トルコリラ円レポート月曜版
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、材料的にもテクニカルにも戻りは鈍く「17.90レベルをサポートに18.50レベルをレジスタンス流れ」を見ていました。実際のレンジは、安値が18.20レベル、高値が18.87レベルと、反発上昇を示す一週間となりました。
先週のトルコリラ円は、シリアにおけるクルド組織に対する攻撃に対し、米国がいつ制裁を行ってもおかしくない状況での週明けスタートとなりました。思いのほか下げ足は鈍く、安値圏でのもみあいとはなっていたものの、前週安値もトライできないまま週後半へと入り込みました。そして、17日にエルドアン大統領が5日間に渡り停戦することを表明し、それをきっかけにトルコリラ円は上昇、翌18日には18.87レベルと3日以来の高値をつけることとなりました。
しかし、実際には18日にもシリア北部でトルコとクルド組織が衝突して停戦合意に反するため、エルドアン大統領はトランプ大統領と電話会談し、小規模な砲撃は収まっている旨連絡をしたことで若干の反落で済んでいました。翌19日にエルドアン大統領は米国との合意条件が5日以内に満たされない場合は、作戦を再開すると発言しました。明日22日に5日が経過しますが、同日にはプーチン大統領との会談も予定されています。こうした一連の動きを見ていると、トルコの判断によっては会談後に作戦再開となる可能性も否定できず、安心していられる状況ではありません。
まずは22日(日本時間23日未明)が終わった段階で、停戦状態が続いているのかどうか、そしてトルコが再び作戦を開始するかどうか、そのあたりを見極める週前半となりそうです。
週後半(24日20:00)にはトルコ中銀の金融政策決定会合が開かれ、今回も利下げが行われると考えられています。コンセンサスは1%の利下げで15.5%となっていますが、最近はトルコの物価上昇率が落ち着いてきていることもあり、2%程度までの利下げはあり得ると思います。ただ、一時期に比べ金利差が着実に縮小してきていることを考えると、コンセンサス以上の利下げとなった場合には、トルコリラ売りにつながりやすいと言えそうです。特にエルドアン大統領が中銀に対して、圧力をかけるような発言を行う可能性もありえますので、そのような中銀の独立性を懸念させる類の発言もトルコリラ売りに繋がる可能性があるでしょう。
逆にトルコリラ買いに繋がりそうな材料としては、22日に停戦合意通りとなっていることとその後の停戦継続は考えられます。しかし、これまでのトルコの対シリア政策を考えると、その状況が長続きするとも思えず、一時的に買い材料になったとしても警戒もあるといった状況になりそうです。また、中銀の利下げ幅がコンセンサスよりも少ない、あるいは現状維持といった場合もトルコリラ買いとなりそうですが、この可能性はかなり低いと思われます。
先週の下値押しが思いのほか弱かったことはテクニカルには説明しやすいと思いますので、まず日足チャートをご覧ください。
トルコリラ円日足チャート
4時間足チャートにも示されていますが、8月のフラッシュクラッシュ安値と10月1日高値の半値押しが18.21となっていて、テクニカルな観点から押し目買いが入った可能性が考えられます。実際に10月安値をつけた前後に本邦個人投資家によるトルコリラ買いが若干増えていましたので、これまで同様に押し目では買って上がったところで利食いというスタイルは変わっていないようです。
次にいつもの4時間足チャート(上からトルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円)をご覧ください。
横方向の動き(もみあい)にも見えますが、下値トライ失敗ということもあって緩やかな上昇チャンネルを想定してみました。まだ1週間しか経過していませんので、あくまでも仮の想定となりますがチャンネルの中間線も併せて引いてみました。トルコリラが堅調な場合はチャンネルの上半分を、悪材料が出て下げた場合には下半分を今週は中心レンジとしやすいという判断です。
現時点では22日の停戦期限、24日のトルコ中銀金利発表を前に見通しは立てにくいものの、トレンドが緩やかな上に向かっているというテクニカルな点を重視し、上半分に近い18.50レベルをサポートに、18.95をレジスタンスとする週を見ておきます。
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