来週の為替相場見通し 『米中リスクと弾劾リスクが相場の重石。リスクオフ再来に要警戒』

ドル円は、一時106.97まで下げ幅を広げるも、一目均衡表雲(106.60-107.20)がサポートとなる形で、週央以降持ち直す展開となりました。

来週の為替相場見通し 『米中リスクと弾劾リスクが相場の重石。リスクオフ再来に要警戒』

米中リスクと弾劾リスクが相場の重石。リスクオフ再来に要警戒

今週のレビュー(9/23−9/27)

<ドル円相場>
今週のドル円相場は、@中国代表団が米農家視察を取り止めたことに伴う米中リスクの再燃や、Aドイツ・9月総合PMI速報値(結果49.1、予想51.5)のネガティブサプライズ(※約7年ぶり低水準)、B米・9月リッチモンド連銀製造業指数(結果▲9、予想1)及び、米・9月コンファレンスボード消費者感指数(結果125.1、予想133.5)の冴えない結果、Cトランプ米大統領による国連総会演説での中国批判、D米10年債利回りの急低下(※9/13に記録した1.908%から、9/24には一時1.628%まで急低下)、E米民主党議員によるトランプ米大統領の弾劾機運の高まり等を材料に、週前半にかけて、106.97(約2週間ぶり安値)まで下落しました。

しかし、急激に下げ過ぎた反動から反発に転じると、F米・8月新築住宅販売件数(結果71.3万件、予想66.0万件)の良好な結果や、Gトランプ米大統領の「中国との通商合意は予想より早くなるかもしれない」との見解、H冴えない米5年債入札を受けた米長期金利の反転上昇、I中国の王毅外相による「中国はよりたくさんの米国製品を購入可能」との発言が支援材料となり、週末にかけて、約1週間ぶり高値108.18まで上昇しました。

もっとも、108円台前半では戻り売り意欲も根強く、伸び悩むと、一部通信社による「トランプ米政権が米証券取引所に上場する中国株の廃止を検討している」「中国に流れるポートフォリオ資金を抑制する目的で米国の対中投資を制限するための方策も検討している」との報道が重石となり、引けにかけてドル円は急反落。結局107.80台まで押し戻されての越週となっております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場は、週初1.1016で寄り付いた後、@ドイツの9月総合PMI(結果49.1、予想51.5)が約7年ぶり低水準に落ち込んだことや、A米中協議の進展期待を背景としたドル高圧力が高まったこと、Bタカ派のラウテンシュレーガーECB専務理事が理由を明示せず突然辞任を表明したこと(=タカ派勢力の弱体化懸念)、CWTO(世界貿易機関)が米国のEU製品80億ドル相当への関税賦課を容認したこと、DレーンECB理事による「必要となれば金利を更に引き下げる余地がある」とのハト派的な発言、Eドイツ経済研究所(DIW)による「ドイツ経済の第3四半期のGDPは前期比0.2%減で恐らく景気後退に陥った」とのネガティブな予測、F英国情勢の不安定化が重石となり、週末にかけては、2017年5月以来、約2年4ヶ月ぶり安値1.0905まで急落しました。もっとも、心理的節目1.09割れが阻まれると、週末を控えたポジション調整が強まり、結局1.0940台まで反発しての越週となっております。

来週の見通し(9/30−10/4)

<ドル円相場>
ドル円は、一時106.97まで下げ幅を広げるも、一目均衡表雲(106.60-107.20)がサポートとなる形で、週央以降持ち直す展開となりました。この間、@ボリンジャーミッドバンドや、A90日移動平均線、B一目均衡表転換線を突破するなど、テクニカル的に見て、「下値の堅さ」が強く意識されます。

一方、ファンダメンタルズ的に見れば、@トランプ米大統領を巡る弾劾機運が高まりや、A世界経済の減速懸念、B米中を巡る先行き不透明感(楽観報道と悲観報道が入り混じる不安定な状況)、C中東を巡る地政学的リスク、D英国の合意なき離脱リスク、E日米金融政策格差(追加利下げが織り込まれる米国と、副作用を警戒して追加緩和に二の足を踏む日銀との金融政策の方向性の違い)など、ドル売り・円買いに繋がり易い材料が残っています。事実、週末にかけては、「トランプ米政権が米証券取引所に上場する中国株の廃止を検討している」「中国に流れるポートフォリオ資金を抑制する目的で米国の対中投資を制限するための方策も検討している」との報道を受けて、「楽観ムード」から「悲観ムード」にセンチメントが急激に変化しました。10/10ー10/11に開催される日米閣僚級通商協議の結果を見極めるまでは、各種報道に振らされるボラタイルな展開が続くと予想されます。

来週は、米中通商協議を巡るヘッドラインや、トランプ米大統領・弾劾に絡む続報、米主要経済指標(米ISM製造業景況指数や米雇用統計など)の結果に注目が集まります。余程強いドル買い(及び円売り)材料が出てい来ない限り、ドル円の上値余地は乏しく、米中を巡る不透明感や、トランプ米大統領・弾劾リスクを背景に、ドル安・円高方向への揺り戻しが警戒されます。当方では、「ドル円相場の反落」をメインシナリオとして予想いたします。(ドル円の予想レンジ:106.00ー109.00)

<ユーロドル相場>
ユーロドルは、ボリンジャーミッドバンドに続伸を阻まれると、週末にかけて、約2年4ヶ月ぶり安値圏へと下落しました。強い売りシグナルを表す三役逆転や、ボリンジャーバンド下限に沿って下落を続けるバンドウォークが発生するなど、テクニカル的に見て、「地合いの弱さ」が確認されます。

ファンダメンタルズ的に見ても、@米中貿易摩擦が欧米貿易摩擦に波及するリスクや、Aユーロ圏経済及び物価の先行き不透明感(※OECDは9/19にユーロ圏の2019年及び2020年の経済成長率見通しを下方修正、9/26にはドイツ経済研究所もドイツの景気後退リスクに言及)、Bイタリアの財政不安、C中東やトルコを巡る地政学的リスク、D英国の合意なき離脱リスクの高まりなど、不安材料は山積みです。E更に今週は、レーンECB理事より「追加利下げを示唆する発言」も見られるなど、「欧州経済の先行き不安→ECBによる追加緩和観測(マイナス金利の深掘りや資産買い入れ規模の拡大期待)→欧州債利回り低下→ユーロ売り」の流れが強まりつつあります。

来週は、独・9月消費者物価指数や、ユーロ圏・9月消費者物価指数に注目が集まります。物価の伸び悩みが示されれば、欧州経済を巡る悲観的な見方が一段と強まり、ファンダメンタルズ主導でユーロ売りが活発化する展開も想定されます。当方では、心理的節目1.09ちょうどを割り込み、ユーロ安・ドル高基調が一段と強まる展開をメインシナリオとして予想いたします。(ユーロドルの予想レンジ:1.0800−1.1000)

米中リスクと弾劾リスクが相場の重石。リスクオフ再来に要警戒

ドル円日足

オーダー/ポジション状況

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