米中協議進展で急伸するも、ファンダメンタルズ的な脆さがランドの重石に
今週のレビュー(10/7−10/11)
今週の南アフリカランド・円(ZARJPY)相場は、週初7.113円で寄り付いた後、トランプ米政権が「中国の監視カメラ製造最大手ハイクビジョンなど計28企業・政府機関について禁輸措置の対象とする」「中国への資本フローの制限を検討している」と報じたことや、A中国外務省がこれらに対して報復措置の可能性をにじませたこと等が重石となり、翌10/8には、約1ヶ月半ぶり安値となる6.980円まで急落しました。しかし、B格付け会社スタンダード&プアーズが「南アフリカの格付けを早急に変更する圧力はない」と発表したことや、C南ア・9月SACCI景況感指数(結果92.4、予想89.0)及び、D南ア・8月製造業生産高(結果1.3%、予想0.1%)が市場予想を上回ったこと、E米中協議における進展期待が高まったこと等が支援材料となると、一目均衡表雲上限を上抜けて急伸。週末にかけては、約3週間ぶり高値となる7.381円まで上値を伸ばしました。もっとも、ボリンジャーバンド上限に続伸を阻まれると、引けにかけて小反落。結局、7.322円前後での越週となっております。
来週の見通し(10/14−10/18)
南アフリカランド・円相場は、10/8に記録した安値6.980円をボトムに反発に転じると、週後半にかけて、約3週間ぶり高値圏へと急伸しました。この間、@一目均衡表雲下限や、A一目均衡表転換線、Bボリンジャーミッドバンド、C一目均衡表基準線、D7/23高値7.909円と9/13高値7.459円を結んだレジスタンスライン、E一目均衡表雲上限を軒並み突破するなど、テクニカル的にみて、上昇リスクが強く意識されます。9/13高値7.459円を突破できれば、「下落」から「上昇」へのトレンド転換も視野に入ります。
但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@南アフリカ経済を巡る減速懸念や、A国営電力会社エスコムの負債問題と政府の財政悪化懸念、B米中対立激化を通じた南アフリカ最大の貿易相手国「中国」の景気下触れ懸念、C大手格付け機関の中で唯一投資適格級を付与しているムーディーズによる格下げリスク(※定例格付け見直しは11/1に実施予定)など、不安材料は山積みです。今週は上記Bのリスクが幾分後退したことで南アフリカランドに上昇圧力が加わりましたが、部分合意に留まったことで今後の展開次第では、再び米中貿易摩擦が再燃する展開も想定されます。
以上の通り、南アフリカランド・円相場は、テクニカル的に持ち直しの兆しが見られるものの、ファンダメンタルズ的な弱さが続伸を阻むと予想されます。11/1に公表されるムーディーズによる格付け見直しを前に積極的に上値を買いづらい地合いでもあり、来週はやや伸び悩む動きとなりそうです。10/16に予定されている南ア・8月小売売上高や、米中を巡るヘッドライン、英国情勢(10/17−10/18のEU首脳会議、10/19の英国・EU離脱申請期限)を睨みながらも、南アフリカランドの反落をメインシナリオとして予想いたします。
来週の予想レンジ ZARJPY 7.050ー7.450
南アランド円日足
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ランド円ショートコメント(2019年10月7日)
安値が6.99レベル、高値が7.16レベルと一時的に大台の7.00を割り込む場面は見られたものの、思ったよりは落ち着いて狭い値幅での取引が続きました。
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