トルコリラ円見通し 持ち合いの範囲だが19円台を維持しきれずに戻り高値切り下がり(19/11/12)

ボックス圏内では逆張り有利と思われるが、放れるところからは大きく動き出すとすれば、現状はその前夜情勢と言えるだろう。

トルコリラ円見通し 持ち合いの範囲だが19円台を維持しきれずに戻り高値切り下がり(19/11/12)

【概況】

トルコ政府は11月11日に拘束していた過激派組織「イスラム国」(IS)戦闘員のうち欧米出身者らの本国送還を始めたと発表した。11月8日時点で11日から拘束者を出身国に強制送還するとの姿勢を示していたが、それが実行に移されている。為替市場に影響を与える材料ではないが、中東・シリア情勢はまだ燻り、欧米との政治的な対立が再燃するリスクも負う中でエルドアン大統領も色々と動いている。
エルドアン大統領は11月6日に米トランプ大統領と電話会談して11月13日にワシントンで首脳会談することで合意した。トルコは「米国がシリア国境地域からのクルド人武装勢力撤退の公約を果たしていない」と批判しており、「シリア北部の国境地域に外国軍が駐留する限りトルコも撤退しない」としている。米国提案の恒久的な停戦に合意しているため喫緊の軍事緊張感はないものの、火種はくすぶり続けている。

トルコリラ円は中東・シリア情勢が一服しているために金融市場全般の動向及びクロス円の動きを見ながらの展開が続いている。
11月7日昼安値からの反騰は米中協議進展期待によるドル円の上昇と同調したものであり、11月8日未明に19.03円の高値をつけ、8日夜にも19.02円をつけたが両高値が60分足レベルのダブルトップ型となってその後に失速している動きもドル円とほぼ同調している。
11月11日の序盤はドル円が円高傾向となって18.79円まで下落したが、その後はドル円も戻しているために反発気配となっている。
11月12日は夕刻に9月の経常収支や10月の自動車生産統計、14日には9月の鉱工業生産、15日には8月の失業率の発表もあるので、それらの数字でサプライズがあれば独自材料としての動きとなる可能性もあるが、サプライズなければ全般のクロス円動向と同調した動きをまだ続けやすいとみる。13日には米連銀のパウエル議長の議会証言もあるため為替市場全般が動きやすいと注意する。

【持ち合い続く】

10月31日未明高値19.08円の後は新たな高値更新へ進めず、何度か19円台をつけても維持できずに推移しているが、安値も11月1日の18.79円、7日昼の18.82円、11日の18.79円と18.80円前後で底固い動きとなっているため、18.80円前後から19円超でのボックス型持ち合いを形成している印象だ。
「持ち合いは持ち合い放れにつけ」が鉄則といわれる。31日高値超えからは戻り高値切り下がり気味のボックス持ち合い上限突破として一段高へ進みやすく、1日安値を割り込む場合は持ち合い下放れによりボックス圏の値幅もう一つ分の下げとして18.50円台への下落へ向かいやすくなると思われる。ボックス圏内では逆張り有利と思われるが、放れるところからは大きく動き出すとすれば、現状はその前夜情勢と言えるだろう。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

TRY/JPY60分足

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、11月8日未明と8日夜の両高値をダブルトップとして弱気サイクル入りしたと思われる。11月7日昼安値を基準としてボトム形成期は12日の日中から14日にかけての間と想定されるが、10月末からのボックス型持ち合いでの推移が続いているため、ボトム形成はやや短縮される可能性もある。18.94円を下回る内は一段安余地ありとし、18.84円割れからは下げ再開とみるが、18.94円を超えるところからは強気サイクル入りの可能性を優先して13日未明から15日未明にかけての間への上昇と19円試しを想定する。

60分足の一目均衡表では11日夕刻からの反騰で遅行スパンは好転しつつあるが、先行スパンから転落した状況が続いている。先行スパンを突破できない内は一時的に遅行スパンが好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とみるが、先行スパン突破からは上昇再開とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は11日夕刻安値で30ポイント割れとなったがその後の反発で50ポイントを超えてきている。50ポイント以上での推移中は上昇余地ありとするが、45ポイント割れへ失速する場合は下げ再開を疑う。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、11月11日夕安値18.79円を下値支持線、18.40円を上値抵抗線とみておく。
(2)18.40円以下での推移中はまだ一段安余地ありとし、18.84円割れからは下げ再開として11日夕安値試しとし、底割れの場合は18.70円前後試しを想定する。18.75円以下は反発注意だが、18.84円以下での推移なら13日午前へ安値試しを続けやすいとみる。
(3)18.40円超えからは強気サイクル入りの可能性ありとして19円試しを想定する。10月31日未明高値からは高値切り下がりが続いているので19円到達では戻り売りにつかまりやすいとみる。ただしリスクオン全開となるような材料がついて円安が加速する場合は19.05円超へ上値目処を引き上げる。

【当面の主な経済指標等の予定】

11月12日(火)
16:00 9月 経常収支 (8月 26.0億ドル、予想 20.5億ドル)
19:30 10月自動車生産 前年比

11月14日(木)
16:00 9月 鉱工業生産 前月比 (8月 -2.8%)

11/15(金)
16:00 8月 失業率 (7月 13.9%)

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