南ア中銀は政策金利を据え置くも上値は重い。市場の関心は米中問題へ回帰か
今週のレビュー(9/16−9/20)
今週の南アフリカランド・円(ZARJPY)相場は、週初7.382円で寄り付いた後、週央にかけて、7.419円まで上昇しました。しかし、@ややタカ派寄りとなったFOMC(米連邦公開市場委員会)を受けて、南アフリカランドが対ドルで弱含んだことや、A日銀による追加緩和見送りを受けて失望的な円買いが強まったこと、B南アフリカ準備銀行(SARB)が政策金利を6.5%に据え置きつつも、2020年及び2021年の経済成長率見通し、2019年のインフレ見通しを共に引き下げたことで、追加利下げ観測が高まったこと、C香港の英字新聞サウスチャイナ・モーニング・ポストが、「貿易協定が迅速に合意されない場合、トランプ米大統領には中国との貿易摩擦を激化させる用意がある」と報じたこと、
D来週予定されていた「中国代表団による米農家視察がキャンセルされた」こと等が重石となり、週末にかけては、約2週間ぶり安値となる7.184円まで下落しました。引けにかけて小反発するも上値は重く、結局7.206円での越週となっております。尚、9/18に発表された南ア・8月消費者物価指数(結果4.3%、予想4.2%)、南ア・7月小売売上高(結果2.0%、予想2.6%)は共に冴えない結果となりましたが、FOMCやBOJ、SARB等金融政策イベント前だったこともあり、市場の反応は限られたものに留まりました。
来週の見通し(9/23−9/27)
南アフリカランド・円相場は、先週までの堅調推移から一変し、週後半にかけて反落しました。@一目均衡表「雲上限」や「転換線」を下抜けしたこと、A強い買いシグナルを表す「三役好転」が消滅したこと、B強い上昇トレンドを示唆するバンドウォークが終焉したこと等を踏まえれば、テクニカル的に見て「下落リスク」が高まりつつあると判断できます。7.182円付近に位置するボリンジャーミッドバンドが目先のサポートとして機能しそうですが、同水準をクリアに割り込めば、心理的節目7.000円の下抜けも視野に入ります。
ファンダメンタルズ的に見ても、@南アフリカ経済を巡る景気減速懸念や、A国営電力会社エスコムの負債問題、B米中対立激化を通じた南アフリカ最大の貿易相手国「中国」の景気下触れ懸念、C大手格付け機関の中で唯一投資適格級を付与しているムーディーズによる格下げリスクなど、不安材料は山積みです。9月1週目から始まったリスク選好的なムードは、ECBやFOMC、BOJといった重要イベントをこなしたことで勢いに陰りが見えつつあります。ここからは、米中貿易摩擦や英合意なき離脱リスクなど、一旦先送りされていた懸念材料に市場の関心が戻り、マーケットの地合いは徐々にリスク回避色を帯び始めると予想されます。
以上の通り、南アフリカランド・円相場は、テクニカル的にもファンダメンタルズ的にも続落リスクが警戒されます。9/26に発表される南ア・8月生産者物価指数や、米国経済指標の結果、米中貿易摩擦を巡るヘッドラインを睨みながらも、南アフリカランドの続落をメインシナリオとして予想いたします。
来週の予想レンジ ZARJPY 7.000ー7.400
南アランド円日足
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