トルコリラ週報 『来週はトルコの物価指標に注目、インフレ鈍化ならリラ売り再開の恐れも』(19/11/2)

今週のトルコリラ円相場は、週央にかけて1ヶ月ぶり高値19.11円まで上昇しましたが、直近高値19.17円(10/1高値)を抜け切れず失速すると、その後「反落」に転じました。

トルコリラ週報 『来週はトルコの物価指標に注目、インフレ鈍化ならリラ売り再開の恐れも』(19/11/2)

『来週はトルコの物価指標に注目、インフレ鈍化ならリラ売り再開の恐れも』

今週のレビュー(10/28−11/1)

今週のトルコリラ円相場は、@過激派組織ISIS(イラク・シリア・イスラム国)の最高指導者バグダディ氏が米軍によって殺害されたとの報道や、A米国による制裁解除を受けた米・トルコ関係の改善期待、Bエルドアン大統領による「ロシアよりクルド人勢力が完全に撤退したとの報告を受けた」との発言、Cトルコリラと逆相関性の強い原油価格の軟調推移、Dグローバルなリスク選好ムード(株高・新興国通貨高・円安)が支援材料となり、週央にかけて、約1ヶ月ぶり高値19.11円まで上昇しました。

しかし、Eトルコが「ロシア製戦闘機の購入を検討している」との報道や、F米下院による「トルコへの経済制裁案」可決、G米中対立リスクの再燃(中国より「米国との長期的貿易合意の実現可能性に疑念」との見解が報じられたこと)、H上記Gを受けた世界的なリスク回避ムードが重石となると、週後半にかけて急落し、11/1には、週間安値18.81円まで下げ幅を広げました。引けにかけて持ち直すも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間5時00分現在)では、18.94円近辺で推移しております。

来週の見通し(11/4−11/8)

今週のトルコリラ円相場は、週央にかけて1ヶ月ぶり高値19.11円まで上昇しましたが、直近高値19.17円(10/1高値)を抜け切れず失速すると、その後「反落」に転じました。但し、一目均衡表転換線や、一目均衡表雲上限は辛うじて死守されており、また、強い買いシグナルを表す三役好転も継続中であることから、テクニカル的に見れば、上昇トレンドの途中で見られる「押し目」局面と捉えることも出来ます。

とは言え、ファンダメンルズ的に見ると、@トルコ経済を巡る先行き不透明感や、A外貨準備急減を受けたリラ安防衛能力への不信感(リラ買い為替介入の持続性への懸念)、Bトルコ中銀の追加利下げ観測(7月会合及び、9月会合時は「利下げ→リラ買い」の反応でしたが、先日発表された10月会合時は「利下げ→リラ売り」の反応となりました)、Cエルドアン大統領の求心力低下、D経済的な結び付きの強いドイツ経済の先行き不透明感、Dロシアからの武器購入を巡る対米国・対NATO同盟国との関係悪化懸念など、不安材料は山積みです。特に上記Bについては、10/31に発表されたトルコ中銀・インフレ報告にて、2019年末のCPI見通しが12%へ下方修正されましたので(前回7月時点:13.9%)、次回会合(12/12)での追加利下げ観測が早くも台頭しつつある状況です。

以上の通り、トルコリラ円相場は、テクニカル的に見ると、上昇トレンドの継続が意識されますが、ファンダメンタルズ的に見ると、上値余地は乏しい(下落リスクが大きい)と判断できます。こうした中、来週は11/4に発表されるトルコ・10月消費者物価指数及び、トルコ・10月生産者物価指数に注目が集まります。インフレ鈍化が示されれば、トルコ中銀による追加利下げ観測の高まりを通じて、トルコリラ売りがもう一段加速するシナリオも想定されます。当方では引き続き、トルコリラ円の下落をメインシナリオとして予想いたします。

来週の予想レンジ TRYJPY 18.40ー19.20

『来週はトルコの物価指標に注目、インフレ鈍化ならリラ売り再開の恐れも』

トルコ円日足

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る