原油反発がトルコリラの重石に。米土首脳会談次第で一段安の恐れも
今週のレビュー(9/16−9/20)
今週のトルコリラ・円(TRYJPY)相場は、@サウジアラビア東部の国営石油会社サウジアラムコの石油施設2カ所が攻撃されたことに端を発した地政学的リスクの高まりや、Aそれに伴う原油価格の高騰(※WTI原油先物は54.87ドル→約4ヶ月ぶり高値となる63.33ドルまで高騰。一方、原油価格と逆相関性の強いトルコリラは下押し)を背景に、週明け早々に18.743円まで急落しました。しかし、一目均衡表転換線に続落を阻まれると、Bサウジアラビアのアブドルアジズ・エネルギー相による「9月末には日量1100万バレルの生産能力を回復する」との発言を受けた原油価格の反落(63.33ドル→57.70ドル)が支援材料となり、週央にかけては、8/19以来、約1ヵ月ぶり高値となる19.141円まで上昇しました。もっとも、Cややタカ派的なFOMC(米連邦公開市場委員会)を受けた対ドルでのトルコリラ売り圧力や、D日銀による追加緩和見送りを受けた失望的な円買い、E米中協議進展期待の後退に伴うリスク回避ムードの再燃が重石となると、週末にかけて、週間安値18.718円を記録し、そのまま安値圏18.726円での越週となっております。
来週の見通し(9/23−9/27)
トルコリラ・円相場は、9月に入って以降、@一目均衡表転換線や、Aボリンジャーミッドバンド、B90日移動平均線、C8/13安値(※5/9を起点とする上昇トレンドが終了し、8/20以降の短期下落トレンド入りする際に意識されていたダウ理論の水平ライン)、D一目均衡表基準線、E一目均衡表雲下限など、主要テクニカルポイントを次々に突破しました。しかし、今週は19.15近辺に位置する一目均衡表雲上限に続伸を阻まれる形で反落に転じ、その後は、一目均衡表雲下限や、一目均衡表転換線を下抜ける冴えない展開となりました。テクニカル的にみて、短期上昇トレンドの終焉が強く意識されます。
ファンダメンルズ的に見ても、@ロシア製ミサイルS400を巡る米国及びNATO同盟国との関係悪化懸念や、Aシリア北部を巡る地政学的リスク、B外貨準備急減を背景としたリラ安防衛能力への不信感、Cトルコ経済を巡る先行き不透明感、Dエルドアン大統領による中銀への介入懸念(=トルコ中銀の独立性を巡る疑念)、Eエルドアン大統領の求心力低下など、不安材料は山積みです。特に来週は、米ニューヨークで開催される国連総会にて、エルドアン大統領とトランプ米大統領の首脳会談が予定されていることから、上記@(ロシア製ミサイルS400)に関連したヘッドラインに注意が必要でしょう。
以上の通り、トルコリラ・円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、反落リスクが警戒されます。ECBやFOMC、BOJなど一連の金融政策イベントを終えた材料出尽くし感もトルコリラの重石となりそうです。米土首脳会談におけるS400関連の続報や、米中通商協議に絡むヘッドラインを睨みながらも、来週はトルコリラの下落をメインシナリオとして予想いたします。
来週の予想レンジ TRYJPY 18.40ー19.10
トルコ円日足
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