ユーロドルもみあい継続 下振れ常に注意(週報2月4週)

先週のユーロは、週初に押して買い戻しが入ってからは1.1340レベルを中心としたもみあいを続け、ドル円と同じく相場としてはつまらない週になりました。

ユーロドルもみあい継続 下振れ常に注意(週報2月4週)

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロは、週初に押して買い戻しが入ってからは1.1340レベルを中心としたもみあいを続け、ドル円と同じく相場としてはつまらない週になりました。材料的にはブレグジットに関して、メイ首相がブリュッセル入りしたものの結論は先送りで、週末のEU大統領との会談でもこれまで同様、新たな進展は出ていません。

英国としてはバックストップ問題を修正したいものの、EU側はバックストップに関しては再協議に応じる姿勢を見せず、離脱延期交渉には応じるとしています。いっぽうで英国議会は離脱期日はそのまま3月29日としていることから、着実に時間のみが浪費されメイ首相は26日に予定されていた離脱協定案の採決を最大3月12日まで延期すると発言しました。

先週初までの段階ではEU側が多少は譲歩するような発言も出ていたのですが、ここに来てまた平行線となっている様子を見ると、メイ首相(英国側)があくまでも議会の決定事項を譲らないといったことで平行線になっているように思えますが、与党からの離党者も出てきている状況を考えると、今の状況ではハードブレグジットしか残された道が無いように思えます。

おそらく、最善の道はとりあえず離脱期限の延期のみを採決し、いったんそれを可決させた上で英国議会は再度バックストップ問題を議論し、その結果を踏まえてEUと英国との双方の譲歩で落としどころを探ることでしょう。もし、期限延期が否決された場合、時間的にも離脱期限までに手続きを終わらせることが困難と言われていますので、メイ首相が12日という日程を出してきたことは、そこがギリギリの期限なのだろうことはわかります。

そうは言っても残すところ2週間ですから、今週から来週にかけて進展が見られない時にはポンドを中心にユーロにも大きな売りが入るリスクがあります。明るさが見えてきた場合には短期的には買いも出るでしょうが、長期的にはポンド売りであることはこれまでにも書いてきた通りです。他にも今週は主要国の経済指標が連日発表されますが、上記の理由から予想よりも強かった場合でも上昇は限定的、悪い場合には素直に売られるという見方で良いと思います。

動きが見られないため、チャートも代わり映えしませんが、日足チャートをご覧ください。

今週の週間見通しと予想レンジ

日足チャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

前週までのチャートと同じラインのうち、重要と見ているラインのみ残し、さらに2月安値と先週高値のフィボナッチ・リトレースメントを追加しました。こちらもチャートは拡大表示です。

1月末高値(1.1514)と2月安値(1.1234)との半値戻し(1.1374)と先週高値1.1371はほぼ一致を見ていますので、2月安値と先週安値の半値押しを見ると1.1303となっています。つまり現状は、この1.1300レベルをサポートに先週高値圏から、1月末高値と2月安値との61.8%戻し(1.1407)水準をレジスタンスとしていることがわかります。キリもいいので、1.1300レベルをサポートに1.1400レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

今週のコラム

ドル円週報で週間レンジが50銭と言うのは過去20年間(1999年以降)で2番目に狭いレンジであることを書きましたが、ユーロドルも先週のレンジは95pipsと100pipsに満たず、ユーロとしては狭いレンジなのではないかと思われます。

ドル円で1999年基準としたのはユーロがスタートした1999年1月に合わせたということが大きいので、せっかくですからユーロでもどうなっているのかを調べてみましょう。


*週間レンジ(全1051週)
最小レンジ70pips
最大レンジ1291pips
平均レンジ252pips

やはり95pipsというのは平均レンジに比べるとかなり狭いレンジと言えます。ちなみに95pipsは週間レンジとしては15番目に狭く、100pips未満のレンジは18週ありました。また、1000pipsを超える週は2週のみで、最大レンジはこちらもリーマンショックの年、2008年の12月につけていました。

*1日レンジ(全5241日)
最小レンジ7pips
最大レンジ540pips
平均レンジ110pips

最小レンジがわずか7というのも驚きですが、最大レンジがドル円よりも小さいというのも意外な感じがします。平均レンジはこうして見ると、大きな違いはなく、ドルとしての1日の変動幅としてだいたい100pips(1円)前後というのが、ここ20年の典型的な姿ということが出来そうです。

こうして、改めてデータを集計してみると面白いですね。
チャートだけでなく加工できる時系列データとして持っていると便利なことも多いと感じます。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

2月25日(月)
19:00英中銀総裁会見
**:**英国議会離脱協定案採決は延期


2月26日(火)
16:00ドイツ3月GFK消費者信頼感
16:45フランス2月消費者信頼感
18:30アイルランド中銀総裁講演
19:00英中銀総裁議会証言
24:00パウエルFRB議長上院議会証言


2月27日(水)
**:**米朝首脳会談(〜28日)
19:00ユーロ圏2月消費者信頼感確報値

2月28日(木)
09:01英国2月GFK消費者信頼感
16:00ドイツ1月輸入物価指数
16:45フランス2月CPI速報値
16:45フランス10〜12月期GDP改定値
16:45フランス1月PPI、消費支出
22:00ドイツ2月CPI速報値
22:30米国10〜12月期GDP速報値


3月1日(金)
16:00ドイツ1月小売売上高
17:50フランス2月製造業PMI改定値
17:55ドイツ2月製造業PMI改定値
18:00ユーロ圏2月製造業PMI改定値
18:30英国2月製造業PMI
19:00ユーロ圏2月CPI速報値
19:00ユーロ圏1月失業率

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

2月18日(月)
NY市場が休場ということもありユーロドルは1.13台前半で方向感の無いままとなりましたが、ドル円の動きの鈍さがユーロドルにも波及しての週明けとなりました。

2月19日(火)
ユーロドルは神経質な展開が続き、東京市場では前日の流れを受けてユーロ売りが先行したものの、欧州市場スタートともに買い戻し、その直後に日中安値を下回る1.1276レベルをつけました。NY市場に入るとポンドが大幅高となり、それに沿ってユーロドルも急速に水準を切り上げ後場に1.1357レベルの高値をつけた後に若干押しての引けとなりました。

2月20日(水)
ユーロドルは、方向感が無く高値圏でのもみあいをNY昼頃まで続けていました。メイ首相とユンケル欧州委員長の会談では今月中に再協議が行われる期待が高まったことによるポンド買いにつられ、一時1.1371レベルの高値をつけましたが、FOMC後のイベントを過ぎたことによるドル買い戻しの動きでユーロも水準を上げる前の水準に押して引けました。

2月21日(木)
ユーロドルも1.13台前半で神経質な値動きながらももみあいを続けました。終日のレンジが48pipsと狭い値幅に留まり、ドル円、ユーロドルといった主要通貨はトレード対象から外れている動きとなっていました。

2月22日(金)
ユーロドルは1.13台半ばでほとんど動かずの週末相場が続きました。ブレグジット関連ではEUとの協議進展が見込めなさそうとの思惑でポンドが下げる動きが見られ、それにつられてのユーロ売りも入ったものの、全般に低調なままで一週間を終わりました。

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