米中会談が決裂すれば、ランド急落の恐れも
今週のレビュー(6/24−6/28)
今週の南アフリカランド・円相場(ZARJPY)は、週初7.498円で寄り付いた後、「イランを巡る地政学的リスクの高まり→リスク回避の円買い」の経路で、翌6/25に、週間安値となる7.433円まで下落しました。しかし、南アフリカの5月卸売物価指数(結果6.4%、予想6.3%)が市場予想を上回ったことや、米中首脳会談に絡む楽観的な見通しを受けた円売りが支援材料となると、6/28には、週間高値となる7.669円まで反発しました。もっとも、同水準では上値も重く、一目均衡表雲下限(7.706円)をバックに戻り売りが強まると週末にかけて小反落。G20を前に手控えムードが広がる中、結局、7.662円での越週となっております。尚、習近平国家主席とラマポーザ大統領は6/28に会談を行い、「両国の相互信頼の深化」「一帯一路における共同建設」などが話し合われましたが、市場の反応は限定的となりました。
来週の見通し(7/1−7/5)
南アフリカランド・円相場は、1/3安値と3/28安値を結んだサポートラインのブレイクを契機に下げ足を速め、6/7には、一時9ヶ月ぶり安値となる7.148円まで急落しました。しかし、その後は、41営業日ぶりにボリンジャーバンドのミッドバンドを上抜けした他、一目均衡表転換線及び基準線の突破にも成功し、テクニカル的にみて、南アフリカランド・円相場の地合いは「弱気」から「中立」へ変化しつつあると判断できます。最後の関門となる一目均衡表「雲」下限・上限を突破できれば、「中立」から「強気」へのセンチメント転換も期待されます。特に来週は一目均衡表の雲が垂れ下がってくる為、同抵抗帯突破の可能性は日に日に高まってくると考えられます。
とはいえ、@南アフリカにおける景気後退懸念(リセッション入り)や、A国営電力会社エスコムを巡る負債問題、B政府による中銀への干渉を受けた南アフリカ中銀(SARB)の独立性に対する疑念、C根強い7/18の利下げ観測、Dラマポーザ大統領の政治献金問題、E米中貿易摩擦の激化を背景とした南アフリカの最大の貿易相手国「中国」の景気下触れ懸念など、ファンダメンタルズ的な不安要素を考慮すれば、南アフリカランドの一方向の上昇も見込みづらい状況です。7/3に予定されている南アフリカ6月SACCI景況感指数が冴えない結果となれば、7/18に予定されている南アフリカ準備(SARB)銀行理事会での「利下げ」が織り込まれる可能性もあります。
足元では、欧米など主要先進国の金融政策ハト派化を受けて、相対的に金利の高い南アフリカランドに資金流入する動きが見られていますが、7/18の理事会が近づくに連れて、SARBの利下げを見越した南アフリカランド売りが再開する可能性も想定されます。また、本日(29日)日本時間午前11:30から予定されている米中首脳会談が決裂した場合、米国側による対中関税第4弾の発動に加えて、中国側による報復措置が見込まれることから、週明けの為替市場では「リスク回避の円買い」が強まると共に、南アフリカの最大貿易相手国「中国」の景気減速懸念が「南アフリカランド売り」に波及するシナリオも想定されます。米中首脳会談の結果次第では、週明けの南アフリカランド・円相場が乱高下する可能性もある為、想定外の値幅拡大に注意が必要です。(来週の予想レンジ ZARJPY 7.000ー8.000)
ZARJPY日足
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