米土関係改善期待で上昇するもファンダメンタルズ的な脆さが続伸を阻む
今週のレビュー(9/23−9/27)
今週のトルコリラ・円(TRYJPY)相場は、週初18.726円で寄り付いた後、早々に安値となる18.701円まで下落しました。しかし、ボリンジャーミッドバンド付近で下げ渋ると、その後は、@7月に排除された最新鋭ステルス戦闘機F35の共同開発計画にトルコを再び参加させる方向で動いているとの一部観測報道を受けた米トルコ関係の改善期待や、Aトルコ中銀ウイサル総裁による「輸出の強いトレンドやインフレの改善は継続している」「緩和的な金融政策の継続」との楽観的なコメント、B上記Aを受けたトルコ株の上昇が支援材料となり、週末にかけて、約1週間ぶり高値となる19.141円まで上昇しました。もっとも、9/18に記録した直近高値を抜けきれず失速すると、引けにかけて反落し、結局19.023円付近での越週となっております。
来週の見通し(9/23−9/27)
今週のトルコリラ・円相場は、終始堅調な動きとなりました。一目均衡表雲上限を突破したことで再び強い買いシグナルを表す三役好転が点灯した他、一目均衡表転換線の上抜けも実現しました。テクニカル的に見て、「下値の堅さ」が強く意識されるチャート形状です。但し、今年3/27高値(20.850円)と、7/31高値(19.696円)を結んだ中長期レジスタンスライン(添付チャート緑色の抵抗線)が行く手を阻む可能性もあり、19円台前半をトップに反落に転じる危険性がある点には留意が必要でしょう。
一方、ファンダメンルズ的には、@ロシア製ミサイルS400を巡る米国及びNATO同盟国との関係悪化懸念や、Aシリア北部を巡る地政学的リスク、B外貨準備急減を背景としたリラ安防衛能力への不信感、Cトルコ経済を巡る先行き不透明感、Dエルドアン大統領による中銀への介入懸念(=トルコ中銀の独立性を巡る疑念)、Eエルドアン大統領の求心力低下、F経済的な結びつきの強いドイツ経済の悪化懸念など、不安材料は山積みです。今週予定されていたエルドアン大統領とトランプ米大統領の首脳会談(国連総会)がキャンセルとなったことで、ロシア製ミサイルS400に絡む問題(不確実性)も解決されておりません。
以上の通り、トルコリラ・円相場は、テクニカル的に底堅さを堅持しつつも、ファンダメンタルズ的な脆さが続伸を阻む展開となっております。米中協議に絡む続報や、S400を巡るヘッドライン、グローバルな株価動向、リスクセンチメントの変化を睨みながらも、来週はやや反落リスクを念頭に置いたトレードが必要となりそうです。
来週の予想レンジ TRYJPY 18.80ー19.30
トルコリラ円日足
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