南アフリカ準備銀行理事会に注目。ハト派色が打ち出されればランド売り再開の可能性も
今週のレビュー(7/8−7/12)
今週の南アフリカランド・円(ZARJPY)相場は、週初7.635円で寄り付いた後、@全般的なリスク選好ムードの高まりや、A南アフリカ財務省による「中銀の独立性を尊重する」との発言(※先週5日の発言であるが、エルドアン大統領による中銀総裁更迭と対比される形で改めて材料視)、Bラマポーザ大統領によるクガニャゴ南アフリカ準備銀行(SARB)総裁の再任、C財政難に陥っている国営電力会社エスコムに対して、最大の債権者である南ア公共投資会社(PIC)が支援策を提案したとの報道等が支援材料となり、週後半にかけては、約2カ月半ぶり高値となる7.806円まで急伸しました。もっとも、同水準では戻り売り意欲も根強く、利食い売りに押されると、5月製造業生産高(結果▲1.5%、予想▲0.6%)の予想比下振れや、トランプ米大統領による「中国にはがっかり」とのツイートを受けて南アフリカの最大貿易相手国である中国の景気先行き懸念が再燃したこと等が重石となり、結局7.715円まで押し下げられての越週となっております。
来週の見通し(7/15−7/19)
南アフリカランド・円相場は、1/3安値と3/28安値を結んだサポートラインの下抜けを契機に下げ足を速め、6/7には、一時9ヶ月ぶり安値となる7.148円まで急落しました。しかし、その後は、41営業日ぶりにボリンジャー・ミッドバンドを上抜けした他、一目均衡表転換線及び基準線、一目均衡表雲上限や90日移動平均線の突破に成功するなど、テクニカル的に見て、「下落」から「中立」へのトレンド転換が意識されます。
とはいえ、@南アフリカにおける景気後退リスク(リセッション入り)の高まりや、A国営電力会社エスコムを巡る負債問題、B政府による中銀干渉を受けた南アフリカ中銀(SARB)の独立性に対する疑念、CSARBの利下げ観測、D米中貿易摩擦の先行き不透明感を背景とした南アフリカ最大の貿易相手国「中国」の景気下触れ懸念など、ファンダメンタルズ的な不安要素は山積みです。今週は南ア公共投資会社(PIC)によるエスコム支援策の提案や、ラマポーザ大統領によるクガニャゴ南アフリカ準備銀行(SARB)総裁再任を受けて、上記AとBのリスクが一時的に後退しましたが、トランプ米大統領のツイートを契機に上記Dのリスクが再燃するなど、まだまだ油断は禁物です。
また、欧米など主要先進国の金融政策ハト派化を受けて、相対的に金利の高い同国への資金流入が南アフリカランドを下支えする動きが続いてきましたが、来週(7/18)の南アフリカ準備銀行(SARB)理事会で連続利下げの方向性が示されれば(※7/18理事会での25bpの利下げは織り込み済み。それを超える利下げ幅や連続利下げの方向性が示唆されればネガティブサプライズでランド売り再開に波及する恐れ)、金利差に着目した南アフリカランド買いの優位性は徐々に薄れていくと考えられます。来週は、南アフリカ準備銀行(SARB)理事会の結果を睨みつつも、南アフリカランド・円相場の下落リスクに警戒が必要でしょう。(来週の予想レンジ ZARJPY 7.450ー7.950)
南アランド円日足
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