<< 東京市場の動き >>
28日の東京市場は、107円後半で一進一退。G20サミットに絡んだ二国間協議実施など材料は少なくなかったが、市場の反応はいまひとつだった。
ドル円は107.75-80円で寄り付いたものの、基本はレンジ取引。107.55-85円といった30ポイント弱のボックス相場で明確な方向性はうかがえず。市場では午前8時半から開始された日米首脳会談を注視している向きが多く、終了を前後して公表される両首脳のコメントなどが期待されたものの、終了後も結果として大きな影響はみられなかった。16時時点では寄り付きに近い107.70円前後で推移、欧米時間を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは、再び「米貿易問題」について。
昨日の東京時間に、香港紙が「米中、貿易問題で暫定的な停戦合意」と指摘するなど、市場では楽観論も台頭し始めていたが、そののち中国外務省は「暫定的な貿易合意をめぐる報道は承知せず」と冷や水を浴びせている。その後は米NEC委員長「米中通商協議は前提条件を設定せず」、「米当局者、新たな対中関税発動は首脳会談の結果次第」といった報道も。
それに対し、米欧は米農務次官が「農産品含まれなければEUと通商合意はない」、日米については首脳会談後に西村官房副長官から「トランプ氏から為替については言及一切なかった」、「両首脳、早期の成果達成で一致」との発言が聞かれている。
そのほか単発モノとして、米紙WSJ「中国、米にファーウェイの制裁解除を要求へ」、北メディア「文韓国大統領の外遊時発言を批判」、米上院、「日本は安保で『多大な貢献』」、安倍首相「デジタル経済ルールづくりで大阪トラック開始を宣言」、人民日報「習主席、一段の市場開放と輸入拡大を表明」、米大統領「米中首脳会談は最低でも生産的」−−とする発言や報道が観測されている。
<< 欧米市場の見通し >>
106.78円で目先のボトムを打ったのち、一時108円台を回復していたドル高・円安の流れも続かず。ドル円は107円台で、落ち着きどころを探している。予定では、明日29日の午前中に米中首脳会談が実施される見込みであるため、以降、月曜日の早朝などは予断を許さないものの、短期的には次の材料にらみ。107円台を中心としたレンジ取引が続くとの見方が少なくないようだ。
材料的に見た場合、「北朝鮮」や「イラン情勢」のほか「米貿易問題」、「米利下げ観測」など継続案件は依然として多いが、喫緊の課題となると「イラク情勢」と「米貿易問題」になる。前者については、米国との関係性も注意を要するが、ロイターが報じた「イラン、核合意既定のウラン貯蔵限度を近々超過へ」の真偽なども気掛かり。それに対して後者は、前述したように米中合意を期待させるような報道がいくつか観測されているものの、フタを開けるまでどういった結末になるのか正直わからない。どちらに転んでもよいように、リスク管理だけはしっかり行っておきたいところだ。
テクニカルに見た場合、6月高値108.80円を起点とした下げ幅のフィボナッチ61.8%戻しを一時超え、さらなる戻りも期待されたが、結局そののち107円台へと押し戻された。本稿執筆時も107円台での推移となっている。短期的にはレンジの上下ともトライした感があり、目先は107円台を中心とした一進一退か。ただ、月曜日の早朝は、いきなりギャップを空けて寄り付く可能性なども取り沙汰されており、予断を許さない。
一方、材料的に見た場合、5月のPCEデフレーターや6月のシカゴ購買部協会景気指数など幾つかの米経済指標が発表される予定となっている。市場はG20サミットならびに、それに伴う二国間会議を注視しているものの、昨日発表された米GDP確報値などをはじめ、やや悪い内容となるものが少なくないだけに、今夜発表される米指標内容には一応の注意を払いたいところだ。
そんな本日欧米時間のドル円予想レンジは、107.20-108.10円。ドル高・円安方向は、107.85-90円に弱い抵抗が位置しており、抜ければ108円台回復も。108.16円の昨日高値がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、東京もドルが下げ止まった107.55-60円が最初のサポート。その下は20ポイントずつ、やはりサポートが位置している。いずれにしても、ドルは底堅いイメージで本日中の106円台突入は予想しにくい。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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