米中協議への失望広がる、ドル安再燃に注意(週報9月第4週)

先週のドル/円は、終わってみれば「行って来い」。一時ドル高が進行、108円半ばまで値を上げ直近の戻り高値を更新するも、勢いは続かなかった。

米中協議への失望広がる、ドル安再燃に注意(週報9月第4週)

米中協議への失望広がる、ドル安再燃に注意

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円は、終わってみれば「行って来い」。一時ドル高が進行、108円半ばまで値を上げ直近の戻り高値を更新するも、勢いは続かなかった。

前週末には、「サウジの石油施設攻撃された」と報じられたことに続き、同国のアブドルアジズ・エネルギー相が、サウジ石油日量生産能力の半分に当たる約570万バレルの生産が停止したと発表。これは、世界の日量生産の約5%に相当する大被害だった。

そうした状況下、週明けの為替市場は取引が始まったが、リスク回避の動きもあり、開始前から円買い優勢。ドル/円相場は上方向にギャップを開ける107円半ばで寄り付いている。しかし、オープン後は一転してドル強含み。上方向のギャップを埋め108円台を回復しただけでなく、週の半ばには108円半ばまで上昇し、直近の戻り高値を更新する局面も観測されていた。しかし、そんなドル高傾向は維持できず、週末にかけて反落。再び108円を割り込み、週の寄り付きレベルである107円半ばまで下落、週末NYはそのままドルの週間を通した安値圏で取引を終え、越週している。
なお、先週は為替市場が全般荒れ模様だったが、なかでも目についたのは豪ドルやNZドルといったオセアニア通貨の弱さ。ともに対円やドルでおおむね右肩下がり。週間を通し、冴えない値動きに終始している。

一方、週間を通した材料は、「サウジ情勢」と「日米貿易交渉」、そして「FOMC」について。
前者については、前述した「サウジの石油施設攻撃」に関する報道などが相次ぎ、思惑を呼ぶ。週明けの取引でWTI原油先物価格も、前週末に55ドル程度だったものが、いきなりの63ドル台をつけるなど、大荒れの値動きとなった。その後も、トランプ米大統領が「イランの関与は間違いないようだ」と発言したことで物議を醸すも、サウジの原油生産が予想よりも早く通常状態に戻る見通しとなったことで、原油価格、為替市場ともに影響は徐々に萎んでいる。

対して「日米貿易交渉」は、ついに「日米による暫定的合意」が実現した。それを受けトランプ米大統領は議会に貿易協定に署名する意向を伝達、「25日に両国首脳が会談したしたうえで署名する見通し」となっている。また、それと絡め麻生財務相からは「日米貿易協定交渉に為替条項は入らず」との発言も聞かれ思惑を呼んでいた。
最後、FOMCは週間を通して注視されるなか、事前予想どおり「25bpの利下げ」が発表されたにとどまる。しかし、そののちパウエルFRB議長が「今後の景気拡大の維持には穏やかな政策変更で十分との認識」などと、予想よりタカ派的なコメントを発したことが市場のサプライズ要因に。

<< 今週の見通し >>

先週ドルは一時108円半ばまで上昇。テクニカルにも、上方向のテクニカルポイントを次々上抜けたことで続伸が期待されたものの、週末にかけて失速すると、結局「行って来い」となった。当初はドル高方向にバイアスが掛かると目されていた当面の見通しについても、足もとはニュートラルに戻っている感を否めない。と言うより、むしろ先週末NYの安値レベルである107円半ばをしっかりと割り込めば、下値リスクが再燃する可能性も否定出来ないだろう。

材料的に見た場合、継続案件として「北朝鮮情勢」や「イラン情勢」、「サウジ情勢」、「英国情勢」、「米貿易問題」、「米金融政策」など注目要因が目白押しの状況。そのなかでも「イラン情勢」や「サウジ情勢」がとくに注視されているほか、一時やや下火になった感のあった「米中貿易問題」が改めて脚光を浴びているようだ。両国当局者などが煽ったこともあり、マーケットでは米中協議で進展期待が事前には非常に強かったが、この週末にトランプ氏が「米中協議、部分合意ではなく完全な合意を望む」と述べるなど、先週末に掛けて実施されていた次官級協議に不満を示したとされている。やはり、合意は簡単でなく、今週も引き続き潜在的なドルの上値抑制要因となるかもしれない。

テクニカルに見た場合、値動きそのものは観測されていたものの、その多くがレンジ内。したがって、実際の値幅はというと、過去1週間以上も107.40-108.50円といったわずか1.1円レンジにとどまっている。明確な方向性は乏しいと言わざるを得ない。
先週末に掛けて、その下限割れを再びうかがう様相を呈していることは気掛かりだが、目先は107-108円台でのレンジ取引を予想する声も少なくないようだ。

一方、材料的に見た場合、8月のシカゴ連銀全米活動指数や9月の消費者信頼感指数など発表される米経済指標にまずは要注意。たとえば、この週末にクラリダFRB副議長から「リスクの存在を踏まえると、FRBは毎回のFOMCでその都度、金利の道筋を決定していく」との発言が聞かれており、改めて米指標に対する関心が高まりつつある感も。
そのほか、週間を通して連日のように実施される米通貨当局者による講演や、「日米貿易交渉」合意の正式署名が見込まれる日米首脳会談などにも注意を払いたい。

米中協議への失望広がる、ドル安再燃に注意

一方、材料的に見た場合、8月のシカゴ連銀全米活動指数や9月の消費者信頼感指数など発表される米経済指標にまずは要注意。たとえば、この週末にクラリダFRB副議長から「リスクの存在を踏まえると、FRBは毎回のFOMCでその都度、金利の道筋を決定していく」との発言が聞かれており、改めて米指標に対する関心が高まりつつある感も。
そのほか、週間を通して連日のように実施される米通貨当局者による講演や、「日米貿易交渉」合意の正式署名が見込まれる日米首脳会談などにも注意を払いたい。

そんな今週のドル/円予想レンジは、106.20-108.70円。ドル高・円安については、先週高値108円半ばの攻防にまずは注目。上抜ければ、移動平均の200日線もほど近い8月高値109.32円が再び視界内に。
対するドル安・円高方向は、先週末に割り込めなかった週初に示現した安値107.44円が最初のサポート。割り込めば107円や106.60円レベルなどがターゲットに。(了)

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