ドル円 今週ももみあいを抜けることは困難(週報10月第4週)

先週のドル円は、週間のレンジが52銭に留まり、日々のレンジも一日を除いて連日30銭未満という相場としては全く面白くない一週間となりました。

ドル円 今週ももみあいを抜けることは困難(週報10月第4週)

今週の週間見通し

先週のドル円は、週間のレンジが52銭に留まり、日々のレンジも一日を除いて連日30銭未満という相場としては全く面白くない一週間となりました。材料的には欧州通貨に目が行きますし、また主要通貨の材料として日米の金融政策決定会合が今週あることも重なって、蚊帳の外状態の週になっていた印象です。

また値動きが少ないこともあり、実需を中心としたオーダーも108円と109円で見えていることから、それぞれその手前へと注文を狭める動きも一層ドル円相場を動きにくくしています。ポジション的にはシカゴの通貨先物が若干円売りとなっていて、動きさえ出ればどちらにも動きやすいという状況です。

今週は30日にFOMC、31日に日銀会合と日米の金融政策決定会合が続きますが、FOMCは本日時点で0.25%の利下げ(現状の1.75%〜2.00%を1.50%〜1.75%へ)を90%以上のFF先物取引参加者が織り込んでいる状態です。現時点では米中通商協議もブレグジット協議もいまだ継続中のため、FRBとしては今回は市場予想通りに利下げを行うと考えられますが、今後の利下げについての見通し、特に次回12月FOMCにおける利下げの有無を見極める会合となります。

12月FOMCにおける市場参加者の織り込み度は、今週のFOMCで予想される利下げ水準(1.50〜1.75%)から変わらないと見る参加者のほうが圧倒的に多く、更なる利下げ(1.25〜1.50%へ)を見込む参加者は23%程度と一時期に比べるとかなり減ってきています。経済指標やFRB関係者、また地区連銀の報告等からも年内の更なる利下げは見込みにくく、おそらくFOMCにおいても同様の見方が示されると考えられます。

そうであるとすると、何のサプライズも無いこととなり、株式市場が利下げを好感しやや株高に反応するか、あるいは材料出尽くしから最近の株高に対する調整となるか、株式市場の動向を見ながらも日米金利差が縮小することからドルの上値は抑えられやすい動きになると考えられます。

そして日銀ですが、こちらは市場参加者の意見が分かれている様子です。
前回9月の日銀会合では今回10月の会合で、景気動向を改めて点検すると発言していることや、その後の会見やそれ以降の黒田総裁の発言がややハト派にバイアスがかかっていることから、追加緩和があるのではないかというのが追加緩和ありと考える向きの意見です。一方で、前回から今週の会合までの変化自体は特に無いこと、10月からの消費増税の影響を見極めるにはまだ時間が経っていないこともあって、今回の会合で積極的に緩和するには材料不足と考えるのが現状維持と考える向きの意見です。
個人的には後者の現状維持の可能性を考えていますが、日本の株式市場参加者は追加緩和を期待する向きも多い様子で、それが日経平均の上昇にもつながっていると考えられます。

そして金曜には米国雇用統計です。既に米国の雇用は完全雇用に近いこともあって、雇用統計の重要度は低いと何度も言っている通りですし、その前の金融政策イベントのほうが重要度も高いため、本来であればあまり動く材料とはなりにくいのですが、これまでのような膠着相場が金融政策イベントを過ぎても続いているような場合には、コンセンサスからずれた数字が出た場合に、仕掛けるきっかけとされる可能性はあるでしょう。

いずれにしても動きがあまり期待できないのですが、テクニカルにはどうか日足チャートをご覧ください。

大きくはピンク太線のサポートとレジスタンスの中での推移ですが、ごく短期的には値幅が少なかったためピンクの細線のサポートも効いていました。ただ、このサポートはさすがに近すぎますし、これを考量すると上に抜けるしか逃げ場が無いこともあって、引き続き太線のウェッジ内での動きを考えます。

その場合の下値の目途ですが、ちょうど月末にサポートと10月安値と高値の38.2%押しの108.00が重なりますので、同水準程度までの押しは考えられますが、ここを下回ることは現状難しいと見ています。また上値は一時的に109円を抜けることがあっても、上ヒゲ程度でのトライとなるでしょうから、こちらも限定的です。

今週の値幅も限定的と考え、108.05レベルをサポートに109.05レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

今週の週間見通し

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2019年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、ボストン、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

10月28日(月)
**:** NZ、シンガポール市場休場
**:** 欧州市場冬時間移行


10月29日(火)
08:30 本邦10月東京区部CPI
15:45 豪中銀総裁講演
16:45 フランス10月消費者信頼感
22:00 米国8月ケースシラー住宅価格指数
23:00 米国10月消費者信頼感
23:00 米国9月住宅販売保留件数
**:** FOMC(〜30日)

10月30日(水)
**:** 日銀会合(〜31日)
09:30 豪州7〜9月期CPI
15:30 フランス7〜9月期GDP速報値
17:55 ドイツ10月失業率
19:00 ユーロ圏10月消費者信頼感
21:15 米国10月ADP全国雇用者数
21:30 米国7〜9月期GDP速報値
22:00 ドイツ10月CPI速報値
23:00 カナダ中銀政策金利発表
23:30 週間原油在庫統計
26:30 ラウテンシュレーガーECB理事講演
27:00 FOMC結果発表
27:30 パウエルFRB議長会見

10月31日(木)
06:45 NZ9月住宅建設許可件数
09:00 NZ10月企業信頼感
09:01 英国10月消費者信頼感
09:30 豪州9月住宅建設許可件数
09:30 豪州7〜9月期輸入物価指数
10:00 中国10月製造業PMI
**:** 日銀会合結果発表
15:30 黒田日銀総裁会見
16:00 トルコ9月貿易収支
16:45 フランス10月CPI速報値
18:30 南ア9月PPI
19:00 ユーロ圏7〜9月期GDP速報値
19:00 ユーロ圏10月CPI速報値
19:00 ユーロ圏9月失業率
20:30 米国10月チャレンジャー人員削減予定数
21:00 南ア9月貿易収支
21:30 米国新規失業保険申請件数
21:30 米国9月個人所得・消費支出
21:30 米国7〜9月期雇用コスト
22:45 米国10月シカゴ購買部協会景気指数

11月1日(金)
08:30 本邦9月失業率・有効求人倍率
09:30 豪州7〜9月期PPI
10:45 中国10月MarkIt製造業PMI
16:00 トルコ10月製造業PMI
18:30 英国10月製造業PMI
21:30 米国10月雇用統計
22:45 米国10月製造業PMI
23:00 米国10月ISM製造業景況指数
23:00 米国9月建設支出
26:00 クラリダFRB副議長講演

11月3日(日)
 **:** 米国冬時間移行

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

10月21日(月)
月曜のドル円は週末に行われた英国議会におけるブレグジット案採決が先送りとなったことを受け、早朝こそリスクオフの円買いが先行しましたが、リスクオフの週明けは買い戻されるといういつものパターンを踏襲し、その後はじり高の展開を辿りました。欧州市場に入り108.67レベルの高値をつけて以降は後が続かずいったん下押し。NY市場ではNEC委員長が米中協議の進展次第で12月の追加関税は取り下げるとの発言に再び高値圏に近づいて引けました。

10月22日(火)
東京が休場の中、朝方の参加者が少ない時間帯に株価指数上昇をきっかけとしたドル買いから前日高値をやや上回る108.73レベルをつけましたが、その後は前日のポジション調整もあり、高値安値とも少しずつ切り下げる展開が続き、2日掛けての行って来いといった値動きとなっていました。


10月23日(水)
ドル円は日経平均株価のミラー相場となりました。東京寄り付き直後から日経平均が大幅安となる動きに沿ってドル円もリスクオフの円高、一時108.25レベルと週間安値を更新する動きを見せました。しかし、その後の日経平均は底がための動きを経て、海外市場では日経先物が朝方の高値を上抜けるとドル円も108.71レベルの高値をつけ、NY市場では高値圏でもみあいのまま引けました。

10月24日(木)
ドル円は小動き、欧州市場序盤のユーロ円の買いで前日高値を若干上回ったものの上がりきらず、またNY市場ではダウの下げに反応して下押しする場面はあったものの下がりきらず。終日のレンジも26銭と動意薄のまま一日を終えました。

10月25日(金)
ドル円は東京市場では動かず、欧州市場に移りユーロが対円でも下げる動きに沿ってNY市場まではじり安の流れとなりました。しかしNY市場ではダウが上昇する動きとともにドルが全般的に買われる動きとなり、日中高値を更新後にやや下押ししてのクローズ。ただ終日の値幅は26銭と前日同様冴えない一日となりました。

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