ドル円見通し 4日連続陰線に対して3日連続陽線、「三兵先詰まり」か(週報9月第5週)

米ブルームバーグ通信等は9月27日にトランプ政権が米国投資家による中国企業への投資制限を検討していると報じた。

ドル円見通し 4日連続陰線に対して3日連続陽線、「三兵先詰まり」か(週報9月第5週)

ドル円見通し 4日連続陰線に対して3日連続陽線、「三兵先詰まり」か

【概況】

8月1日高値109.31円から8月26日安値104.45円をつけて今年1月3日安値、昨年3月26日安値を割り込む下落となった背景は8月1日夜のトランプ大統領による対中国制裁関税第4弾発動宣言によるリスクオフでの円高だった。その後に米中協議再開へと情勢は変わり、2018年3月以来三度目の105円割れも前2例と同様に切り返しに入り、9月18日まで4.02円高の戻りとなった。
9月19日未明のFOMCでは0.25%の利下げが決定されたが、9月18日まではこの利下げを織り込んでの上昇だったが、19日昼の日銀金融政策が現状維持にとどまったことで円高となり、さらに次官級の協議中だった中国代表団が米国の農産地訪問をキャンセルしたとの報道から米中協議進展への過度な楽観が後退したために9月25日未明には106.94円まで一段安となった。

ところが9月25日夜にトランプ大統領が「中国との貿易協議の妥結が思われているよりも早く起きる可能性がある」と発言したこと等をきっかけとして反騰入りし、26日未明には24日高値を超えて流れは再び円安ドル高となり、中国商務省が26日に「中国企業が米国産大豆と豚肉をかなりの規模で買い付けた」と表明したことで協議進展への期待感が拡大して108円へ迫り、さらに27日深夜には108.18円まで戻り高値を切り上げたのだが、トランプ政権が中国への投資規制を検討中との報道もあって108円台を維持できずに週を終えた。

米ブルームバーグ通信等は9月27日にトランプ政権が米国投資家による中国企業への投資制限を検討していると報じた。米株式市場での中国銘柄の上場規制、年金や投資ファンドによる中国投資への規制等を検討中という。米政権による中国への圧力拡大だが、中国が態度を硬化させて米国債売りをほのめかすだけでも世界の金融市場が大混乱しかねないため、この問題に関する週明けの続報によっては25日からのリバウンドの流れも変わりかねない。

【三兵先詰まり?】

9月19日から9月24日まで日足は4日連続陰線となり、日足レベルでの重要支持線となる26日移動平均に到達した。同線割れから続落に入れば下落継続感が強まるところだったが、9月25日から27日までは日足3日連続陽線での切り返しとなり、26日移動平均が下値支持線としてひとまずは機能した。
日足の3日連続陽線は赤三兵ないしは三兵行進と言われて強気のサインとされるが、今回は3日目が上下にヒゲを付けた小陽線にとどまっており、三兵でも上値が重い「三兵先詰まり」となっている印象がある。27日深夜高値を上抜き返せば先詰まり感払しょくにより一段高へ走りやすくなるが、週明けが陰線引けの場合は先詰まりからの下落警戒となり、24日安値106.94円を割り込むと26日移動平均も割り込むこととなる。そうなると9月18日高値からの下落が二段下げに発展するために、8月26日からの戻り一巡による円高再開の流れへ進みやすくなると思われる。

【1年サイクルの下落途中における3か月サイクルの戻り、一巡か継続か】

【1年サイクルの下落途中における3か月サイクルの戻り、一巡か継続か】

週足から観察される中勢レベルでは、概ね10か月から1年周期の底打ちサイクルで推移しており、2018年3月26日、2019年1月3日に底をつけてきた。1月3日底からの上昇は4月24日高値で戻り一巡となって1年サイクルの下落期に入っていると思われ、このサイクルにおける次の安値形成期となる今年11月から2020年1月にかけての間へ下落継続しやすい状況と考えられる。

概ね1年周期の底打ちサイクルは、概ね4つの3か月前後のサイクルで構成されることが多い。1月3日底以降では3か月弱の3月25日、3か月後の6月25日に底をつけ、8月26日に2か月目とやや短縮されて底をつけて戻してきた状況と思われる。8月26日底からの戻りが9月18日高値で一巡して下落期に入ったのか、まだ続きがあるのかどうか、現状は試されているところだ。その決め手になるのは9月24日安値を割り込んで一段安入りするか、底割れ回避で9月18日高値を上抜き返すかどうかにかかってくる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。

(1)当初、9月26日夜安値107.42円を下値支持線、27日深夜高値108.18円を上値抵抗線とする。
(2)9月25日安値以降は、26日未明、27日未明、27日深夜と高値を切り上げ、安値も26日夜107.42円から27日午後107.64円と切り上げてきている。このため、27日午後安値107.64円を上回るうちは底上げパターンの維持により高値を切り上げる余地ありとし、27日深夜高値を上抜く場合は9月19日未明高値108.47円試しが想定される。さらに高値更新なら8月1日高値109.31円まで上値目途が切り上がってゆく可能性も出てくると思う。
(3)9月27日安値107.64円を割り込む場合は底上げパターンが崩れるので弱気転換注意とし、26日夜安値107.42円割れからは下げ再開の可能性が高まったとみて9月25日安値106.94円試しへ向かうとみる。107円前後ではもう一度買い戻しが入ってくるのではないかとみるが、仮に25日安値を割り込んで続落に入る場合は106.50円前後、さらに106円割れへと順次下値目途が切り下がってゆく流れを想定する。(了)<29日22:00執筆>

【当面の主な予定】

9/30(月)
06:45 (NZ) 8月 住宅建設許可件数 前月比 (7月 -1.3%)
08:50 (日) 8月 小売業販売額 前年同月比 (7月 -2.0%、予想 0.9%)
08:50 (日) 8月 鉱工業生産速報値 前月比 (7月 1.3%、予想 -0.5%)
08:50 (日) 8月 鉱工業生産速報値 前年同月比 (7月 0.7%、予想 -3.9%)
09:00 (NZ) 9月 NBNZ企業信頼感 (8月 -52.3)
10:00 (中) 9月 国家統計局製造業PMI (8月 49.5、予想 49.5)
10:45 (中) 9月 財新製造業PMI (8月 50.4、予想 50.2)
14:00 (日) 8月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (7月 -9.1%)

15:30 (独) 8月小売売上高 前月比 (7月 -2.2%、予想 0.5%)
15:30 (独) 8月小売売上高 前年同月比 (7月 4.4%、予想 2.9%)
16:55 (独) 9月 失業者数 前月比 (8月 0.40万人、予想 0.50万人)
16:55 (独) 9月 失業率 (8月 5.0%、予想 5.0%)
17:30 (英) 4-6月期GDP改定値 前期比 (速報 -0.2%、予想 -0.2%)
17:30 (英) 4-6月期GDP改定値 前年同期比 (速報 1.2%、予想 1.2%)
17:30 (英) 4-6月期経常収支 (前期 -300億ポンド、予想 -195億ポンド)
18:00 (欧) 8月 失業率 (7月 7.5%、予想 7.5%)
21:00 (独) 9月 消費者物価指数速報値 前月比 (8月 -0.2%、予想 0.1%)
21:00 (独) 9月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (8月 1.4%、予想 1.3%)
22:45 (米) 9月 シカゴ購買部協会景況指数 (8月 50.4、予想 50.2)

10/1(火)
休場 香港
休場 中国(国慶節)
08:30 (日) 8月 有効求人倍率 (7月 1.59)
08:30 (日) 8月 失業率 (7月 2.2%)
08:50 (日) 日銀金融政策決定会合、主な意見(9月18-19日分)
08:50 (日) 7-9月期 日銀短観・大企業製造業業況判断 (前期 7、予想 2)
08:50 (日) 7-9月期 日銀短観・大企業製造業先行き (前期 7、予想 1)
08:50 (日) 7-9月期 日銀短観・大企業非製造業業況判断 (前期 23、予想 20)
08:50 (日) 7-9月期 日銀短観・大企業非製造業先行き (前期 17、予想 16)
08:50 (日) 7-9月期 日銀短観・大企業全産業設備投資 前年度比 (前期 7.4%、予想 7.0%)
10:30 (豪) 8月 住宅建設許可件数 前月比 (7月 -9.7%)
10:30 (豪) 8月 住宅建設許可件数 前年同月比 (7月 -28.5%)

13:30 (豪) 豪準備銀行、政策金利発表 (現行 1.00%、予想 1.00%)
16:15 (米) エバンス・シカゴ連銀総裁、フランクフルト講演
16:55 (独) 9月 製造業PMI改定値 (速報 41.4、予想 41.4)
17:00 (欧) 9月 製造業PMI改定値 (速報 45.6、予想 45.6)
17:30 (英) 9月 製造業PMI (8月 47.4、予想 48.1)
18:00 (欧) 9月 消費者物価指数 前年同月比 (8月 1.0%、予想 1.0%)
18:00 (欧) 9月 消費者物価コア指数 前年同月比 (8月 0.9%、予想 1.0%)
22:15 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、会合挨拶
22:45 (米) 9月 製造業PMI改定値 (速報 51.0)
22:30 (米) ボウマンFRB理事、講演
23:00 (米) 9月 ISM製造業景況指数 (8月 49.1、予想 50.5)
23:00 (米) 8月 建設支出 前月比 (7月 0.1%、予想 0.4%)
26:30 (欧) バイトマン独連銀総裁、ウィーン講演

10/2(水)
休場 中国(国慶節)
08:50 (日) 9月 マネタリーベース 前年同月比 (8月 2.8%)
14:00 (日) 9月 消費者態度指数・一般世帯 (8月 37.1)
21:00 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、講演
21:15 (米) 9月 ADP・非農業部門民間雇用者数 前月比 (8月 19.5万人、予想 14.0万人)
22:00 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、講演
23:50 ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、討論会参加(サンディエゴ)

10/3(木)
休場 中国(国慶節)
10:30 (豪) 8月 貿易収支 (7月 72.68億豪ドル)
16:45 (欧) デギンドスECB副総裁、エバンス・シカゴ連銀総裁、講演(マドリード)
16:55 (独) 9月 サービス業PMI改定値 (速報 52.5、予想 52.5)
17:00 (欧) 9月 サービス業PMI改定値 (速報 52.0、予想 52.0)
17:30 (英) 9月 サービス業PMI (8月 50.6、予想 50.3)
18:00 (欧) 8月 生産者物価指数 前月比 (7月 0.2%)
18:00 (欧) 8月 生産者物価指数 前年同月比 (7月 0.2%)
18:00 (欧) 8月 小売売上高 前月比 (7月 -0.6%、予想 0.3%)
18:00 (欧) 8月 小売売上高 前年同月比 (7月 2.2%、予想 2.1%)

21:30 (米) クォ―ルズFRB副議長、講演(ブリュッセル)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.3万件、予想
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 165.0万人)
22:45 (米) 9月 サービス業PMI改定値 (速報 50.9)
22:45 (米) 9月 総合PMI改定値 (速報 51.0)
23:00 (米) 8月 製造業新規受注 前月比 (7月 1.4%、予想 -0.5%)
23:00 (米) 9月 ISM非製造業景況指数 (8月 56.4、予想 55.2)
25:10 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、パネル討論会
26:00 (米) カプラン・ダラス連銀総裁、講演

10/4(金)
休場 中国(国慶節)
10:30 (豪) 8月 小売売上高 前月比 (7月 -0.1%)
21:30 (米) 9月 雇用統計・非農業部門雇用者数 前月比 (8月 13.0万人、予想 14.0万人)
21:30 (米) 9月 雇用統計・失業率 (8月 3.7%、予想 3.7%)
21:30 (米) 9月 雇用統計・平均時給 前月比 (8月 0.4%、予想 0.3%)
21:30 (米) 9月 雇用統計・平均時給 前年同月比 (8月 3.2%、予想 3.2%)
21:30 (米) 8月 貿易収支 (7月 -540億ドル、予想 -549億ドル)
21:30 (米) ローゼングレン・ボストン連銀総裁、講演
23:25 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演
26:00 (米) カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、討論会参加
27:00 (米) パウエルFRB議長、金融政策再点検のためのイベントで開会挨拶

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