ユーロ週報「上値は重いが、もみあいを続けやすい」(10月第4週)

先週のユーロドルは、週初高値週末安値と前週まで続いていたユーロ買い戻しの流れが終わり、改めてユーロ売りトレンドの回帰しようとする動きの一週間となりました。

ユーロ週報「上値は重いが、もみあいを続けやすい」(10月第4週)

今週の週間見通しと予想レンジ

まず、今週から欧州が冬時間に移行しますので、欧州市場開始が1時間遅くなります。東京後場から欧州序盤にかけて今までよりも参加者が少ない時間が出てくることや、経済指標の発表時間等にご注意ください。

先週のユーロドルは、週初高値週末安値と前週まで続いていたユーロ買い戻しの流れが終わり、改めてユーロ売りトレンドの回帰しようとする動きの一週間となりました。材料としては前週末に英国議会でブレグジット案の採決延期となり、その後の動議も否決されたことで10月末離脱の可能性が無くなったこと、ドラギ総裁最後のECB理事会で欧州景気の悪さと包括的な緩和政策継続に言及されたことです。

ブレグジットは、何度目の延期になるのかという感じですが、英国とEUとの合意があっても英国議会で保守党が過半数を割り込んでいる以上、よほどの切り崩しが進まないと採決しても簡単に可決は出来ない状況に変化はありません。当初に比べると閣外協力をしている北アイルランドDUPも野党労働党も保守党との協議はするという柔軟な姿勢へと変化してきていますので、時間をかけて国内法の整備が進めばどこかの時点で可決される可能性は高そうです。

今のところEU側は離脱延期について基本的に認める方針のようですが、いつまでという延期期限には一切言及していないため、今週中には新たな離脱期限が示されるものと思われます。英国側は来年1月末という時期を示していますが、EU側がその通りとするのか、あるいは延期反対派の声を取り入れて短縮するのか、そのあたりが注目はされますが、英国政府とEUとの間では採決が可決されるであろう時期についての話し合いは進んでいると思われますので、サプライズは起きにくいと見ています。

そして、欧州景気の問題はECBによる包括的な緩和政策が今後どの程度効果が出てくるのかを見守ることとなりますが、最終的には米中通商協議が本当に合意署名というところに辿り着くまでは心理的にもいい影響はありえません。PMIなど、購買担当者も先行きが不透明な状況ではポジティブになりようもないでしょう。このまま年末まで進んでいくと、思いのほか早期にドイツの財政出動の話が本格化してくる可能性もあります。

今週は米国ではGDP速報値、FOMC、雇用統計と重要なイベントがありますが、GDPはFOMCと同じ日でしかも前ということもあり、よほど振れない限りは動きにくくなります。コンセンサスは前回の2.0%から1.6%へと減速ですが、このコンセンサス以上の減速となった場合にはドル売りがユーロ買いへと波及してくると考えられます。逆にそれ以外のケースではユーロ売りのトレンドには変化は出ないでしょう。またFOMCでは既に0.25%の利下げを織り込んでいること、雇用統計はそれ自体が重要度が下がってきていることから、サプライズでも無ければこちらも動かなさそうです。

そしてテクニカルですが、こちらは流れが変わってきています。日足チャートをご覧ください。

今週の週間見通しと予想レンジ

6月高値からの下降トレンドを10月上旬まで継続、その後11日にレジスタンスを上抜けたことからテクニカルには上昇トレンドへと転じていました。しかし、先週金曜の下げで10月安値からのサポートを下抜けし、今週はこの抜けたサポートをレジスタンスとしやすい流れになってきます。今週末の段階でこのラインは1.1130水準となります。

いっぽうで下値については10月安値と高値をベースに半値押しとなる1.1029をターゲットにしやすい流れです。最近のユーロの値幅を考慮すると100pipsレンジというのは妥当でしょうから、今週は上値が重たいものの下も攻めきれず、1.1030レベルをサポートに、1.1130レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

今週のコラム

今週のコラム

今週はユーロ円の日足チャートを見ます。

ドル円が動かない中で、ユーロドルが下げてきたことからユーロ円も121円台半ばで短期的な高値をつけた格好となり、高値圏から1円ほど下げてきています。ユーロ円はもう少し下押ししやすいターゲットが近いところにいくつか見られます。

一番近い水準は10月中旬に上抜けるまで変形ダブルボトム状パターンのネックライン(青)となっていた120円の大台です。抜けた後はサポートとして機能しやすいため、あと50銭程度の下げですし、大台でもあるためいかにも試しやすい水準と言えそうです。また10月安値と高値の38.2%押しが119.80(赤のターゲット)となっていますので、120円の大台割れは今週中に一度は見るのではないかと考えています。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

10月28日(月)
**:** 欧州市場冬時間移行


10月29日(火)
16:45 フランス10月消費者信頼感


10月30日(水)
15:30 フランス7〜9月期GDP速報値
17:55 ドイツ10月失業率
19:00 ユーロ圏10月消費者信頼感
22:00 ドイツ10月CPI速報値
26:30 ラウテンシュレーガーECB理事講演
27:00 FOMC結果発表
27:30 パウエルFRB議長会見

10月31日(木)
09:01 英国10月消費者信頼感
16:45 フランス10月CPI速報値
19:00 ユーロ圏7〜9月期GDP速報値
19:00 ユーロ圏10月CPI速報値
19:00 ユーロ圏9月失業率


11月1日(金)
18:30 英国10月製造業PMI

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

10月21日(月)
ユーロドルは東京市場では動きが鈍く、欧州市場で北アイルランドDUPがブレグジットについて話し合いの姿勢を見せたことから買いが入り一時1.1180レベルと金曜高値をわずかに更新しました。その後は高値圏でのもみあいが続きましたが、NY市場ではドル買いの動きに押されて日中安値を更新したものの、値幅は限定的なものとなりました。


10月22日(火)
ユーロドルは英国議会でブレグジット関連法案の審議が続くものの進展が見られず、NY市場まではポンドの下げとともに上値の重たい展開が続きました。NY市場ではジョンソン首相の離脱の短期延期受け入れの発言から買い戻しも見られましたが、短期審議の動議が否決され10月末の離脱の可能性がほぼ無くなったことから反落、ポンドの下げとともに1.1118レベルまで水準を下げ安値圏での引けとなりました。

10月23日(水)
ユーロドルはNY後場までまったく動かず、狭い値幅で様子見姿勢が続きました。英国議会の状況やECB理事会を控え動きにくい状態となっていました。NYの引け間際にやや買いの動意は見られたものの終日レンジは35pipsに留まりました。


10月24日(木)
ユーロドルは、欧州市場序盤に発表されたフランスのPMIに反応してユーロ買いが先行したもののドイツPMIは悪く短時間での行って来いでECB理事会待ち。理事会では予想通り現状維持と緩和継続の確認にとどまりましたが、追加緩和への言及が無かったことでユーロ買い。しかしドラギ総裁会見で改めて景気の下振れリスクに触れたことでまた行って来い。その後ジョンソン首相が総選挙実施に言及したことからポンド売りがユーロにも波及し1.1093レベルまで下押し後にやや戻して引けました。

10月25日(金)
ユーロドルは東京市場では動かず、欧州市場序盤に久しぶりに強めの数字となったドイツの経済指標に反応し買いが先行しました。しかし上値も重く、NY市場ではドル高の動きからユーロ安の展開となり、週間安値を1.1073レベルまで切り下げ、そのまま安値圏での引けとなりました。

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