米中貿易協議で部分合意、ドルに買い安心感(週報10月第2週)

先週のドル/円は、ドルが堅調裡。

米中貿易協議で部分合意、ドルに買い安心感(週報10月第2週)

米中貿易協議で部分合意、ドルに買い安心感

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円は、ドルが堅調裡。週間を通して2円程度の変動が観測されたが、「週初安・週末高」の展開で、ドルの強さが際立っていた。

前週末に、実施された米朝実務者協議は米国と北朝鮮で異なる見解になったものの、実質的には「決裂」に終わるなか、いわゆる「ウクライナ疑惑」についてABCニュースが「2人目の内部告発者が告発の準備を進めている」と報じるなど、今後の動きが懸念されていた。
そうしたなか、週明けの為替市場が寄り付いたが、ドル/円は先週末のNYクローズよりやや円高の106.65円レベルで取引開始。しかし、結局同レベルが週間を通しての最安値となり、以降は週末にかけて緩やかな右肩上がり。週間安値から高値まで2円程度の反発をたどっている。週間高値108.63円を示現したのち、さすがに小緩むも底堅く、週末NYはドルの高値圏108.40円前後で取引を終え、越週している。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「米中貿易協議」について。
ほかにも、「北朝鮮情勢」や「ウクライナ疑惑」、「トルコ情勢」あるいは「英国情勢」などが日替わりで話題になったものの、金融市場は1週間を通して、ほぼ「米中貿易協議」に関する話題に振り回されていた。
7-8日に実施された「次官級協議」を前にトランプ米大統領から、「部分合意を認めない」とした趣旨の先制パンチが繰り出された反面、ブルームバーグは条件付きながら「中国は部分的な合意も受け入れる方針」と報道、逆に市場の期待感を高めていた。

そののち実際の協議が開始されたが、好悪両サイドの情報が錯綜する展開となり、相場も右往左往。たとえば、香港英字紙が「7-8日に実施した次官級貿易協議で進展はなかった」としたうえで、「閣僚級協議、2日間ではなく1日のみ開催の可能性」と指摘。ネガティブな報道が一時先行したものの、再びブルームバーグが「米国は中国との部分的な合意の一環として通貨合意を検討」と前向きな報道を行い、合意期待が辛うじて維持されている。
週末にかけては、中国の劉副首相から「通商協議で双方が重要とみなす問題で合意を目指す意向を持っている」との発言や、トランプ氏による「中国は非常に素晴らしい。我々は中国と合意できるか目にすることになる」とのコメントも観測されるなか、実際に米中が実施していた閣僚級協議で部分合意。会談後、米ホワイトハウスは「第一段階の合意に達した」としたうえで、15日に予定していた対中関税引き上げの先送りを発表している。

<< 今週の見通し >>

「米中貿易協議」に関しては、事前に合意期待が高まるものの終わってみれば失望−−ということがパターン化していたが、今回ようやく「部分的」とは言え合意したことでドル買いが優勢となっている。チャート的にも、過去1ヵ月程度上値を阻んできた108円半ばを取り敢えず超えてきた感を否めず、ドルの続伸を期待する声が少なくない。次のターゲットは移動平均の200日線が位置する109円前後、抜ければ8月高値の109.32円が意識されそうだ。

「北朝鮮情勢」や「イラン・サウジ情勢」、「英国情勢」、「米貿易問題」、「米金融政策」のほか「トランプ氏のウクライナ疑惑」、そして先週末に掛けて急台頭した「トルコ情勢」にも要注意だ。それぞれすべて要注意なのだが、なかでも「米金融政策」と「米中情勢」に今週も注意を払いたい。前者は、ここ最近発表された米経済指標が総じて冴えないという状況下、米中貿易協議が取り敢えずの決着を見たことで、再び米ファンダメンタルズに市場の注目が移行する可能性が取り沙汰されている。対して後者は、先で指摘したように貿易問題は一応決着したものの、完全決着ではないうえ、「香港」や「台湾」、「ウイグル自治区」などをめぐっての米中鍔迫り合いは続いていることが気掛かりだ。

テクニカルに見た場合、過去1ヵ月程度推移していたレンジの上限108円半ばを一時超えており、リスクという意味では上方向にバイアス。ドルの続伸が期待されている。ちなみに、次の上方向のターゲットは移動平均の200日線が位置する109円前後、抜ければ8月高値の109.32円が意識されそうだ。
それに対するドルのサポートは、週初107.60-70円に位置し、ジリジリと値を上げてくる移動平均の25日線か。「しっかり」下回れば、ドルの上値トライはダマシだったということになりかねないかもしれない。

一方、材料的に見た場合、10月のNY連銀製造業景況指数や9月の小売売上高、同設備稼働率といった米経済指標の発表が予定されているほか、週間を通して中国の経済指標発表も目白押しだ。それら米中経済指標の内容や、米地区連銀総裁を中心とした講演が連日実施されるだけに、要人発言の内容を警戒する声は少なくない。
そのほか、いわゆる米国ファクターには当然要注意だが、欧州ファクター、とくに「英国情勢」なども気掛かり。離脱問題が議論される17-18日のEU首脳会議がとくに注視されており、場合によっては相場の波乱要因に。

そんな今週のドル/円予想レンジは、107.30-109.80円。ドル高・円安については、先週高値108.62円の攻防にまずは注目。上抜ければ109円、あるいは109.32円などが意識されそうだ。
対するドル安・円高方向は、108円前後にも弱いサポートが位置するものの、強いテクニカルポイントとなると移動平均の25日線か。ただ、25日線を含め、107円台半ばレベルには複数のテクニカルポイントが集中しており、かなり底堅そう。(了)

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