁決議等で対立してきた。
今週もトルコは米国がシリア国境地域からのクルド人武装勢力撤退の公約を果たしていないと批判した。またオブライエン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は11月10日に、トルコによるロシア製地対空ミサイルシステム「S400」購入について米国は非常に不快に感じており、これを破棄しない場合はトルコに制裁を科す可能性があると警告している。エルドアン大統領もF35の共同開発からの締め出しについてロシア製「スホイ35」等を購入する可能性があるとして米国を牽制してきた。
先般の米国提案による停戦合意から間もないため、急激に両国の対立がエスカレートして地政学的リスクが一挙に拡大することはないだろうと思われるが、両首脳ともに個性が強いため、今後の米国・トルコ関係がどう進んでゆくのかを見極める必要があるところだ。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
TRY/JPY60分足
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、11月8日未明と8日夜の両高値をダブルトップとして弱気サイクル入りしたが、11日夕刻安値からの反発が12日夜まで続いたため、11日夕刻安値でやや短めのサイクルボトムをつけて一旦強気サイクル入りしたと思われる。ただし12日夜高値からは失速して11日夕安値に迫っているので、既に12日夜高値で戻り一巡している可能性がある。
11月11日夕安値割れ回避の内は18.990円超えから上昇再開とし、12日夜高値超えからは強気サイクルの継続として13日午後から15日夜にかけての間への上昇を想定する。ただし11日夕刻安値を割り込むところからは弱気サイクル入りとして14日夕刻から18日夕刻にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では12日夜からの下落で遅行スパンが悪化し、先行スパンから転落しているので、遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。ただし12日夜高値超えからは先行スパンからも上抜けてくるので上昇再開とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は50ポイントを挟んで前後10ポイント程度の範囲での推移に止まっている。60ポイント超えからは上昇再開とみるが、40ポイント割れからは30ポイント割れを目指す下落へ進みやすくなるとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、11月13日午前安値18.82円を下値支持線、12日夜高値18.92円を上値抵抗線とみておく。
(2)18.90円以下での推移中はまだ一段安余地ありとし、13日午前安値割れからは11日夕刻安値18.79円試し、底割れからは18.75円前後への下落を想定する。18.75円以下は反発注意とするが、18.80円以下での推移が続く場合は14日午前にかけても安値試しを続けやすいとみる。
(3)18.90円超えからは12日夜高値試しとし、高値更新からは19円前後試しを想定する。19円到達では再び売られやすいとみるが、18.95円以上での推移なら14日の日中も高値を試す余地ありとみる。
【当面の主な経済指標等の予定】
11月14日(木)
16:00 9月 鉱工業生産 前月比 (8月 -2.8%)
11/15(金)
16:00 8月 失業率 (7月 13.9%)
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