来週の為替相場見通し 「米中首脳会談 決裂にせよ合意にせよ週明けボラティリティ拡大は避けられない状況」

今週後半にかけてのドル高・円安を受けて、強い下落トレンドを示唆するバンドウォークは終了しましたが、

来週の為替相場見通し 「米中首脳会談 決裂にせよ合意にせよ週明けボラティリティ拡大は避けられない状況」

米中首脳会談 決裂にせよ合意にせよ週明けボラティリティ拡大は避けられない状況

今週のレビュー(6/24−6/28)

今週のドル円相場は、週初107.41で寄り付いた後、@米6月ダラス連銀製造業活動指数(結果▲12.1、予想1.0)の冴えない結果や、A米国債利回りの急低下、Bトランプ米大統領によるイランへの追加制裁を科す大統領令への署名を受けた地政学的リスクの高まり、C中国によるFedExのブラックリスト入り検討との報道を背景に、6/25アジア時間にかけて、約6ヶ月ぶり安値となる106.78まで急落しました。しかし、Dセントルイス連銀ブラード総裁による「現状を踏まえると50bpの利下げは行き過ぎと感じる」「7月の50bpの利下げが必要な状況にあるとは考えていない」との発言や、EパウエルFRB議長による「FRBは政治的な圧力から隔絶している」との発言、F設備投資の先行指標となる航空機を除く非国防資本財受注(結果0.4%、予想0.1%)の良好な結果、Gムニューシン米財務長官による「中国との交渉が暗礁に乗り上げる前は妥結まで90%のところまで来ていた、合意達成への道筋はある」との米中交渉に前向きな発言、

H香港紙(サウスチャイナ・モーニングポスト)による「米国と中国の貿易戦争は一時休戦」との報道が好感されると、6/27アジア時間にかけて、約1週間ぶり高値となる108.16まで急伸しました。もっとも、108円台では戻り売り意欲も根強く、Iクドロー国家経済会議(NEC)委員長による「米国は中国への追加関税を進める可能性がある」との発言や、米政府高官による「ファーウェイに対する制限条件を解除する可能性は少ない」との発言が重石となると再び反落。結局107.89での越週となっております。尚、週末にかけては、米FRBによる米銀18行に対するストレステストの承認(資本計画の承認)が報じられましたが、G20を前にした手控えムードから、反応は限られたものに留まりました。

今週のユーロドル相場は、週初1.1361で寄り付いた後、@ドイツ6月Ifo景況感指数(結果97.4、予想97.2)の好結果や、A冴えない米経済指標を受けたドル売りを背景に、6/25アジア時間にかけて、約3ヶ月ぶり高値となる1.1414まで上昇しました。しかし、Bセントルイス連銀ブラード総裁による7月の大幅利下げに対する市場の期待を打ち消す発言や、CパウエルFRB議長によるトランプ米大統領の圧力を牽制する発言が報じられると、対主要通貨でドル買いが強まり、同日NY時間には、一時1.1344まで急落しました。その後は、G20を前にした手控えムードから方向感を見出しづらい時間帯が継続し、結局1.1370での越週となっております。尚、注目されたドイツ6月消費者物価指数(結果1.6%、予想1.4%)は市場予想を上回る伸びを示しましたが、市場の反応は限定的となりました。

来週の見通し(7/1−7/5)

ドル円相場は、@ダブルトップからの下放れ、A強い売りシグナルを表す一目均衡表・三役逆転、B45営業日連続でのボリンジャーバンドのミッドバンド割れなど、テクニカル的に見て「下落リスク」が強く意識されます。今週後半にかけてのドル高・円安を受けて、強い下落トレンドを示唆するバンドウォークは終了しましたが、一目均衡表転換線(107.73)やボリンジャー・ミッドバンド(108.07)、21日移動平均線(108.08)、一目均衡表基準線(108.36)付近では戻り売り意欲も根強く、108円台での定着が阻まれる上値の重い展開が続いております。また、世界経済の減速懸念や英国情勢の不安定化、イタリア財政悪化問題、米独関係悪化懸念、イランを巡る地政学的リスク、日本とその他各国との金融政策格差の縮小(ハト派化する世界の主要中銀と、手札に乏しい日銀)など、ファンダメンタルズ的な弱さもドル円の上値を抑制する一因となっております。7/5に予定されている米6月雇用統計が前回に続き冴えない結果となった場合、米7月利下げ観測の高進→米長期金利低下→ドル売りの波及経路でドル安・円高が加速する可能性もあり、注意が必要です。

尚、本日(29日)日本時間午前11:30から予定されている米中首脳会談が決裂した場合、米国側による対中関税第4弾の発動に加えて、中国側による報復措置が見込まれることから、為替市場では、「リスク回避の円買い」のみならず、7月の予防的利下げを織り込む形で「ドル売り」が進むと見られ、週明けのドル円相場は、窓を開けての「急落」が警戒されます。一方、合意に至った場合や、米中通商協議の継続が確認された場合には、米中貿易摩擦を巡る警戒感が一時的に和らぐと見られることから、週明けのドル円相場はリスク回避ムードの後退を背景にドル買い・円売りが進むと考えられます。いずれにせよ、本日の米中首脳会談の結果が週明けのドル円相場に及ぼす影響は大きく、週明け早々のボラティリティ拡大に注意が必要でしょう。(予想レンジ:105.00ー109.00 )

ユーロドル相場は、200日移動平均線(1.1343)にサポートされる展開が続いております。今週も何度か下値をトライしましたが、同水準を割り込むには至りませんでした。1.13台の下には、一目均衡表転換線(1.1298)や、ボリンジャーバンドのミッドバンド(1.1296)、一目均衡表雲上限(1.1265)、一目均衡表基準線(1.1265)、90日移動平均線(1.1257)が並ぶなど、テクニカル的にみて「下値」は堅いと言えそうです。とはいえ、@ECBによる根強い追加緩和観測や、A米欧貿易摩擦を巡る警戒感、B米独関係の悪化懸念、Cユーロ圏経済及び物価の先行き不透明感、Dイタリアの財政悪化問題、E英国を巡るハードブレグジットの懸念など、ファンダメンタルズな不安材料を考慮すれば、ユーロドルの上値余地は乏しいと予想されます。

7/1に予定されているユーロ圏6月製造業PMIや、7/2のユーロ圏5月生産者物価指数、7/3のユーロ圏6月非製造業PMI指数、7/4のユーロ圏5月小売売上高など一連の欧州経済指標が冴えない結果となれば、「ユーロ圏経済の先行き不安→ECBによる追加緩和観測高進→ユーロ売り」の波及経路で、ユーロドルが再び下落に転じるシナリオも想定されます。また、本日11時半から予定されている米中首脳会談が物別れに終わった場合には、リスク回避ムードの高まりを通じて、ユーロ円売り→ユーロドル連れ安の展開も想定される為、注意が必要です。来週のユーロドル相場は上値の重い展開を予想いたします。(ユーロドルの予想レンジ:1.1250−1.1450)

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ドル円日足

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