FX今昔物語・ツール編
本日NYタイムのFOMC、明日昼過ぎの日銀金融政策決定会合とイベントが続きますが、先週金曜にマイナス金利適用拡大の話が出た後でもあり、円相場は日銀の結果待ちということになりそうです。
マーケットと直接関係が無くても興味を持ってもらえそうなテーマに「FX今昔」があるかなと思い、今回は第1回目としてFXで使うツールについて書いてみることにしました。
そもそもFX取引が個人に提供されたのは1998年10月、コンピューター業界ではWindows98が発売された直後のことです。当然PCのパワーも不十分で、金融機関でこそ専用チャートツールが既に普及していたものの、個人がPCで現在のようなチャートツールを使えるような時代ではありませんでした。
通常のチャートくらいは表示できても、値幅観測に使うフィボナッチ・リトレースメントの描画ツールなどは無かったわけです。更に遡るならば、そもそも金融機関でさえチャートツールが無かった時代もあった訳で、その頃のチャートは手描き(私がFXディーラーとしてディーリングルームに入ったのはまさに過渡期でした)、そしてチャート分析のための面白いツールも色々とあったのです。
次の写真はそうしたツールのひとつなのですが、なんだと思いますか?
Ehrlich Cycle Finder
これは「Ehrlich Cycle Finder」という右側が4等分、左側が8等分になっていて、伸縮する定規のようなツールです。サイクルファインダーという名前の通り、等間隔の日柄観測を行ったり、あるいは戻しの目安を付ける値幅観測を行ったりするのに便利なものでした。今でこそフィボナッチ・リトレースメントはどのFX業者のチャートツールでも備えていると思いますが、当時としてはこうした定規(?)を使って判断していたわけです。
8等分というとギャンの値幅観測が最初に思い浮かぶと思いますが、フィボナッチでもかなり近い数字が得られます。
8分の5 =62.5%(ほぼ61.8%)
8分の4 =50%
8分の3 =37.5%(ほぼ38.2%)
これを使って実際に印刷したチャート上でサイクルファインダーを使ってみると以下のようになります。
サイクルファインダーを使ってみる
赤丸を付けた高値と安値の間にサイクルファインダーを広げて8等分にします。青い矢印で示した半値戻しと青丸の角は当然一致しますし。緑の矢印で示した38.2%戻しと緑の丸の角もほぼ一致していることがわかります。この程度の誤差であれば、定規をさっと広げて、画面上で確認したり、印刷したチャート上で確認したりとなかなか便利なものでした。
FXを取引する環境も随分と良くなった半面、逆にじっくりとチャートとにらめっこをする人も減ってきたような感じはします。
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