今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロドルは、継続して弱い欧州の経済指標がユーロの上値を抑えるいっぽうで、火曜以降は米国からの経済指標も弱い数字が続き、ドル売りの動きがユーロを下支えすることとなりました。一週間を振り返ると火曜東京市場で1.0879レベルの安値で反転、その後は週末まで安値を切り上げる展開が続きましたが、高値も木曜の1.1000ワンタッチと値幅は伴っていません。
やはり、水面下で交渉が続いているブレグジットの代替案に対してEUがどのような判断を下すのかが見えてこないと、ポンド同様にユーロの取引も控えめにならざるを得ないという印象です。先週も英国内では議会は合意無き離脱は認めず離脱延期、いっぽうでジョンソン首相は合意無き離脱も辞さないという姿勢を変えていませんが、これもEUが認めなければ延期できませんので、材料的には不安要素のほうが大きいことになります。
今週はEU財務相会議、そして来週はEUサミットと、EU側から英国の代替案を認める流れになってくるのか、あるいは先週までと変わらず賛否分かれてEUサミット当日まで決まらないのか、いずれにしても来週のEUサミット(17・18日)では、10月末に何が起きるのかの方向性は見えるはずです。逆にそれまでは、ますます動きにくいということになるでしょう。
他にはドル全体が弱い流れの中で次官級と閣僚級の米中通商協議が週を通してワシントンで開催されます。週末に中国が早期合意のため協議範囲を狭めるといったニュースが出たり、トランプ大統領が部分合意は無いと言ったり、リスクオフの懸念から週初はドル円とともにユーロ円の売りも見られました。
タイミング的にはトランプ大統領のドル高牽制発言以降にユーロ買い・ドル売りへと方向転換していますので、ユーロの材料で動きにくいとなるとドル材料、そしてリスクオフの円材料が気になるところでしょうか。またECB理事会の議事要旨公表もありますが、包括的な緩和策を一気に打ち出した理事会の議事録ということで、反対意見がどうだったのかを見たいという程度でしょう。方向感が出にくそうな、悩ましい一週間となりそうです。
こういう時はテクニカルな観点しか参考にしにくいですから、早速チャートを見てみましょう。
ユーロドル日足
6月高値と8月高値を結んだレジスタンスライン(ピンクの太線)がよく効いていることには変わりませんが、同ラインは週初の段階で1.1015レベルにまで下がってきています。仮に多少抜けたとしても上ヒゲで抜ける程度で1.10台前半を大きく超えるような流れは、よほど強力なドル売りでも出ない限り考え難い展開です。
いっぽうで下値はピンクの細線で考えるよりも短期的には9月初めの安値と10月初めの安値を結んだライン(青の太線)がよさそうです。9月初めから下降ウェッジの中での推移を続けているイメージですね。この下側のラインは1.08台後半を緩やかに下降中で、これまでも何度も年初来安値を更新する動きを繰り返してきたことを考えると、10月もどこか年初来安値を更新する展開が続くと考えた方が自然です。
ただ、今週のところは先週安値を下抜けるほどの勢いが出てくるとは思えず、1.0880レベルをサポートに、1.1015レベルをレジスタンスとする流れを見ておきたいと思います。
今週のコラム
今週はユーロ円の日足チャートを見ます。
本文中にも書きましたが、ドル売りが米国経済指標の弱さとリスクオフによる円買いの2つの側面があり、後者の場合はユーロ円の売りに繋がりますので、現在のユーロ円についてテクニカルにどのような状況にあるのか確認しておきましょう。
ユーロ円日足
レジスタンス(ピンクの太線)は7月高値と9月高値を結んだライン、下側のラインはなるべく近い水準に来るよう、あえて1月初めのフラッシュクラッシュ時の安値と9月安値を結んだライン(ピンクの太線)としてみました。おそらく中期的にはこの大きな下降ウェッジの中での動きと考えてよさそうです。
また、短期的には9月最終週からの狭い下降チャンネル(青の平行線)の中での下げを確認できますが、9月安値と9月高値の78.6%(61.8%の平方根)押しとなる116.75が今週はチャンネル下限と重なってきますので、116円台後半を視野に入れて緩やかな下げの流れを継続しやすいチャートと言えるでしょう。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。
10月7日(月)
15:00 ドイツ8月製造業新規受注
**:** 次官級米中通商協議(〜8日)
10月8日(火)
13:00 英中銀総裁講演
15:00 ドイツ8月鉱工業生産
15:45 フランス8月貿易収支
18:30 フィンランド中銀総裁講演、スペイン中銀総裁講演
26:50 パウエルFRB議長講演
10月9日(水)
23:30 パウエルFRB議長講演
27:00 FOMC議事要旨公表
**:** ユーロ圏財務相会議
10月10日(木)
15:00 ドイツ8月貿易収支
15:45 フランス8月貿易収支
17:30 英国8月貿易収支
20:30 ECB理事会議事要旨公表
**:** EU財務相会議
**:** 閣僚級米中通商協議(〜11日)
10月11日(金)
15:00 ドイツ9月CPI
17:00 ポルトガル中銀総裁講演
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
9月30日(月)
ユーロドルは、東京市場では動きは見られませんでしたが、欧州市場に入り弱めのドイツの経済指標をきっかけにユーロ売り、金曜安値を下回ると一時1.0885レベルと連日の年初来安値更新となりました。NYの引けにかけては若干戻しての引けとなりました。
10月1日(火)
ユーロドルは、ユーロ安の流れにGPIF報道から思惑のドル買いが加わって東京後場には1.0879レベルまで安値を切り下げました。しかし、積極的に売り仕掛けをする向きも無く、安値圏でもみあいのままNY市場入り。NY市場ではドル円同様に弱い米国経済指標とトランプ大統領発言に反応し、1.0943レベルまで買い戻され高値圏での引けとなりました。
10月2日(水)
ユーロドルは、欧州市場に入りブレグジットに向けての英国の修正案と、それ対するEU側の意見などが出てきたものの、いまだ不透明感しか感じられずポンド売りをきっかけとしたユーロ売りとなりました。その後のNY市場ではダウの下げによるドル売りの動きからユーロドルも急速に買い戻され1.0964レベルへと反発し高値引けとなりました。
10月3日(木)
ユーロドルは、欧州市場序盤に発表されたサービス業PMI改定値が弱く下押しする場面も見られましたが、すぐに買い戻され売られる前の水準で神経質にもみあいながらのNY市場入り。NY市場では弱い米国経済指標に反応しドル円同様にダウの動きに沿って一時1.0999レベルまで上昇後に、NY朝方の水準に押して引けました。
10月4日(金)
ユーロドルは、1.09台後半を中心としたもみあいが続き方向感がはっきりしないままNY市場入り。雇用統計直後は弱いNFPと平均時給に反応しドル売りユーロ買い、1.0998レベルまで上昇したものの前日高値は超えられず反落。その後のドル買い戻し局面ではユーロドルは1.0957レベルの安値をつけ、その後は一日のもみあいの中ほどでの週末クローズとなりました。
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