リスク回避ムードを背景にトルコリラは急反落。19円台での定着に失敗
今週のレビュー(9/30−10/4)
今週のトルコリラ・円(TRYJPY)相場は、アルバイラク・トルコ財務相が「2020年ー22年のトルコ経済計画」において強気な見通しを示したことが支援材料となり(※2020年のGDP見通しを5%成長に設定)、翌10/1に、約1か月半ぶり高値となる19.107円まで上昇しました。しかし、今年3/27高値(20.850円)と、7/31高値(19.696円)を結んだ中長期レジスタンスラインや、ボリンジャーバンド上限に続伸を阻まれると、米国ファンダメンタルズの悪化(ISM製造業景況指数、ADP雇用統計、ISM非製造業景況指数が軒並み冴えない結果となったこと)を受けたリスク回避的な円買いや、エルドアン大統領による「シリア内の安全地帯の設置について独自路線を進む」との方向性が示されたことに伴う米土関係悪化懸念が重石となり、週後半にかけて、9/20以来、約2週間ぶり安値となる18.688円まで急落しました。
引けにかけて持ち直すも上値は重く、結局18.767円付近での越週となっております。尚、今週はトルコの9月製造業PMI(結果、予想)が約1年7ヵ月ぶりに好不況の分岐点50を回復した他、9月消費者物価指数(結果、予想)も、インフレ鈍化が示されるなど、好材料が相次ぎましたが、トルコリラ相場の反応は限定的なものに留まりました。
来週の見通し(10/7−10/11)
今週のトルコリラ・円相場は、高値更新後に急落に転じました。週後半にかけて、一目均衡表転換線や、ボリンジャーミッドバンド、一目均衡表雲上限など主要テクニカルポイントを軒並み割り込んだ他、9/12高値19.140円、9/18高値19.141円、10/1高値19.170円を起点としたトリプルトップの可能性も浮上するなど、テクニカル的にみて、上値の重さが強く意識されるチャート形状となりつつあります。
ファンダメンルズ的に見ても、@ロシア製ミサイルS400を巡る米国・NATO同盟国との関係悪化懸念や、Aシリア北部を巡る地政学的リスク、B外貨準備急減を背景としたリラ安防衛能力への不信感、Cトルコ経済を巡る先行き不透明感、Dエルドアン大統領による中銀への介入懸念(=トルコ中銀の独立性を巡る疑念)、Eエルドアン大統領の求心力低下、F経済的な結び付きの強いドイツ経済の悪化懸念など、不安材料は山積みです。
以上の通り、トルコリラ・円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、下落リスクが警戒されます。10/10ー11に予定されている米中閣僚級通商協議や、10/11に発表されるトルコ・8月経常収支、グローバルな株価動向に振らされながらも、来週はトルコリラ・円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします。
来週の予想レンジ TRYJPY 18.40ー19.00
トルコリラ円日足
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