トルコリラ円レポート月曜版
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、上昇チャンネルの上半分の中での推移を考え「18.75レベルをサポートに、19.05レベルをレジスタンスとする流れ」を見ていました。実際のレンジは、安値が18.81レベル、高値が19.10レベルと、予想よりも若干強かったものの想定した動きの一週間となりました。
先週のトルコリラ円は、週初から底堅いスタートを切り月曜海外市場で19円の大台乗せとなっていましたが、NY市場に入り米下院でトルコに対する制裁を科すように求める法案を圧倒的多数で可決しました。これはトランプ大統領の対トルコ友好スタンスに対しての議会による反発ですが、更にオスマントルコ時代のアルメニア人殺害に対しても35年ぶりで虐殺認定と、米国議会はトルコに対してもトランプ大統領に対してもノーをつきつけている印象です。
今後上院で可決されるかどうかはわかりませんが、上院でも可決ということになるとトルコとの関係悪化は避けられず、シリア情勢でいったん落ち着きを見せていた両国関係に黄信号が灯ることになりかねません。しかし、市場参加者は思ったほどの懸念を示していない様子で、この議会の動き以降は上値が重くなった程度で、その後は米中通商協議に対して中国側は疑問を呈したことによるリスクオフの動きも上値を抑える要因となっていました。
そうした悪材料にもかかわらず、FOMCを前に改めて買い戻しも入り、パウエル議長が利下げ打ち止めと解釈できる会見時には円安の動きから週間高値を更新することとなりました。そして1日金曜には格付け会社フィッチがトルコの格付け見直しを行い、格付け自体は投資不適格のBB−のままとしながらもアウトルック(見通し)はネガティブから安定的へと、最近のトルコ経済改善を評価しました。
この動きは週末に向けて再び下げ始めていた動きを反転させることとなり、週を通してみると悪材料があった割には底堅く、依然として下がったところではトルコリラ買いの動きが根強いと感じさせる一週間だったと言えます。ただ、最近の本邦個人投資家はうまく回転させている感じで、トルコリラの買いポジションには目立って増減は出ていません。
今週は本日のトルコのCPI発表がもっとも注目される材料となりますが、今回のCPIはコンセンサスでは前回からさらに低下し、年率で8.6%となっています。実際に更なるインフレの低下となるとトルコ中銀もまた更なる利下げに動く可能性が高くなりますので、今後の利下げ見通し次第では徐々に上値が重くなってくる可能性はあるでしょう。
ちなみにトルコ中銀のホームページには各種経済指標が掲載されていますが、このインフレ率についてどうなっているのかを2009年1月から先月発表された数字までグラフにしてみました。以下のようなものとなりました。
2018年から2019年前半は異常なインフレとなっていたものの、基本的には5〜10%程度の間での推移が多いのですね。それでも安定しているとはいっても、その間の為替市場におけるトルコリラの減価を考えると必ずしもインフレ率だけでは測れないということもたしかです。最近のインフレ率の低下はエルドアン大統領の意に反して強力な高金利によるインフレ退治を行った前中銀総裁の功績も大きいと思います。
次にテクニカルな観点からいつもの4時間足チャート(上からトルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円)をご覧ください。
テクニカルには先週から特に変わったところはありません。引き続き上昇チャンネルの中で底堅い地合いを続けていると見てよいですし、その平行チャンネルの中で中間ラインよりも上での推移を続けつつ、10月高値である19.15レベルをターゲットとする流れと考えられます。今週は18.80レベルをサポートに、19.15レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
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