来週の為替相場見通し『米国ファンダメンタルズを見極める展開。催促相場に要注意』(11/2朝)

ドル円は、FOMC直後に3ヶ月ぶり高値圏(109.30)へと急伸するも、8/1高値109.33トライに失敗すると、長い上髭を残す形で反落に転じました

来週の為替相場見通し『米国ファンダメンタルズを見極める展開。催促相場に要注意』(11/2朝)

来週の為替相場見通し『米国ファンダメンタルズを見極める展開。催促相場に要注意』

今週のレビュー(10/28−11/1)

<ドル円相場>
今週のドル円相場は、@英合意なき離脱リスクの後退(欧州連合が英国の離脱期限を1/31まで延期することを承認)や、A米中協議の進展期待(=トランプ米大統領による「米中交渉が予定より早いペースで進んでいる」との発言)、B米・第3四半期GDP速報値(結果1.9%、予想1.6%)の良好な結果、C米FOMC(連邦公開市場委員会)にて次回利下げを示唆する「適切に行動する(will act as appropriate)」との文言が削除されたこと(=予防的利下げの打ち止め観測→米金利先安感の後退→ドル買い)等が支援材料となり、週央にかけて109.30(※約3ヶ月ぶり高値)まで上昇しました。

しかし、直近高値109.33(8/1高値)を前に伸び悩むと、DパウエルFRB議長による「利上げの前には著しいインフレ率の上昇が必要」との発言や、E中国・10月製造業PMI(結果49.3、予想49.8)の冴えない結果、F日銀金融政策決定会合で追加緩和の見送りが決定されたこと(=日米金融政策の方向性の違い)、G中国当局より「米国との長期的貿易合意の実現可能性に疑念」との見解が報じられたこと、H米下院がトランプ米大統領・弾劾を巡る調査決議案を賛成多数で可決したこと等が重石となり、ドル円は、10/11以来、約3週間ぶり安値107.89まで急落しました。

その後は、注目された米・10月非農業部門雇用者数(結果12.8万人、予想8.5万人)が市場予想を上回ったことや、中国の新華社通信が「米中は貿易交渉で原則合意に達した」と報じたことで幾分持ち直し、本稿執筆時点(日本時間4時00分現在)では、108.20近辺で推移しております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場は、英国情勢を巡る不確実性を背景に、週前半にかけて、週間安値1.1073まで下落しました。しかし、@英議会で総選挙の実施が決定したこと(英ポンド上昇→ユーロ連れ高)、A米FOMC後に米長期金利低下→ドル売りの流れが強まったこと、Bユーロ圏・第3四半期GDP速報値(結果0.2%、予想0.1%)や、Cユーロ圏・10月HICP(結果1.1%、予想1.0%*前年比)が市場予想を上回ったこと等が支援材料となると、週後半にかけて1.1175(約2週間ぶり高値)まで急伸しました。引けにかけて反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間4時00分現在)では、1.1165近辺で推移しております。

来週の見通し(11/4−11/8)

<ドル円相場>
ドル円は、FOMC直後に3ヶ月ぶり高値圏(109.30)へと急伸するも、8/1高値109.33トライに失敗すると、長い上髭を残す形で反落に転じました(3週間ぶり安値となる107.89へ)。この間、200日移動平均線や、一目均衡表転換線、ボリンジャーバンドなど、主要チャートポイントを下抜けしており、テクニカル的に見て、上値の重さが意識されるチャート形状となりつつあります。

ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策格差(利下げに踏み切ったFOMCと、追加緩和の見送りを決めた日銀)や、A米中を巡る先行き不透明感、Bトランプ米大統領・弾劾リスク、C米国ファンダメンタルズの悪化など、ドル円の「下押し」に繋がりやすい材料が今尚多く残っています。特に上記@については、冴えない米国ファンダメンタルズを背景に、催促相場(FRBに意向に反して市場が追加利下げを織り込む相場展開)に進展する恐れもあり、リスクは引き続きダウンサイドと考えられます。

以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも上値の重さが意識されます。11/6に発表される米・10月ISM非製造業景況指数が冴えない結果となれば、米長期金利の低下を通じてドル円が一段と下押しされるシナリオも想定されます。来週は、米国ファンダメンタルズや、米中協議を巡る続報、トランプ米大統領・弾劾に絡むヘッドラインを睨みながらも、「ドル安・円高」をメインシナリオとして予想いたします。(今週の予想レンジ:107.00ー109.50)

<ユーロドル相場>
対主要通貨でドル売りが加速する中、ユーロドルは週を通して堅調推移が継続しました。強い買いシグナルを表す三役好転も継続するなど、目先は10/21高値1.1180を試す展開が想定されます。同水準を突破できれば、8月高値1.12台半ばへの上昇も視野に入るでしょう。ユーロドルはテクニカル的に見て、上昇リスクが大きいと判断できます。しかし、ファンダメンタルズ的に見ると、@米中貿易摩擦が欧米貿易摩擦に波及するリスクや、Aユーロ圏経済及び物価の先行き不透明感、Bイタリアの財政悪化問題、C英国を巡る先行き不透明感、Dドイツの政局不透明感、EECBによる根強い追加緩和観測(11/1よりラガルド氏がECB総裁に就任)など、ユーロ売りに繋がり易い材料は山積みです。足元の堅調推移がドイツの財政出動期待から齎されていることに鑑みると、今後は上記Dが、ユーロドルを見通す上での最重要ファクターとなりそうです。

以上の通り、ユーロドルはテクニカル的に持ち直しの兆しが見られるものの、ファンダメンタルズ的な弱さが上値を抑制すると考えられます。来週は、ユーロ圏・生産者物価指数や、ユーロ圏・小売売上高、欧州委員会経済見通しなど、欧州の主要経済指標の結果に注目が集まりそうです。冴えない結果が示されれば、「ECBによる追加緩和観測→欧州債利回り低下→ユーロ売り」の流れに波及するシナリオも想定されます。但し、当方は、ユーロ売りと同時にドル売りも進むと見ていることから、ユーロドルは綱引き状態となり、来週は方向を見出し辛い時間帯が続くと予想いたします。(ユーロドルの予想レンジ:1.1000−1.1250)

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ドル円日足

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