今週の週間見通し
先週のドル円は、冒頭のレンジを見ても分かる通り、週間レンジがわずか50銭とこれまででも珍しいほどの狭いレンジでの取引となりました。材料的にはFOMC議事録において2019年の利上げ思惑後退とバランスシート縮小停止が示されましたが、昨年12月のパウエルFRB議長やその後の地区連銀総裁による意見と一致していることが確認された程度で目立った動きには繋がりませんでした。
また日米通商協議はワシントンで継続協議され、今朝のヘッドラインで対中制裁関税の発動延期と米中首脳会談における最終合意が予定されていると公表されましたが、これも先週、株高によるリスクオンの材料として既にある程度織り込み済みであったことから、株式市場は一段高となっているものの、ドル円は金曜の高値をトライするにも至っていません。
ドル円は現状すっかり蚊帳の外の扱いで、何か大きなきっかけがないと動けないといった状況になっています。今週はかなり経済指標の発表や要人発言も多いのですが、その程度で動きが出る円とも思えません。こうなると、週報で書くことも限られてきますので、先週の最低レンジとなった19銭、そして週間レンジ50銭がどれほどの凪相場なのかを調べてみました。
まず、1日のレンジが19銭と20銭未満の日ですが、過去20年間(1999年1月以降)で調べたところ18日しかありません。この間のデータ数が5241営業日にもなりますので、0.34%しかない非常に狭い値動きであったことがよくわかります。ちなみに、最大は6.8円で5円以上の値動きがあった日は5日とごくわずかです。ドル円は安定した値動きをしている印象が強いですが、平均レンジは97銭でした。
さらに、1週間のレンジが50銭というのは、同じ期間(1999年1月以降、全1051週)で2番目に狭いレンジとなっています。こちらは週間最小レンジが37銭、最大レンジが11円55銭。この最大レンジはリーマンショックのあった2008年10月です。また週間レンジの平均は2円26銭ですが、年々変動が少なくなってきていることは年間レンジの縮小でもわかります。
ただ、直近10年とその前の10年とでは為替の水準自体はそれほど変わっていませんので、本邦個人投資家のFXによる取引が市場に流動性を供給して動きを少なくしている要因であると思います。当局としてはこの事実をよく認識し、昨年のような意味の無い規制強化を考えることは慎んでいただきたいものです。
話を戻してテクニカルにも見てみましょう。
日足チャートをご覧ください。
こちらもあまりに動かないので年初来の動きを拡大して示してありますが、フラッシュクラッシュの翌日からのサポートラインとそれに平行に引いたラインで構成される上昇チャンネルの中で緩やかなドル高トレンドを継続していることに変化はありません。
平行チャンネルの間に中間線も引いてみましたが、このまま上昇を続けるというよりも、この2週間は高値を切り下げる動きとなってきていることから、現状は横方向へのもみあいへと移行しつつあると考えられます。そうなると、このもみあいをどちらに抜けるかで次の動きが出てきそうですが、今週はきっかけもなく、時間帯的には来週あたりに動きがでてくるいかかという見方をしています。
当面は既に十分織り込まれてきている米中貿易摩擦緩和を材料にしつつも米金利の低下等、売り材料も見られるため、いったんスタンスを中立に戻し、どちらにも動ける状態で構えているのが一番良いと思います。今週ももみあい継続と見つつもわずかに下方向の余裕を見て、大台110.00レベルをサポートに、111.00レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
ドル円(日足)チャート
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2019年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、ボストン、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。
2月25日(月)
19:00 英中銀総裁会見
24:00 米国12月卸売売上高・在庫
25:00 クラリダFRB副議長講演
**:** 英国議会離脱協定案採決は延期
2月26日(火)
16:00 ドイツ3月GFK消費者信頼感
16:45 フランス2月消費者信頼感
18:30 アイルランド中銀総裁講演
19:00 英中銀総裁議会証言
22:30 米国12月住宅着工・建築許可件数
23:00 米国12月住宅価格指数
23:00 米国12月ケースシラー住宅価格指数
24:00 パウエルFRB議長上院議会証言
24:00 米国2月消費者信頼感
30:45 NZ1月貿易収支
2月27日(水)
**:** 米朝首脳会談(〜28日)
16:00 トルコ2月経済信頼感
19:00 ユーロ圏2月消費者信頼感確報値
24:00 パウエルFRB議長下院議会証言
24:00 米国1月住宅販売保留件数
24:00 米国12月製造業受注
24:30 週間原油在庫統計
2月28日(木)
09:00 NZ2月企業信頼感
09:01 英国2月GFK消費者信頼感
10:00 中国2月製造業PMI
16:00 ドイツ1月輸入物価指数
16:00 トルコ1月貿易収支
16:45 フランス2月CPI速報値
16:45 フランス10〜12月期GDP改定値
16:45 フランス1月PPI、消費支出
18:30 南ア1月PPI、貿易収支
22:00 ドイツ2月CPI速報値
22:00 クラリダFRB副議長講演
22:30 米国10〜12月期GDP速報値
22:30 米国新規失業保険申請件数
22:50 (アトランタ連銀総裁講演)
23:45 米国2月シカゴ購買部協会景気指数
25:00 (フィラデルフィア連銀総裁講演)
27:00 (ダラス連銀総裁講演)
3月1日(金)
06:45 NZ1月住宅建設許可件数
08:30 本邦1月失業率・有効求人倍率
08:30 本邦2月東京区部CPI
09:00 (クリーブランド連銀総裁講演)
10:15 パウエルFRB議長講演
10:45 中国2月MarkIt製造業PMI
16:00 ドイツ1月小売売上高
16:00 トルコ2月製造業PMI
17:50 フランス2月製造業PMI改定値
17:55 ドイツ2月製造業PMI改定値
18:00 ユーロ圏2月製造業PMI改定値
18:00 南ア2月製造業PMI
18:30 英国2月製造業PMI
19:00 ユーロ圏2月CPI速報値
19:00 ユーロ圏1月失業率
22:30 カナダ10〜12月期GDP
22:30 米国1月個人所得・消費支出
23:45 米国2月製造業PMI改定値
24:00 米国2月ISM製造業景況指数
24:00 米国2月ミシガン大消費者信頼感確報値
26:50 (アトランタ連銀総裁講演)
**:** 対中制裁関税猶予期限は延長
前週の主要レート(週間レンジ)
上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
2月18日(月)
NY市場が休場ということもありましたが、全く動きの見られない1日となりました。株式市場は高値圏でのもみあい、為替市場もドル円は終日のレンジが20銭にも満たない閑散相場となりました。
2月19日(火)
ドル円は東京前場は前日同様に動意薄となっていましたが、後場に入り黒田日銀総裁が追加緩和に言及したことからやや円安に振れ前日高値を上抜け。海外市場に移ってからも底堅い展開が続き、一時110.82レベルの高値をつけました。NY市場では利食い売りとユーロドルの上昇に引っ張られてのドル売りの動きから東京朝方の水準へと押しての引けとなりました。
2月20日(水)
ドル円は仲値買いの影響もあって買いが先行してスタートしました。日経平均株価も前場は底堅かったものの、その後は高値圏で上値の重たい展開となり、ドル円はその後じり安の動きとなってFOMC議事録待ち。議事録の内容は想定通りハト派な内容で年内の利上げに確信が持てない、バランスシートの縮小は年内に停止、というものでした。しかし、想定を超える内容では無かったことや、直前に売られていたこともあり、公表後はドル買い戻しが出ての引けとなりました。
2月21日(木)
ドル円は方向感無く狭いレンジでの取引が続き、わずか29銭の値幅で終日同意薄の展開が続きました。材料的には色々とあるものの、すべて現在進行形で結果待ちという雰囲気が漂っていました。
2月22日(金)
東京市場から欧州市場にかけては米中通商協議の進展期待からリスクオンの株高、円安が続きました。対中制裁関税猶予の延長と米中首脳会談への期待(25日早朝に確定)からワシントンで継続されている閣僚級協議での進展期待が要因でした。その後は、週末を控えていることや期待だけでは買い進めにくいとの動きもあってポジション調整から行って来いの動きで引けました。
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オーダー/ポジション状況
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