トランプ、エルドアンの首脳会談、物別れに終われば、週明けトルコリラ売り再開か
今週のレビュー(6/24−6/28)
今週のトルコリラ・円相場(TRYJPY)は、週初18.450円で寄り付いた後、イスタンブール市長選で最大野党・共和人民党(CHP)のイマモール氏が圧勝したことを好感する形で、一時18.825円まで急伸しました。しかし、政権与党・公正発展党(AKP)の大敗を通じてエルドアン大統領の求心力低下が嫌気されると、隣国イランと米国を巡る地政学的リスクの高まりも重石となる中、翌6/25には、18.324円まで急落しました。もっとも、同水準では下値も堅く、その後は、週末のG20を前に手控えムードが広がる中、トルコリラは狭いレンジ内で膠着。結局、18.627円での越週となっております。
来週の見通し(7/1−7/5)
トルコリラ・円相場を巡っては、@ロシアからの武器購入(S400)を巡る対米及びNATO同盟国との関係悪化懸念、A外貨準備急減を背景としたリラ安防衛能力への不信感、Bトルコ経済を巡る先行き不透明感、Cエルドアン大統領の圧力を背景としたトルコ中銀の利下げ観測、Dキプロスを巡るEUとの関係悪化懸念など、潜在的に抱えるトルコリラ売り圧力を、E政府・当局による為替介入や資本規制で下支えする構図が続いております。しかし、こうした政府・当局によるリラ安防衛策は短期的な効果はあれど、長期的な抑止力には繋がりづらく、一巡後は却ってリラ売り圧力を高める副作用がある点に留意が必要でしょう。
テクニカル的に見ると、トルコリラ・円相場は、一目均衡表雲下限を上抜けした他、一目均衡表転換線やボリンジャー・ミッドバンドの突破にも成功しました。テクニカル的にみて、「下落」から「横ばい」へのトレンド転換が意識されます。しかし、上述の通り、ファンダメンタルズ的な不安要素を考慮すれば、まだまだ油断は出来ません。足元では、欧米など主要先進国の金融政策ハト派化を受けて、高金利通貨であるトルコリラに資金流入する動きが見られていますが、エルドアン大統領による利下げ圧力は極めて強く、金利差に着目した資金流入は一時的なものに留まりそうです。また、本日(29日)日本時間午前11:30からの米中首脳会談、13:05からの米土首脳会談が物別れに終わった場合、週明けの為替市場では、リスク回避の円買いが強まると共に、トルコリラが大きく売り込まれる展開が予想されます。一方、合意となった場合には、その正反対の動きが想定されます。何れにせよ、来週のトルコリラ・円相場は、週明け早々の乱高下に注意が必要です。(来週の予想レンジ TRYJPY 17.75ー19.25)
トルコリラ円日足
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