シリア情勢悪化でリラ安進行。来週はEU首脳会議でのトルコ制裁議論に注目
今週のレビュー(10/7−10/11)
今週のトルコリラ・円(TRYJPY)相場は、シリア情勢悪化を背景に、週を通して軟調推移が継続しました。きっかけは、10/6に米国がシリア北部への安全地帯の設置に合意し、10/7にシリア駐留の米軍を撤収させる方針を示したこと。米国の関与が弱まったことで、シリアを取り巻く軍事的均衡状態が崩れ、トルコは10/10にシリアへ攻撃(空爆)を開始。地政学的リスクが高まる中、トルコリラ円は、約1ヶ月ぶり安値となる18.207円まで急落しました。世界各国から(含む米国内)トランプ米大統領の判断に対する非難の声があがったことで、同氏は、「私が望まぬことをすればトルコ経済に壊滅的な打撃を与える」「トルコが非人道的行動を行えば制裁上回る措置を講ずる」と火消し発言を行いましたが、緊張は和らぐどころか、むしろ悪化の一途を辿っています。米中協議進展など好材料が相次いだことで、週末にかけてやや持ち直すも上値は重く、結局18.372円付近での越週となっております。
来週の見通し(10/14−10/18)
今週のトルコリラ・円相場は、週初より値を崩す展開となりました。@9/12高値19.140円、9/18高値19.141円、10/1高値19.170円を起点としたトリプルトップが下放れした他、A一目均衡表転換線の基準線割れ、ローソク足の一目均衡表雲下限割れ、遅行線のローソク足下抜けが全て揃う三役逆転(※強い売りシグナル)も出現するなど、テクニカル的にみて、下落リスクを意識させるチャート形状となりつつあります。
ファンダメンルズ的に見ても、@シリア情勢の悪化(戦争勃発リスクの高まり)や、A米国及びNATO同盟国との関係悪化懸念(シリアへの攻撃開始や、ロシア製ミサイルS400の導入を巡り)、B外貨準備急減を背景としたリラ安防衛能力への不信感、Cトルコ経済の先行き不透明感、Dエルドアン大統領による中銀への介入懸念と求心力低下、E経済的な結び付きの強いドイツ経済の悪化懸念など、不安材料は山積みです。特に来週はEU首脳会議でトルコに対する制裁可否が議論されると報じられていることから、トルコリラの更なる下押しに警戒が集まります。
以上の通り、トルコリラ・円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、下落リスクが警戒されます。10/17に始まるEU首脳会議でトルコへの制裁が現実的なものとなれば、同国経済への下押しを通じて、トルコリラ安が一段と加速する恐れもあります。状況次第では心理的節目18円割れも視野に入ります。来週はトルコリラ・円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします。
来週の予想レンジ TRYJPY 18.00ー18.70
トルコ円日足
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