今週ユーロはもみあいも下振れには注意(週報2月第1週)

先週のユーロはFOMC後とその翌日の動きを除くと連日狭いレンジの中で、非常に緩やかな上昇傾向を見せた週となりました。

今週ユーロはもみあいも下振れには注意(週報2月第1週)

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロはFOMC後とその翌日の動きを除くと連日狭いレンジの中で、非常に緩やかな上昇傾向を見せた週となりました。このあたりは、ブレグジット修正案の採決によりじり安展開を辿ったポンドとは方向が異なる展開となりましたが、ユーロドルは昨年11月の底打ちをしてからは上下しながらも緩やかな上昇トレンドを継続し、それが先週も続いたという印象です。

ユーロ高の動き自体は景気減速懸念と米国企業の業績悪化といったあたりからのドル売りを考えれば自然ではあるものの、ブレグジットの期限を3月29日に控え、ハードブレグジットの可能性が依然として消せないこと、また先週発表されたユーロ圏GDPの内訳でイタリアが2期連続マイナス成長のリセッション入りしているあたりは、今後の欧州そしてユーロに影を落としてくると言えます。

特にブレグジット関連では、日経新聞に日産が英国でのSUV生産計画撤回といった記事が出ていましたし、週末のBBC放送では英国企業の3割がブレグジット後に本社機能の海外移転を計画していると答えたそうです。経営者にとってのブレグジットはリスク以外の何物でもなく、そうした動きが今後出てくることを考えるとポンドの売りにつながるでしょうし、ユーロの売りにも影響するでしょう。

今週は目立った材料はありませんが、7日に英中銀のMPCがありますのでブレグジットへ向けての何らかの懸念を示す可能性があり、ポンドを中心に欧州通貨の下げには注意が必要そうです。今週という時間枠で考えるならば、ユーロは横ばいの可能性がもっとも高そうです。

今週の週間見通しと予想レンジ

日足チャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

前週引き直したサポートラインをベースに平行チャンネルに若干の修正を加えましたが、懸念材料は多いもののテクニカルには中期的に緩やかな上昇トレンドにあり、上下ともに一定の値幅に動くと反転する動きを繰り返しています。

この上昇チャンネルは今週初時点でサポートが1.1300レベル、レジスタンスが1.1590レベル、そして半値ラインが1.1450レベルに位置しています。またユーロドルの1週間のレンジはだいたい150pipsの小幅な値動きに留まっていますが、今週は半値ラインを中心としてもみあいになりやすく、展開によってはやや下方向に振れやすいと考えることができそうです。

そうすると1.1450を中心に1.1375レベルをサポートに1.1525レベルをレジスタンスとする流れを見ておけば良さそうですが、ポンドの動き次第では下方向に50pips程度の振れ(1.13台前半)は考慮しておきたいところです。

今週のコラム

ブレグジットの顛末がどうなるのかいまだ不透明な中で、ポンドは下げたとは言っても限定的な下げに留まっており個人的には違和感があります。さらに違和感があるのがユーロポンドでブレグジット修正案の採決直前まで大幅安を演じました。
次の日足チャートを見ていただくとわかりますが、1月初めの0.9092から1月25日には0.8619まで500pips近い下げを演じたこととなります。

今週のコラム

ユーロのコメントに書いた通りですが、既に英国企業の16%が移転計画、また13%が検討中というあたりを考えると、その多くは欧州への移転を考えるでしょうから長期的な弱いもの比べで行けばユーロポンドは買われやすい組み合わせであると思います。

短期的にも1月の下げが大きかったことから、1月レンジの半値戻しとなる0.8855レベル(赤のターゲット)には、すぐにでも戻してもおかしくはないと考えていますが、どうも年明け以降の市場参加者のポンドに対する強気な動きはしっくりときません。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

2月4日(月)
18:30 英国1月建設業PMI
19:00 ユーロ圏12月PPI

2月5日(火)
17:50 フランス1月製造業PMI改定値
17:55 ドイツ1月製造業PMI改定値
18:00 ユーロ圏1月1月製造業PMI改定値
18:30 英国1月製造業PMI
19:00 ユーロ圏12月小売売上高

2月6日(水)
16:00 ドイツ12月製造業新規受注

2月7日(木)
16:00 ドイツ12月鉱工業生産
16:45 フランス12月貿易収支
21:00 英中銀MPC結果公表、四半期インフレ報告

2月8日(金)
16:00 ドイツ12月貿易収支
16:45 フランス12月鉱工業生産

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

1月28日(月)
ユーロドルは、英国議会でのブレグジット修正案の採決を前に積極的な取引は手控えられていました。東京?欧州市場では1.1410レベルを挟んで細かな上下は見られたものの動意薄、NY市場ではダウの下げによるドル売りの動きからユーロ買いとなり1.1444レベルまで高値を切り上げた後に若干押して引けました。

1月29日(火)
ユーロドルは、東京市場ではユーロ円がリードしてのユーロ買いが先行しましたが、欧州市場ではブレグジット修正案採決を前に買われる前の水準へ押しての結果待ち。修正案の採決結果は、英国としてバックストップ条項の見直し、離脱の期限は延期せず、とあまり良い結果とは言えなかったものの、引けにかけては買い戻しも出て方向感が無いままに一日を終えました。

1月30日(水)
FOMCを前にドル円同様にユーロドルも動意の乏しい展開が続きました。FOMCの声明は12月以降のパウエル議長の発言に近いものとなり、引き締めスタンスが弱まるとともに景気の見通しはやや下方修正、そしてバランスシートについてはこれまでの縮小スタンスを調整する用意と、全体的にハト派な内容となりました。この声明を受け、為替市場はドル売りで反応したことから、ユーロドルも1.1502レベルまでユーロが買われた後に若干調整が入っての引けとなりました。

1月31日(木)
ユーロドルは、東京市場ではドル売りの動きから後場には1.1514レベルの高値をつけました。しかし、欧州市場に入り発表されたユーロ圏GDPでイタリアがリセッションとなったこと、また1.15台では実需売りが出たことから反転下落、その後NY市場ではドル買い戻しの流れも手伝って1.1435レベルまで売られた後にやや戻しての引けとなりました。

2月1日(金)
ユーロドルは欧州市場序盤に目立った材料が無い中で上昇する動きが見られましたが、ユーロ円やユーロポンドといったユーロクロスでの買いがユーロドルの水準を引き上げたことがきっかけとなりました。何らかの月初の実需が出た様子でしたが、その後のNY市場では雇用統計とISMが強い結果となったことからドル買いの動きとなり、ユーロは上昇前の水準へと押しての引けとなりました。

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