ドル円見通し 109.50円手前で毛抜き天井型、11月1日からの底上げを維持できるか試す(19/11/12)

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、11月7日昼安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りした。

ドル円見通し 109.50円手前で毛抜き天井型、11月1日からの底上げを維持できるか試す(19/11/12)

【概況】

ドル円は10月31日未明のFOMC声明発表直後高値109.28円から11月1日午前安値107.93円まで急落したが、11月1日夜の米雇用統計が予想よりも強かったことをきっかけに反騰に転じ、先週は米中通商協議進展期待によるリスク選好優勢の流れで11月8日未明には109.48円まで高値を切り上げ、8月26日以降の高値を更新した。しかし8日夜に109.47円まで上昇したところで行き詰まり、トランプ大統領による米中合意否定発言もあって失速した。
週明け11月11日は米国市場がベテランズデー(退役軍人の日)で為替と債券市場が休場だったために新たな手掛かりには乏しかったが、11月1日から8日までの丸1週間の上昇に対する上昇一服感と、109.50円を超えてさらに続伸するのは時期尚早としてポジション調整的な下落となった。11日夜には108.89円まで下げたがその後は109円台を回復している。

【株式市場はややリスクオン優勢】

米中通商協議問題では新たな動きはなかった。11月7日に中国商務省が記者会見で米中両国が段階的な追加利下げの撤廃に合意したと表明したことに対してトランプ米大統領が8日に「中国とは合意していない」「中国はいくらかの関税の引き下げを望んでいるが完全撤廃ではない」と述べたために先行き不透明感が再燃している。米政権内でも意見対立があるとの報道もあり、トランプ大統領発言については部分的な制裁完全の撤回を受け入れるのかどうか、12月15日から発動予定の対中国制裁関税第4弾が中止となるのかどうか、トランプ大統領発言等による続報待ちとなっている。

株式市場を見ると米中合意へ向けて大詰めの協議が進んでいることで合意も近いのではないかという楽観的な見方がやや優勢な印象もある。NYダウは11月7日高値で27774.67ドルをつけて史上最高値を更新した。その後はザラバでの最高値更新には至っていないが、8日終値で7日終値を超えて終値ベースの史上最高値を更新し、11日も終値ベースでは史上最高値を更新している。

債券市場はベテランズデーで休場だったが、11月に入ってからは利回り上昇基調にあり、10年債利回り上昇によりドル指数も月初から持ち直してきているため、米中問題でのやや楽観見通しが優勢な中で株高債券安・長期債利回り上昇とドル高という構図が続くならドル円も上昇基調を継続しやすい環境と言えるが、109.50円を超えて一段高してゆくにはやや慎重で、押し上げのきっかけが欲しいところという状況だろうか。
ブレクジット問題では英離脱党がジョンソン首相の与党・保守党との分裂選挙を回避する方針を表明したことで12月12日に投開票される総選挙で与党が勝利し、EU離脱をめぐる混迷も終結するのではないかとの期待が高まり英ポンドが対ドルで上昇したが、ポンド円でも上昇したためにドル円への影響は軽微だった。

【日足の相対力指数弱気逆行】

ドル円の日足は8月26日安値と10月3日安値を結んだ上昇トレンドの支持線に対して11月1日の下落では割り込まずに切り返している。高値も切り上げているのだが、9月18日高値から10月17日高値への高値切り上げに対して日足の相対力指数はピークがほぼフラットの弱気逆行気配となり、その後の高値更新でも指数のピークが切り下がっている。
似たような状況は、1月3日底からの上昇で3月5日高値の後、4月24日へ高値を切り上げたところで発生した弱気逆行でも見られる。8月26日、10月3日、11月1日と続いている底上げパターンが維持されるうちは逆行気配のなかでも高値を切り上げてゆく可能性はあるが、11月1日安値を割り込む場合は8月26日からの上昇トレンドからの転落と相対力指数の弱気逆行が重なるため、4月からの下落再開時と同様の展開に入る可能性も出てくると注意しておく。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円60分足

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、11月7日昼安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りした。11月8日未明高値を基準とすれば高値形成期は11日から13日未明にかけての間と想定されるが、11月8日未明高値を8日夜高値で上抜けずに失速し、既に新たな高値更新へ進めずに2日を経過しているので、11月8日未明と8日夜の両高値をダブルトップとした弱気サイクル入りと仮定する。ボトム形成期は12日の日中から14日昼にかけての間と想定されるが、サイクルトップ形成が短縮されたのでボトム形成も短縮される可能性がある。このため、109.25円以下での推移中は7日安値を試すような一段安警戒とし、109.25円からは強気転換注意として8日未明高値試しとし、高値更新からは新たな強気サイクル入りにより110円を目指す展開を想定する。

60分足の一目均衡表では11日の下落で遅行スパンが悪化し、先行スパンからも転落している。上昇再開は両スパン揃って好転するところからとし、先行スパンから転落した状況の内は遅行スパン悪化中の安値試優先とみる。

60分足の相対力指数は8日未明と8日夜のダブルトップ形成時に指数のピークが切り下がる弱気逆行となった。30ポイント割れは回避しているので60ポイント超えからは上昇再開とみるが、60ポイント以下での推移中はまだ下向きとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、11月11日夜安値108.89円を下値支持線、109.25円を上値抵抗線とみておく。
(2)109.25円以下での推移中は11日安値試しとし、割り込む場合は7日昼安値108.64円前後へ下値目処を引き下げる。7日昼安値前後は押し目買いも入りやすいとみるが。7日昼安値を割り込む場合は11月1日からの上昇基調が途切れるためいったん仕切り直し的に108円台序盤を目指す流れに入りやすいと注意する。
(3)109.25円超えからは上昇再開の可能性ありとして8日未明高値試しを想定する。新たなきっかけをつかめない内は109.40円前後では戻り売りにつかまりやすいとみるが、先行きで8日未明高値を上抜く場合は11月1日からの上昇基調継続として110円試しへ向かうとみる。

【当面の主な予定】

11/12(火)
休場、インド(シーク教ナナック生誕日)
17:00 (欧) クーレECB理事、講演
18:30 (英) 10月 失業保険申請件数 (9月 2.11万件、予想 2.13万件)
18:30 (英) 10月 失業率 (9月 3.3%)
18:30 (英) 9月 失業率・ILO方式 (8月 3.9%、予想 3.9%)
19:00 (独) 11月 ZEW景況感・期待指数 (10月 -22.8、予想 -13.0)
26:55 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、質疑応答


11/13(水)
08:00 (米) カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、講演
08:30 (豪) 11月 ウエストパック消費者信頼感指数 (10月 92.8)
08:50 (日) 10月 国内企業物価指数 前月比 (9月 0.0%、予想 1.2%)
08:50 (日) 10月 国内企業物価指数 前年同月比 (9月 -1.1%、予想 -0.2%)
10:00 (NZ) ニュージーランド準備銀行 政策金利 (現行 1.00%、予想 0.75%)

16:00 (独) 10月 消費者物価指数改定値 前月比 (速報 0.1%、予想 0.1%)
16:00 (独) 10月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (速報 1.1%、予想 1.1%)
18:30 (英) 10月 消費者物価指数 前月比 (9月 0.1%、予想 -0.1%)
18:30 (英) 10月 消費者物価指数 前年同月比 (9月 1.7%、予想 1.6%)
18:30 (英) 10月 消費者物価コア指数 前年同月比 (9月 1.7%、予想 1.7%)
18:30 (英) 10月 小売物価指数 前月比 (9月 -0.2%、予想 -0.1%)
18:30 (英) 10月 小売物価指数 前年同月比 (9月 2.4%、予想 2.2%)
18:30 (英) 10月 生産者物価コア指数 前年同月比 (9月 1.7%、予想 1.5%)
19:00 (欧) 9月 鉱工業生産 前月比 (8月 0.4%、予想 -0.2%)
19:00 (欧) 9月 鉱工業生産 前年同月比 (8月 -2.8%、予想 -2.3%)

22:30 (米) 10月 消費者物価指数 前月比 (9月 0.0%、予想 0.3%)
22:30 (米) 10月 消費者物価指数 前年同月比 (9月 1.7%、予想 1.7%)
22:30 (米) 10月 消費者物価コア指数 前月比 (9月 0.1%、予想 0.2%)
22:30 (米) 10月 消費者物価コア指数 前年同月比 (9月 2.4%、予想 2.4%)
25:00 (米) パウエルFRB議長、上下両院合同経済委員会証言
27:30 (米) カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、質疑応答
28:00 (米) 10月 月次財政収支 (9月 828億ドル、予想 -1282億ドル)

オーダー/ポジション状況

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