豪州中銀議事要旨(2019年8月20日公表:理事会は8月6日開催分)
今回の議事要旨では、それ以前に行った2回の利下げ後に、追加緩和すべき新たな材料がでてきたら行うとして据え置き決定をしています。全般的な経済見通しについては下方修正していますので、この見通し以下となるGDPやインフレが予想される経済指標などが出たら、追加緩和に気を付けることになります。
(議事要旨)
(世界経済、国内経済などは以下を除き略:箇条書き)
・主要貿易相手国の成長を2019年と2020年は幾分、減速と予想する。この見通しは5月の金融政策以降に下方修正した。これは米中貿易・テクノロジー紛争の激化とそれに関連した投資に関する指標の弱さである。
・豪州では、過去3四半期の弱い成長後、6月末期GDPは堅調が予想されている。これは資源輸出の回復が寄与している。また一部の指標では消費は6月末期も弱いままである。これは小売が弱く、新車販売が下落した。公共需要や非鉱山関連企業投資が成長を下支えしている。
・先々の企業投資の指標を見ると、内容は混在している。企業の状況は1年前よりは幾分ポジティブさが少なくなった。とりわけ小売と輸送関連に見られる。全般的にはまだ平均以上である。
(金融政策に対して考慮する事柄)
委員達は貿易やテクノロジー紛争の激化を確認し、これが世界経済の見通しを下方修正するリスクが増大したことを確認した。それでも見通しの中央値は穏当な成長を目指している。貿易と取り巻く不確実性により、既に多くの経済で投資にマイナスの影響を与えている。この背景を元に、多くの国の経済でインフレ低下をもたらすため、中銀は必要とあれば一層の緩和に向かっている。実際、多くの中銀は今年利下げし、一層の緩和が幅広く予想されている。
全般的に、世界金融市場の状況は緩和的である。長期国債のイールドは一段と下落し、豪州含め多くの国で記録的に低い水準である。家計や企業の借入金利も歴史的に低い水準である。高い信用力のある借入者にとっては強い競争力があるにも関わらず、住宅借入の需要、とくに投資家層は低いままである。一方で、一部のタイプの借入者、とりわけ中小企業の借入にはタイトなままである。豪州ドルは最近、最も低い水準まで安くなった。
国内の成長は、2019年上半期が予想より低かった。先々みれば、徐々に強くなると予想され、2020年には2.75%、2021年には約3%を予想している。この見通しは、低金利、(最近の減税を含めて)家計収入のより高い伸び、豪ドル安、資源部門のポジティブな投資見通し、住宅市場の一部安定、高水準のインフレ投資を含めた要因により支えられている。
(雇用関係は略)
インフレ見通しは徐々に上昇し、2020年までに2%を少し下回る水準で、2021年には2%を少し上回る水準を予想している。
利用できる情報や中銀のシナリオを基に、委員達は低金利の更なる延長が豪州には必要であり、それが完全雇用に向けて持続的進展やインフレ目標値に向かうべく確固たる進展を達成することになる。過去2回の金融政策会合での緩和により、委員会は、金融政策の更なる変更を考慮する前に、世界経済や国内経済を査定することが適切であると判断した。委員達は、もし持続的成長を支えインフレ目標を達成するに必要な追加の証拠が出てくれば、一段の緩和を考えるだろう。
委員会はキャッシュレートを1.00%に据え置くことを決定した。
(以上)
(注)本文はあくまで英文の一部を訳したものですので、和訳はあくまで便宜的なものとしてご利用頂き、適宜、英語の原文をご参照して頂きます様お願いします。
豪ドル米ドルの相場は議事録公表前0.6760〜65米ドル前後でしたが、公表後は0.6780米ドル越えまで約20ピップス程度買われました。議事要旨の内容で、すぐに追加緩和を行う文言は見られず、軽いショートカバーを誘った模様です。
相場は豪ドル安トレンドが継続する中、現状はまだ0.6680〜0.6830米ドルのレンジ内で推移しており、豪ドル安からの調整が強まるのは0.6840米ドルを越えて終わることが必要です。一方でレンジ下限はダブルボトムですので、一度止まる可能性があります。
(2019年8月20日13時30分、1豪ドル=0.6782米ドル)
オーダー/ポジション状況
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