レンジ内で米金融政策にらみが続く可能性も(週報7月第3週)

先週のドル/円は、ドルが冴えない。週のザラ場ベースでは、一時109円近くまで上昇し戻り高値を更新したが続かなかった。

レンジ内で米金融政策にらみが続く可能性も(週報7月第3週)

レンジ内で米金融政策にらみが続く可能性も

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円は、ドルが冴えない。週のザラ場ベースでは、一時109円近くまで上昇し戻り高値を更新したが続かなかった。

前週末には、「IAEA、イラン核合意で10日に緊急理事会開催」などイラン情勢をめぐる幾つかのニュースが取り沙汰されたうえ、貿易ではなく南シナ海でのミサイル発射をバックにした米中対立が指摘されるなか、週明けの為替市場が寄り付いた。
ただ、それら要因の影響は結果として限定的。ドル/円は前週末のNYクローズと大差ない108.35-40円で寄り付いたのち、ドルはじり高に推移すると、強い抵抗と見られた6月高値108.80円を突破し、108.99円を示現している。しかし、高値示現後は一転して冴えない値動きとなり、107円台後半まで1円強の下落。その後も、ドルは上値の重い状況を続け、週末NYは107.90円前後、週間を通したドル最安値圏で越週となった。

一方、週間を通して注目された材料は、「米金融政策」について。
5日金曜日に発表された米雇用統計は予想以上の好数字、ジティブサプライズ。それに対して、米NEC委員長から「直近の雇用統計は堅調だったものの、金融当局は政策金利を引き下げるべき」といった火消し発言が聞かれたものの、効果は限定的で市場はむしろドル高が進行する展開に。しかし、半期に一度の議会証言で、パウエルFRB議長が「6月FOMC以降の不透明感、引き続き見通し曇らす」といった弱気発言。さらに、6月のFOMC議事録要旨が「景気の重しが継続すれば近いうちの利下げが正当化される」−−と追い打ちをかけたことで、流れが一変した。週末にかけては、ハシゴを外されたドル売り・円買いがかさんでいる。

そのほか単発モノとして、英紙が報じた「駐米英大使が、トランプ大統領は『無能』と酷評した」との報道が米英の対立騒動に発展するなど物議を醸したほか、幾つかのイラン情勢、なかでも「イランがウラン濃縮で核合意上限を超過した」とするニュースも市場で話題となっていた。また、「米中閣僚が9日に電話協議、貿易交渉を再開した」との報道も、再び米貿易協議への関心を集め始めていたようだ。

<< 今週の見通し >>

先週は週のザラ場ベースで6月高値108.80円を上抜け、ドル高機運が一時高まるも結果続かず。週末にかけては107円後半まで押し戻される展開となった。逆に、ドルの下値不安がやや高まってきたと言えるかもしれない。108円台を中心とした1円程度のボックス(107.80-108.80円)は6月初旬から半ばにかけて一度揉み合ったことがあるうえ、6月末から先週末に至る値動きも大きな意味ではレンジ内(107.50-109.00円)。つまり、足もとはなかなか居心地の良いレベルともいえる状況下、まずはどちらに抜けていくのか、その方向性が注視されている。

材料的に見た場合、「北朝鮮情勢」や「イラン情勢」のほか「米貿易問題」、「米金融政策」−−など継続案件は多いものの、そのなかでも今週もっとも注視されそうなのは「米金融政策」について。週間を通してなかなか重要な米経済指標の発表が続くうえ、米地区連銀総裁など通貨当局者の発言機会も多い。前述したように、一時期遠退いていた「7月の米利下げ観測」は復活した感があるものの、問題のひとつは0.25%なのか0.5%となるのか下げ幅だ。また、7月以降についての動静を見極めたいとの向きも多く、指標内容や発言、さらに本格化する米決算発表などに一喜一憂する公算が大きい。

テクニカルに見た場合、先週にレンジの上下とも試したものの、ともに抜け切れなかった感。とは言え、週末の動きを見ると若干下方向のバイアスが強いのかもしれない。過去半月余りのレンジ下限にもあたる107円半ばは、フィボナッチの観点から見ても重要なテクニカルポイント。しっかり割り込むようだと、下げが加速する危険性も取り沙汰されていた。対するドルの抵抗は、先週記録した108.99円となる。

一方、材料的に見た場合、NY連銀製造業景況指数やフィラデルフィア連銀景況指数など、最新7月分についても幾つかの米経済指標が発表される予定となっており、市場の注目度は高い。また、NY連銀総裁による講演をはじめ、通貨当局者の発言機会も週間を通して多く、そちらも要注意だ。
さらには本格化する米企業決算発表、17-18日に実施されるG7財務相・中銀総裁会議の行方、21日に予定されている日本の参院選−−なども相場の波乱要因か。

そんな今週のドル/円予想レンジは、106.70-108.90円。ドル高・円安については、週末にかけて109円を割り込んでくる日足・一目均衡表の先行帯の雲の下限をめぐる攻防にまずは注視。日足が超えることが果たして出来るのだろうか。そのほか、先週高値の108.99円なども上値メドとして意識されている。
対するドル安・円高方向は、過去半月余りのレンジ下限である107円半ばが最初のサポートで、割り込むようだと107円割れも。6月安値106.78円がターゲットに。(了)

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