ランド円レポート月曜版
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、下降チャンネル内での動きを考え「7.65レベルをサポートに、7.95レベルをレジスタンスとする週」を見ていました。実際のレンジは、安値が7.71レベル、高値が7.98レベルと予想よりも若干強い水準での推移となりました。
先週のランド円は、他に目立った材料が無かったことや、電力会社エスコムの3分割発表後ということもあって20日の財務大臣による予算演説が最大の注目材料となっていました。同演説で南アの予算についてエスコムが要求する1000億ランドに対して、南ア政府の支援額は690億ランドと7割弱の金額に留まりました。いっぽうで、財政赤字の対GDP比は今後も上昇する見通しとなっていて、好悪双方の材料が提示されました。
市場の反応は対ドルで見た方がわかりやすいため前後のドルランドの動きを示すと、発表前には14.13レベルでしたが直後に14.37レベルまでランド売りが入りました。しかし、エスコムへの支援が抑えられたことを好感し、13.94レベルと発表前の水準よりも一時的にランド高となり、その後は13.95レベルで週末を迎えています。その間ドル円は比較的落ち着いた動きをしていましたので、ランド円も同様に発表直後こそ下げたものの、その後は発表前の水準を上回っています。
南アフリカにとって、予算演説は無事に通過したということになるのでしょうが、問題は今後の同国の財政赤字拡大と今回示されたエスコムへの支援金額で再建がきちんと進むのかどうかという点になるかと思います。これまで延期されてきたムーディーズによる格付け発表も3月中にはあると言われていますので、今回の南アフリカの予算案と今後の財政赤字拡大に対してムーディーズがどのような審判をくだすのかというところです。
市場のコンセンサスでは今回の予算内容であれば現状維持との見方のようですが、もしも格付け引き下げになった場合にはジャンク(投資不適格)となり、南アフリカから相当な資金引き上げが発生することとなります。エスコム再建もこれから、財政赤字も拡大見通しである点に警戒し、今後同国から出てくる財政面でのニュースには最大限の注意を払いたいところです。
ひとつ良いニュースがあるとすれば、ワシントンで継続協議が行われていた米中通商協議閣僚級ですが、対中制裁関税発動の延期と米中首脳会談で最終的な合意が行われるという今朝のヘッドラインでしょうか。南アフリカにとって輸出入ともに最大の貿易国である中国が米国からの制裁を回避する方向はランドにとっても好材料であることは間違いありません。また、今週は南ア関連では比較的重要な経済指標が発表されます。予算演説直後で注目度は普段よりも低そうですが、28日のPPIと貿易収支、1日の製造業PMIは月末月初にかかるため、念の為注意しておきたいところです。
次にテクニカルな面ですが、先週の動きでこれまでのトレンドに変化が見られます。
いつもの4時間足チャート(上からランド円、ドルランド、ドル円)をご覧ください。
予算演説直後までは2月高値からの下降チャンネル(ピンク)の中での推移となっていましたが、イベント経過後の買い戻しからレジスタンスラインを明確に上抜けてきています。まだ上昇チャンネルを引けるほど時間経過はしていませんが、今後はランド高トレンドの可能性も出てきますし、少なくとも横方向への動きによるもみあいにはなってくると言えそうです。
引き続き警戒感は残るものの、今週のランド円は底堅い動きを想定し、7.80レベルをサポートに8.10レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
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